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9 事業者団体による、会員の取引先事業者の団体に対し物流効率化について理解を求める文書の作成及び周知を行う取組

9 事業者団体による、会員の取引先事業者の団体に対し物流効率化について理解を求める文書の作成及び周知を行う取組

 金属素材の製造販売業者等を会員とする団体が、物流の2024年問題の解消と物流効率化の促進に向けて、着荷主に荷待ち時間の短縮等の理解を求めるための文書を作成し、会員の取引先事業者(着荷主)が加盟する団体に対し、同団体の会員に周知を依頼する取組について、独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

 #取引条件明確化のための活動、#物流の2024年問題対策、#団体要請文の作成、#物流効率化、#着荷主団体への協力要請

1 相談者

 X協会(金属素材Cの製造販売業者等を会員とする団体)

2 相談の要旨

⑴  X協会は、金属素材Cの製造販売業者等を会員とする団体である。金属素材Cの製造販売市場におけるX協会の会員のシェアは80パーセントを超える。


⑵  金属素材Cは、生活用品、工業用品、機械、建設資材等様々なものに使用されている素材である。

   X協会の会員である金属素材Cの製造販売業者等は、製品を製造してから取引先事業者に届けるまでの物流全体を総合的に担う物流事業者との間で運送契約を締結し、同物流事業者を通じて、自社の取引先事業者へ金属素材Cを納品している。この輸送に関し、会員は発荷主となり、取引先事業者は着荷主となる。輸送費用については、発荷主が物流事業者に対して支払を行っており、発荷主は、着荷主に対し、当該輸送分の費用を製品代金に含めて請求を行っている。


⑶ア 令和6年(2024年)4月の働き方改革に関する法律の施行に伴う輸送能力の低下等の問題(以下「物流の2024年問題」という。)に対応するため、物資の流通の効率化に関する法律(平成17年法律第85号。)が改正され、令和7年4月から施行されている(以下「改正物効法」という。)。
 改正物効法では、着荷主には荷待ち時間等の短縮を図るための措置を講ずる責務があること[1]等が定められている。

[1] 改正物効法 第37条第4項等


 イ X協会の説明によれば、物流の効率化を実現するためには着荷主の協力も必要不可欠であるが、金属素材Cに係る物流においては、着荷主が、発荷主に対し短納期オーダー等を指示し、これを受けて発荷主が物流事業者へドライバー・貨物車の緊急手配、有料道路の利用等による納期短縮を指示するという非効率な運送方法を余儀なくされているという現状にあるとのことである。

              X協会の説明によれば、X協会や同協会の会員の金属素材Cの製造販売業者(発荷主)は、会員の取引先事業者(着荷主)に対し、これまで物流の効率化に関する理解を求めてきたものの、上記のような現状が改善されるには至っておらず、会員の取引先事業者(着荷主)の協力は十分に得られていない状況とのことである。


⑷  そこで、X協会は、物流の2024年問題の解消と物流効率化の促進に向けて、着荷主に荷待ち時間の短縮等の理解を求める以下の内容の文書(以下「本件文書」という。)を作成し、これを会員の取引先事業者(着荷主)が加盟する複数の団体に対して送付し、その傘下会員に本件文書の内容を周知するよう依頼すること(以下「本件取組」という。)を検討している。

  ① 積載率の向上、十分なリードタイムの確保、出荷量の平準化等について理解を求めること

  ② ピンポイント納入、低積載や短納期オーダーには「エキストラ料金」として適切な追加費用の負担を求めることもあり得ることについて理解を求めること

   なお、この追加費用の請求をする場合の当該追加費用の具体的な水準は記載しない。


⑸  X協会は、会員が取引先事業者との間の金属素材Cに係る取引の交渉の場において、本件文書を利用するか否かについては会員の任意とし、本件文書には、「具体的な取引条件の交渉については、会員事業者が独自に検討の上、実施します。」との文言を記載している。


  本件取組は、独占禁止法上問題となるか。


○本件取組の概要図

3 独占禁止法上の考え方

⑴  事業者団体が、構成事業者が供給し、若しくは供給を受ける商品若しくは役務の価格を決定し、又はその維持若しくは引上げを決定し、これにより一定の取引分野における競争を実質的に制限することは、独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても、このような決定を行うことは原則として独占禁止法第8条第4号の規定に違反する(事業者団体ガイドライン第2-1-1(価格等の決定))。

   一方、事業者団体による適正取引の推進を要請する文書については、会員事業者の窮状を訴え、適正な取引についての理解を求める内容の文書であって、会員事業者の任意の判断において取引先に配布されるものである限り、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。


⑵  本件取組は、金属素材Cの運送条件等に係る要請文書を作成し、会員の取引先事業者(着荷主)の加盟する団体を通じて会員の取引先事業者に周知するものであることから、金属素材Cの製造販売市場における現在又は将来の競争に影響を与える可能性があると考えられるため、当該市場に与える影響について検討する。


⑶  本件取組は、金属素材Cの製造販売分野におけるシェアの8割超を会員が有するX協会によるものであるところ、需要者が金属素材Cを購入する際、その運送条件は、購入先選択の要素となり得る。

   しかしながら、本件取組については、

 ア 本件文書における前記2⑷①の記載は、荷待ち時間等の短縮を図るための措置を講ずるという着荷主の責務を、取引先事業者(着荷主)の加盟する団体に対して、「十分なリードタイムを確保すること」といった内容で抽象的に示すにとどまり、運送条件に係る具体的な価格等の重要な競争手段に関する情報を示すものではないこと

 イ 本件文書における前記2⑷②の記載には、「ピンポイント納入、低積載や短納期オーダーには「エキストラ料金」として適切な追加費用の負担をお願いすることもあり得ることについて理解を求める」といった、X協会の会員(発荷主)と取引先事業者(着荷主)の間における具体的な交渉を想起させるような表現が見受けられる。しかし、当該記載は、前記2⑶イのとおり、物流の2024年問題に関して、着荷主による短納期オーダー等の指示を受けて発荷主が非効率な運送方法を余儀なくされているという現状にあるとされることへの対応策として、金属素材Cに係る運送方法について、荷待ち時間等を短縮するべき責務を負う着荷主が、同責務に反し荷待ち時間等が増えるような対応を行った場合に会員が会員自らの判断で対応相当分に係る追加費用を求める可能性があることを示すものにすぎないこと、また、X協会の会員が「負担をお願いすること」となる追加料金の具体的な水準を示すものではないため、X協会の会員間における具体的な金額に基づく競争制限に係る共通の意思が形成されるおそれはないと考えられること

 ウ X協会は、会員における本件文書の取扱いについて、会員が取引先事業者との個別交渉の場で使用するか否かについては会員の任意としていること

  から、本件取組は、金属素材Cの製造販売市場における競争を実質的に制限するものでも、X協会の会員の事業活動を不当に制限するものでもない。


⑷  以上から、本件取組は、独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答

 本件取組は、独占禁止法上問題となるものではない。

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