1 相談者
探査業者の団体(平成9年度)
2 相談の要旨
(1) 探査業務を行うには,特殊な機械を使用し,そのためのノウハウが必要なため,団体において講習会を行うとともに,技能等の基準を定め,これに基づき試験を実施している。この試験の結果により,作業能力別に資格を与えており,この資格が探査業務の評価基準となっている。
(2) この探査業務が新技術を用いることもあり,市場において浸透していないため,標準積算資料を作成し,この技術を用いた探査業務の特徴,積算するための費用項目等を明確に示すことによって,費用の算出を的確に行うことに役立ててもらうことを検討している。
また,団体としては,探査業務における評価は,技術力やノウハウなどを併せて評価されるべきものであると考えており,探査費用を算出する際には,技術等も含んで算出してほしいと考えていることから,技術費などの項目を設けている。
(3) 標準積算資料の内容は,探査を行うために必要な調査項目,その費用を算出するための計算式,補正係数(探査を行う場所が,能率の低下につながるとみられるような環境条件で調査を行う場合,費用に乗じて算出するための係数)などである。各費用項目ごとの標準価格など具体的な数値は示さない。
このような標準積算資料を団体において作成し,発注者及び会員に配布することは,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,市場における価格の比較が困難な商品又は役務について,費用項目,作業の難易度,品質等価格に関連する事項についての公正かつ客観的な比較に資する資料又は技術的指標を,需要者を含めて提供することは,事業者間に価格についての共通の目安を与えるようなことのないものに限り,原則として独占禁止法上問題とならない。
[団体ガイドライン9-6(価格比較の困難な商品又は役務の品質等に関する資料等の提供)]
(2) 適正に探査業務の積算を行うために,一般的な費用,作業に必要とされる技能・技術の程度,所要時間等について,会員だけでなく発注者に対しても標準的な積算資料を作成し,提供することは,各費用項目の標準価格は示さず,積算金額の共通の目安を与えるものでない限り,独占禁止法上問題ない。ただし,作業の工数表を作成し,各種の要素を総合評価して点数化するなどにより,そのまま価格設定の資料として用いられるようなものを提供する場合には,共通の目安を与えることになり,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
団体が,探査業務に必要な費用項目,標準的な積算方法,作業の難易度等を示すことは,独占禁止法上問題ない。