令和元年6月20日
公正取引委員会
公正取引委員会は,舗装用改質アスファルト(注1)の製造販売業者2社に対し,本日,後記第1のとおり,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,舗装用改質アスファルトの製造販売業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
また,舗装用改質アスファルトの製造販売業者ら5社に対し,本日,後記第2のとおり,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定の違反につながるおそれがあるものとして注意を行った。
(注1)「舗装用改質アスファルト」とは,ストレートアスファルト(原油を常圧蒸留装置,減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質をいう。)に熱可塑性エラストマー,ゴム,熱可塑性樹脂等の改質材を加えるなどして,性状を変化させたアスファルトのうち,道路等の舗装に用いるアスファルト合材の素材となるものをいう。
第1 排除措置命令及び課徴金納付命令について
1 違反事業者,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者,課徴金額等
番号 |
違反事業者名 |
本店の所在地 |
代表者 |
排除 |
課徴金額 |
課徴金減免制度の適用 |
1 |
ニチレキ株式会社 |
東京都千代田区九段北四丁目3番29号 |
代表取締役 |
○ |
25億7775万円 |
30% |
2 |
日進化成株式会社 |
東京都新宿区神楽坂一丁目15番地 |
代表取締役 |
○ |
5億6323万円 |
30% |
3 |
東亜道路工業株式会社 |
東京都港区六本木七丁目3番7号 |
代表取締役 |
- |
- |
免除 |
合計 |
2社 |
31億4098万円 |
(注2)違反事業者名については,以下「株式会社」の記載を省略する。
(注3)表中の「○」は,排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注4)表中の「-」は,排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならない違反事業者であることを示している。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
⑴ ニチレキ,日進化成及び東亜道路工業の3社(以下「3社」という。)は,遅くとも平成24年3月23日以降,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の低落を防止し自社の利益の確保を図るため,共同して舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を引き上げ又は維持する旨の合意の下に,舗装用改質アスファルトの原材料であるストレートアスファルトの仕入価格の大幅な変動が見込まれる場合等に,3社の営業責任者等による会合を開催するなどして,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の引上げ額又は当該価格を維持すること等を決定するなどしていた。
⑵ 3社は,前記⑴の合意をすることにより,公共の利益に反して,我が国における舗装用改質アスファルトの販売分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
⑴ ニチレキ及び日進化成の2社(以下「2社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2⑴の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を決定せず,自主的に決めること。
ウ 今後,相互に,又は他の事業者と,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格に関する情報交換を行わないこと。
⑵ 2社は,それぞれ,前記⑴に基づいて採った措置を,自社を除く違反事業者,自社の舗装用改質アスファルトの需要者及び自社の舗装用改質アスファルトの取引先である販売業者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
⑶ 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格を決定してはならない。
⑷ 2社は,今後,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格に関する情報交換を行ってはならない。
⑸ 2社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
ア 自社の従業員に対する,自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
イ 舗装用改質アスファルトの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての,舗装用改質アスファルトの販売に関わる役員及び営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査
4 課徴金納付命令の概要
2社は,令和2年1月21日までに,それぞれ前記1の表の「課徴金額」欄記載の額(総額31億4098万円)を支払わなければならない。
第2 注意について
1 注意の相手方
番号 |
事業者名 |
本店の所在地 |
代表者 |
1 |
大林道路株式会社 |
東京都千代田区神田猿楽町二丁目8番8号 |
代表取締役 |
2 |
三徳アスリード株式会社(注5) |
大阪市淀川区新高四丁目4番10号 |
代表取締役 |
3 |
昭和瀝青工業株式会社 |
兵庫県姫路市北条口四丁目26番地 |
代表取締役 |
4 |
竹中産業株式会社 |
東京都千代田区鍛冶町一丁目5番5号 |
代表取締役 |
5 |
ユニ石油株式会社 |
東京都港区元赤坂一丁目7番8号 |
代表取締役 |
(注5)三徳アスリード株式会社は,平成30年7月1日付けで,三徳商事株式会社から舗装用改質アスファルトの販売に係る事業を承継した者である。
2 行為の概要
本件審査の過程において,3社が決定した舗装用改質アスファルトの需要者向け販売価格の引上げ額又は当該価格を維持すること等について,前記1記載の5社が,一部の地区において,3社と話し合っていた行為が認められた。
3 注意の概要
公正取引委員会は,前記2の行為は独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定の違反につながるおそれがあるものとして,前記1記載の5社に対し,注意を行った。
関連ファイル
(印刷用)(令和元年6月20日)舗装用改質アスファルトの製造販売業者に対する排除措置命令,課徴金納付命令等について(PDF:72KB)
(令和元年6月20日)参考1,2(違反行為の概要等)(PDF:133KB)
(令和元年6月20日)別添(排除措置命令書)(PDF:189KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局審査局第五審査
電話 03-3581-1779(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/