1 相談者
電気設備工事業者の団体(平成7年度)
2 相談の要旨
(1) 県発注の電気設備工事のうち一定規模以上の物件については,通常,共同企業体を結成した上で,一般競争入札により工事受注者が決定されている。
この場合,当該設備工事に必要な技術力等の工事施工能力の関係から,共同企業体の組合せについては,県外の大手工事業者と地元の工事業者との組合せとなることが一般的であるが,県外の大手工事業者の数に比べて,地元の工事業者の数が多いため,共同企業体による入札参加を希望しても,その組合せから外れる工事業者が出てくる。
(2) そこで,当団体としては,会員の入札参加の機会を公平化し,共同企業体の組合せを円滑に行うために,各工事ごとに,会員から共同企業体による入札参加の希望を報告させ,これに基づいて,入札参加予定の大手工事業者の数に見合うようくじ引き等の方法により,共同企業体参加者の事前調整を行うことを考えている。
これは,当然ながら,結成された各共同企業体による受注競争を一切妨げるものではなく,あくまで参加機会の公平を図るためのものであるが,独占禁止法上問題ないか。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 共同企業体により入札に参加しようとする事業者が,単体又は他の共同企業体により当該入札に参加しようとする事業者との間で,当該入札への参加のための共同企業体の結成に係る事業者の組合せに関して,情報交換を行い,又は事業者団体がかかる情報交換を促進することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
[入札ガイドライン1-3(共同企業体の組合せに関する情報交換)]
(2) たとえ共同企業体による受注競争に直接的には関与しないとしても,団体が,会員から共同企業体参加の希望を徴した上で大手工事業者の数に見合うよう参加希望者の調整を行うことは,それ自体が会員の入札参加の機会を制限するものであり,また,このような行為は,入札に参加する各共同企業体間における受注予定者決定行為に結び付くおそれがあり,独占禁止法上問題となる。
4 回答の要旨
団体が,くじ引き等の方法により,共同企業体参加者の事前調整を行うことは,独占禁止法上問題となる。