1 相談者
産業廃棄物処理業者の団体(平成9年度)
2 相談の要旨
(1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律では,事業者が産業廃棄物処理業者に運搬又は処分を委託する際,委託契約に盛り込むべき事項として,委託廃棄物の種類及び数量,運搬の最終目的地,処分・再生の場所及び方法等を定めることが義務付けられているが,契約料金は対象とされていない。
(2) ユーザーである建設業者など廃棄物の排出事業者からは,廃棄物処理料金について統一的な価格表を示してもらいたいとの要望が多い。このため,当団体では,建設,医療など業種ごとに分類し,収集・運搬費,中間処理受託費,最終処分費のそれぞれについて会員にアンケート調査を行い,この集計結果を最低価格,最高価格,平均価格の形で取りまとめた実態価格表を作成し,会員及び取引先に配布することを検討している。
団体として,このような価格に関する実態調査を行い,その結果を取りまとめ,配布することは,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,需要者,構成事業者等に対して過去の価格に関する情報を提供するため,構成事業者から価格に係る過去の事実に関する概括的な情報を任意に収集して,客観的に統計処理し,価格の高低の分布や動向を正しく示し,かつ,個々の構成事業者の価格を明示することなく,概括的に,需要者を含めて提供することは,事業者間に現在又は将来の価格についての共通の目安を与えるようなことのないものに限り,独占禁止法上問題とならない。
[団体ガイドライン9-5(価格に関する情報の需要者等のための収集・提供)]
(2) 相談の実態価格表は,会員に対して収集・運搬費,中間処理受託費,最終処分費についてのアンケート調査を行い,その集計結果を客観的に統計処理し,最低価格,最高価格,平均価格の形で掲載することとしているものである。調査結果に基づく価格表が,平均値や特定の価格帯を強調することなく,また,会員のみならず取引先にも配布されるものであれば,事業者間に現在又は将来の価格についての共通の目安を与えるものではないことから,独占禁止法上問題ない。
4 回答の要旨
団体が,会員の廃棄物処理に関する受託料金について,実態調査を行い,その結果を取りまとめ,配布することは,独占禁止法上問題ない。