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1 リサイクルセンターの設立と運営資金の調達 [団体ガイドライン11(2)]

1 リサイクルセンターの設立と運営資金の調達 [団体ガイドライン11(2)]

1 相談者

 強化プラスチック製造業者等の団体(平成11年度)

2 相談の要旨

(1) 当団体では,環境問題に対応するため,リサイクルセンターを設置し,廃棄される強化プラスチックの再資源化を図ることを検討中である。
 具体的には,リサイクルセンターでは,事業者が排出した廃強化プラスチックを,産業廃棄物処理業者を通じて収集した上,選別・粉砕等を行い,セメントメーカーに処理料を支払い,セメントへの原燃材としてリサイクルしてもらうこととするものである。

(2) リサイクルセンターの運営には多額の資金を必要とするが,会員からの資金拠出の協力が得られにくく,また,廃強化プラスチックのリサイクルは会員だけの問題ではないことから,強化プラスチックの利用にかかわる事業者から幅広く運営費用を徴収することを考えている。

(3) ついては,当団体において強化プラスチックの取扱量に応じて運営費用を負担させるため,原材料メーカーが出荷する原材料の販売価格に一定金額を上乗せし,上乗せ分を当団体が原材料メーカーから徴収することにより,リサイクルセンターの運営費用を調達することは,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体による共同事業が独占禁止法上問題となるかどうかについては,共同事業の内容,共同事業参加事業者の市場シェアの合計等及び共同事業の態様(共同事業への参加・利用の強制,事業者間の差別的取扱い)の各事項を総合的に勘案して判断される。
 共同事業の内容が,事業者の主たる事業に附随する運送や保管に係るものであるときには,それ自体としては,本来,対象となる商品そのものの価格,数量や取引先に影響を与えるべきものではなく,共同販売,共同購買,共同生産に比べて独占禁止法上問題となる可能性は低いが,共同事業の実施を通じて,構成事業者に係る対象商品の価格又は数量,顧客・販路等の競争手段を制限することにつながらないよう留意する必要がある[団体ガイドライン11(2)(共同事業の考え方)]。

(2) 相談の場合において,当該リサイクル事業は,廃強化プラスチックを再資源化し利用を促進するという社会公共的な目的を達成するために行うものであり,製品の販売競争への影響は乏しい共同事業に当たると考えられることから,リサイクル事業そのものは独占禁止法上問題ない。しかしながら,資金調達方法として強化プラスチックの原材料の販売価格に一定の金額を上乗せするよう決定することについては,強化プラスチックの原材料の販売価格の引上げになることから,団体による価格制限行為として,独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨

 団体が,廃強化プラスチックのリサイクルセンターの運営費用の調達方法として強化プラスチックの原材料の販売価格に一定の金額を上乗せするよう決定することは,独占禁止法上問題となる。

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