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3 適正なEC事業者に対する認定マークの付与[団体ガイドライン7(2),7-3,7-4]

3 適正なEC事業者に対する認定マークの付与[団体ガイドライン7(2),7-3,7-4]

1 相談者

 電子商取引の推進団体(平成10年度)

2 相談の要旨

(1) 電子商取引は,インターネット上のホームページを通じて事業者と消費者とが手軽に取引できるため,事業者は簡単に参入することができるが,取引当事者が見えないことから,今後の市場規模の拡大に伴い,商品の未着,商品内容の相違,購入者情報の管理等のトラブルの増加が予想される。これまでにも電子商取引をめぐり数百件のトラブルが発生している。

(2) 今後,電子商取引を普及拡大するためには,消費者が安心して電子商取引を利用できる環境を整備することが必要であり,当団体では,その方策として,一定の基準を満たし適正と認められる事業者に対する電子商取引の認定マーク付与制度の在り方を検討している。
 電子商取引の認定マーク付与に当たっては,

[1]事業者の実在・事業活動の存在の確認,
[2]広告表示・内容の確認,
[3]商品・サービスの保証の確認,
[4]代金決済方法の確認,
[5]返品特約制度の確認,
[6]個人情報保護措置の確認

等の項目についてチェックしたいと考えている。
 この認定マークの付与は,電子商取引を行う事業者に義務付けるものでなく,事業者の任意の申請に基づいて行うものである。
 認定マーク付与団体が,このような電子商取引の認定マークに関する一定の基準を満たす適正な事業者に対して認定マークを付与することは,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が行う商品又は役務の規格等の自主規制に係る競争阻害性の有無の判断については,

[1] 競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないか,
[2] 事業者間で不当に差別的なものではないか,
[3] 社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものか,

の要素を勘案しつつ,判断される。ただし,構成事業者に自主規制等の利用又は遵守を強制することや自主認証等を利用しなければ事業活動が困難な状況において,非会員又は特定の事業者による自主認証等の利用を正当な理由なく制限することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
[団体ガイドライン7(2)(自主規制等,自主認証・認定等),7-3(自主規制等の強制),7-4(自主認証・認定等の利用の制限)]

(2) 相談の場合においては,

[1] 認定マークは消費者が安心して電子商取引のできる環境を整備することを目的とし,事業者が任意に申請し一定の基準を満たせば認定マークを付与されるものであり,認定マークがなくても電子商取引を行うことが可能であることから,競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないこと,

[2] 認定マーク付与の審査基準・審査項目が明確になっており,事業者間で不当に差別的なものではないこと,

[3] 電子商取引における消費者と事業者とのトラブル発生を防止し,消費者が安心して商取引できる環境を整備するという目的のため合理的に必要とされる範囲内のものであること

から,電子商取引の認定マークを付与することは,事業者間の競争を阻害するものではなく,独占禁止法上問題ないものと考えられる。
 しかし,自主認証等の利用を会員に強制することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。また,今後,当該認定マークが普及・定着し,認定マークが付いていない事業者が電子商取引を行うことが困難になるような状況にまで至った場合において,認定マークの交付を会員に限定する場合には,非会員が電子商取引を行うことを困難にさせるおそれがあり,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 認定マーク付与団体が,電子商取引に係る事業者と消費者とのトラブルの防止を図り,消費者が安心して取引できる環境を整備するため,電子商取引の認定マークを付与することは,独占禁止法上問題ない。

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