1 相談者
レンタカー業者の団体(平成11年度)
2 相談の要旨
(1) レンタカーについては,道路運送法により規制が行われており,業として有償で車両の貸渡しを行う者(以下「レンタカー業者」という。)は,運輸大臣の許可を受けなければならない。また,レンタカー業者は,レンタル料金を届け出る(以下「届出料金」という。)こととされているが,実勢のレンタル料金は,届出料金の1~3割引となっている。
(2) 当団体は,顧客の利便に寄与し,会員の保有するレンタカーの稼働率を高めるために,会員間で空いている車両を相互に融通する共同配車ルールを設定することを検討している。
(3) この共同配車ルールは,次のような方法で実施することを考えているが,独占禁止法上問題ないか。
[1] レンタカー業者(A業者)に顧客の希望する車両がない場合に,他のレンタカー業者(B業者)に顧客の希望する車両の有無を照会し,希望する車両がある場合は,A業者がB業者に代わって顧客への車両の貸渡し及び受取,顧客からのレンタル料金の収受及び精算業務を行う。
[2] その際,A業者が顧客から収受するレンタル料金は,B業者の届出料金とする。
[3] また,B業者がA業者に支払う代行手数料は,当事者間で定めることとする。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者団体が,構成事業者が供給し,若しくは供給を受ける商品若しくは役務の価格を決定し,又はその維持若しくは引上げを決定し,これにより市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第1項第4号の規定に違反する。
ここで「価格」とは,料金,手数料,金利等その名称や形態のいかんを問わず商品又は役務の対価であるものを指しており,割戻し,値引等実質的に価格の構成要素となるものを含む。
[団体ガイドライン1-1(価格等の決定),1-(3)(価格制限行為における「価格」)]
(2) 相談の場合において,共同配車ルールにおけるレンタル料金は車両を貸し渡すB業者が独自に決定すべきものであり,実勢のレンタル料金が届出料金を下回っている状況において,団体がレンタル料金をB業者の届出料金とすることを決定することは,独占禁止法上問題となる。
また,代行手数料を車両を融通し合う会員間で個別に決定することは独占禁止法上問題とならないが,これを団体において決定する場合には,価格制限行為として,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
団体が,共同配車のときのレンタル料金を車両を貸し渡すレンタル業者の届出料金とすることを決定することは,独占禁止法上問題となる。