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(令和元年7月30日)アスファルト合材の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

(令和元年7月30日)アスファルト合材の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

令和元年7月30日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,アスファルト合材(注1)の製造販売業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
 本件は,アスファルト合材の製造販売業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「アスファルト合材」とは,石油アスファルトに砕石,砂,石粉等を配合した混合材料をいう。

1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額
   (違反事業者名,各違反事業者の課徴金額等については別表のとおり。)

違反事業者数

排除措置命令
対象事業者数

課徴金納付命令
対象事業者数

課徴金額
9社 7社 8社 398億9804万円  

2 違反行為等の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

(1) 別表記載の前田道路,大成ロテック,鹿島道路,大林道路,世紀東急工業,ガイアート及び東亜道路工業の7社(以下「7社」という。)並びに日本道路及びNIPPOの2社(以下7社と併せて「9社」という。)は,かねてから,9社会(注2)を開催するなどして,アスファルト合材の原材料である石油アスファルトの価格動向,各社におけるアスファルト合材の販売価格の引上げ時期や引上げ幅等について情報交換を行っていたところ,遅くとも平成23年3月頃以降,特定販売価格(注3)の引上げを共同して行っていく旨の合意の下に

ア 9社会において,特定販売価格の引上げの進捗状況や石油アスファルトの価格動向等を踏まえて,更なる特定販売価格の引上げを行っていくか又は既に行っている引上げの取組を継続するかの方針,また,更なる特定販売価格の引上げを行う場合はその引上げ時期や引上げ幅等についての方針を確認し合う

イ 前記アの方針に沿って特定販売価格の引上げを行うために,本店から全国の9社又は特定共同企業体(注4)の合材工場(注5)の自社の工場長等に対して,近隣の9社又は特定共同企業体の合材工場の工場長等と特定販売価格の引上げ幅等を地域の状況に応じて調整しながら,特定販売価格の引上げ交渉を行うよう指示(注6)を行う

ウ 全国各地域において,9社又は特定共同企業体の合材工場の自社の工場長等を通じて,前記アの方針に基づき

(ア) 近隣の9社若しくは特定共同企業体の合材工場又は特定共同企業体の他の構成員である9社と前記アの方針を確認し合う

(イ) 近隣の合材工場又は特定共同企業体の他の構成員とアスファルト合材の販売価格の引上げについて情報交換を行う

などして,特定販売価格の引上げ幅等を地域の状況に応じて調整するなどしながら,同業者(注7),特定共同企業体の構成員及びその他の販売先に対する特定販売価格の引上げを行っていく

などしていた。

(2) 9社は,前記(1)のほか

ア 9社会において,安値販売により販売数量を拡大している者がいないことを確認し合うために,アスファルト合材の製造数量を発表し合う

イ 9社会において,前記(1)アの方針に沿って特定販売価格の引上げを行うために,特定販売価格の引上げが進んでいない地域等に複数の9社会の出席者が共に出向くなどして,支店を通じて9社又は特定共同企業体の合材工場の自社の工場長等に特定販売価格の引上げを行うよう指導することを確認し合い,当該指導を行う

ウ 前記(1)の合意が発覚することを防止するため,9社会で話し合った内容については記録しない又は9社会で話し合った内容を示す書面等には「用済み破棄」等と注記するなどの対策を講じる

などしていた。

(3) 9社は,前記(1)の合意をすることにより,公共の利益に反して,我が国におけるアスファルト合材の販売分野における競争を実質的に制限していた。

(注2)「9社会」とは,9社の本店の主にアスファルト合材の製造販売を担当する部課長級の者による会合をいう。

(注3)「特定販売価格」とは,9社又は後記注4の特定共同企業体が販売するアスファルト合材の販売価格をいう。

(注4)「特定共同企業体」とは,9社のいずれかを構成員とする共同企業体をいう。

(注5)「合材工場」とは,アスファルト合材の製造拠点等(アスファルト合材の製造設備を持たずに販売のみを行っている拠点を含む。)をいう。

(注6)9社は,それぞれ,アスファルト合材の販売方針を本店において決定し,本店の主にアスファルト合材の製造販売事業を統括する部署の部長級の者から当該方針を支店に指示していたほか,自社の合材工場及び自社を構成員とする共同企業体の合材工場の自社の工場長等に直接指示することもあった。支店は,これらの合材工場の自社の工場長等が本店の方針に沿って販売活動を行うよう,これらの合材工場の自社の工場長等に指示していた。

(注7)「同業者」とは,自社以外のアスファルト合材の製造販売業者をいう。
 

3 排除措置命令の概要

(1) 7社は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。

ア 前記2(1)の合意が消滅していることを確認すること。

イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,アスファルト合材の販売価格を決定せず,自主的に決めること。ただし,自社を構成員とする共同企業体の他の構成員と共同して,当該共同企業体におけるアスファルト合材の販売価格を決定する場合は,この限りでない。

ウ 今後,相互に,又は他の事業者と,アスファルト合材の販売価格に関する情報交換(自社を構成員とする共同企業体を通じた当該共同企業体の他の構成員との当該情報交換を含む。)を行わないこと。ただし,自社を構成員とする共同企業体の他の構成員と,当該共同企業体におけるアスファルト合材の販売価格に関する情報交換を行う場合は,この限りでない。

(2) 7社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を,9社のうち自社を除く8社に通知するとともに,自社(自社を構成員とする共同企業体を含む。)のアスファルト合材の取引先に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。

(3) 7社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,アスファルト合材の販売価格を決定してはならない。ただし,前記(1)イただし書の場合は,この限りでない。

(4) 7社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,アスファルト合材の販売価格に関する情報交換(自社を構成員とする共同企業体を通じた当該共同企業体の他の構成員との当該情報交換を含む。)を行ってはならない。ただし,前記(1)ウただし書の場合は,この限りでない。

(5) 前田道路は,次のア,イ及びエの事項を行うために必要な措置を,大成ロテックは,次のイ及びエの事項を行うために必要な措置を,鹿島道路,大林道路及び世紀東急工業は,次のイからエまでの事項を行うために必要な措置を,ガイアートは,次のアからエまでの事項を行うために必要な措置を,東亜道路工業は,次のイの事項を行うために必要な措置を,それぞれ,講じなければならない。

ア 自社(自社を構成員とする共同企業体を含む。)の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定及び自社の従業員に対する周知徹底

イ アスファルト合材の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,アスファルト合材の販売に関する業務に従事する役員及び従業員(自社を構成員とする共同企業体における自社の当該役員及び従業員を含む。)に対する法務担当者及び第三者による定期的な監査

ウ 前記(1)ウただし書の場合を除いてアスファルト合材の販売価格に関する同業者との情報交換を行っていないことを適切に監視するための体制の整備

エ 独占禁止法違反行為に係る調査への協力を行った者に対する適切な取扱いを定める規程の作成

(6) 7社は,それぞれ,前記(3)及び(4)で命じた措置の実効を確保するため,平成23年3月1日以降平成27年1月27日までの間に9社会に出席したことがある者をアスファルト合材の販売に関する業務(自社を構成員とする共同企業体における当該業務を含む。)から速やかに配置転換するなどし,今後5年間当該業務に従事させてはならない。また,7社は,それぞれ,このことを取締役会において決議しなければならない。

4 課徴金納付命令の概要

 課徴金納付命令の対象事業者は,令和2年3月2日までに,それぞれ別表の「課徴金額」欄記載の額(総額398億9804万円)を支払わなければならない。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第四審査
電話 03-3581-3345(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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