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2 トラック運賃の適正収受の取組 [団体ガイドライン12-4]

2 トラック運賃の適正収受の取組 [団体ガイドライン12-4]

1 相談者

 トラック運送事業者の団体(平成7年度)

2 相談の要旨

(1) 貨物運賃については,貨物自動車運送事業法の制定(平成2年12月1日施行)により,従来の認可制から個々の事業者が自ら設定した運賃を届け出る制度に改正されたが,実際に収受している運賃は,荷主の価格交渉力が強いことや不況により全体の貨物量が伸びていないことなどから,届出運賃の水準をかなり下回っている。
 この間,会員の一部は,届出運賃の引上げのための変更届出(新運賃の届出)を行っているが,上記の事情から実際の収受運賃はほとんど改善されない状況にある。
 さらに,この間の過積載規制,軽油引取税や高速道路料金の引上げなどのコストアップ要因が重なり,会員各社の経営は苦しい状況が続いている。
 このようなことから,運賃の収受率の向上を図ること(運賃収受に当たっては届出運賃を前提に収受すること)が業界共通の課題となっており,当団体としても,トラック運送事業の経営基盤の安定を図るためにも適正な原価に基づく運賃を適正に収受することが必要と考えている。

(2) ついては,当団体において,定量積載の励行,違法行為防止の啓発等を掲げて毎年実施している「輸送秩序確立運動」の一環として,「届出運賃の適正収受」を重点項目に加え,その必要性を内外にPRすることとしたいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業活動に対して許認可,届出等による公的規制が行われている場合において,事業者団体が,届出又は掲示の義務がある料金について,構成事業者が収受する料金を決定し,又はその維持若しくは引上げを決定し,これにより市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでに至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第1項第4号の規定に違反する。[団体ガイドライン12-4(届出料金等の収受に係る決定)]

(2) 団体が,届出義務のある料金について,構成事業者の収受する料金を決定したり,その維持,引上げを決定したりするような行為は,通常の価格制限行為と同様に考えられるものであり,独占禁止法違反となるものである。
 相談の場合,団体が「届出運賃の適正収受」を会員に呼び掛けることは,単なる呼び掛けにとどまらず,これを契機として,実勢運賃の引上げ,届出運賃の維持等の価格制限行為につながるおそれがあり,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 団体が「届出運賃の適正収受」を会員に呼び掛けることは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

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