証券会社が,個人投資家向け外国為替証拠金取引業務を開始するに当たって,業務開始当初3か月間の取引について手数料を無料とすることは,独占禁止法上問題ないと回答した事例
1 相談者
A社(証券会社)
2 相談の要旨
(1) A社は,新たにインターネットによる個人投資家向け外国為替証拠金取引(証拠金を積んで,例えば10倍までの額の外国通貨を売買する取引)業務を開始することとしているが,顧客が外国為替証拠金取引を行う場合に,売買ごとの取引手数料を業務開始当初3か月間無料とするキャンペーンを行うことは,独占禁止法上問題ないか。
(2) 外国為替証拠金取引においては,同業者も,手数料を優遇するキャンペーンを行っている。
3 独占禁止法上の考え方
(1) 事業者が,正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し,その他不当に低い対価で供給することにより,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には,不当廉売として,独占禁止法上問題となる。[独占禁止法第19条(一般指定第6 項不当廉売)]
(2) 本件(手数料の無料キャンペーン)については,供給に要する費用を下回るものと考えられるが,
(1) A社は,インターネットによる個人投資家向け外国為替証拠金取引業務を新規に開始するに当たって当該キャンペーンを採用するものであること
(2) 期間を3か月と限定していること
(3) 直ちに他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれはないと考えられることから,独占禁止法上問題ないと考えられる。
4 回答の要旨
A社が,個人投資家向け外国為替証拠金取引業務を開始するに当たって,業務開始当初3か月間の取引について手数料を無料とすることは,独占禁止法上問題ない。