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(令和2年7月7日)マイナミ空港サービス株式会社に対する排除措置命令について

(令和2年7月7日)マイナミ空港サービス株式会社に対する排除措置命令について

令和2年7月7日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,マイナミ空港サービス株式会社(以下「マイナミ空港サービス」という。)に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令を行った。
   本件は,マイナミ空港サービスが,独占禁止法第3条(私的独占の禁止)の規定に違反する行為を行っているものである。

1 違反事業者

法人番号 4010401027835
名称 マイナミ空港サービス株式会社
所在地 東京都港区元赤坂一丁目7番8号
代表者 代表取締役 南 友和
事業の概要 航空燃料の販売業(注1)

(注1)成田国際空港,東京国際空港,中部国際空港,関西国際空港,大阪国際空港,新千歳空港,広島空港,八尾空港(注2),名古屋飛行場,東京都東京ヘリポート及び広島ヘリポート(以下これらの空港等を総称して「11空港等」という。)において,国内の石油元売会社から仕入れた航空燃料を給油会社(注3)として販売している(11空港等のうち,名古屋飛行場及び広島ヘリポートにおける給油会社はマイナミ空港サービスのみである。)。

(注2)「八尾空港」は,大阪府八尾市に所在し,国土交通大臣によって設置され管理される空港である。

(注3)「給油会社」とは,自ら機上渡し給油(注4)を行う事業者をいう。

(注4)「機上渡し給油」とは,航空燃料を航空機の燃料タンクに給油することにより引き渡すことをいう。

 

2 違反行為等の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

⑴ 後記⑵の行為前におけるマイナミ空港サービスの対応等

マイナミ空港サービスは,平成27年6月中旬頃,エス・ジー・シー佐賀航空株式会社(以下「エス・ジー・シー佐賀航空」という。)(注5)が八尾空港における航空燃料の販売事業に参入する旨の情報に接したことから,八尾空港協議会(注6)の会員等に対し,八尾空港における航空燃料の需要は自社からの供給により既に満たされており,エス・ジー・シー佐賀航空の参入によって,その供給を巡り自社との間で過当競争を引き起こすこととなるとして,その参入に反対である旨伝えていた。

⑵ マイナミ空港サービスによる自社の取引先需要者に対する行為

平成28年11月1日,エス・ジー・シー佐賀航空が八尾空港における給油会社として航空燃料の販売を開始したところ(注7),マイナミ空港サービスは,八尾空港における機上渡し給油による航空燃料の販売(注8)に関して,次のとおり,自社の取引先需要者にエス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けないようにさせている。

ア  マイナミ空港サービスは,平成28年12月7日,八尾空港協議会の会員のうち11名(以下「八尾空港協議会員11名」という。)に対して,エス・ジー・シー佐賀航空のように国内の石油元売会社から航空燃料を仕入れていない給油会社はその取扱いに係る知識及び理解が不足していることが多いとした上で,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する航空機に係る事故等に自社は責任を負えない(注9)などとして,エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた場合,自社からの給油の継続はできない旨及び提携先給油会社(注10)からの給油の継続は困難になる旨を同日付けの文書により通知している。

イ  マイナミ空港サービスは,八尾空港協議会員11名のうちの1名が八尾空港における航空燃料の買入れ契約の相手方をエス・ジー・シー佐賀航空に決定したことを受けて,その者に対して,平成29年2月10日,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料は自社が国内の石油元売会社から仕入れている航空燃料と同等の品質管理を経ているとはいえず,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料が混合した場合,航空機に係る事故が発生した際の原因の追究が困難になるなどとして,自社が契約の相手方となれない期間においては,八尾空港,名古屋飛行場,広島ヘリポート等における機上渡し給油による航空燃料の販売を停止する旨を同日付けの文書により通知している。

ウ  マイナミ空港サービスは,平成29年3月15日頃,八尾空港協議会員11名を含む約250名の自社の取引先需要者に対して,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する航空機に係る事故等に自社は責任を負えないなどとして,エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた場合,自社からの給油の継続はできない旨を同日付けの文書により通知している。

エ  マイナミ空港サービスは,平成29年5月中旬頃以降,エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた需要者からの給油に係る依頼に応じる条件として,当該需要者に対し,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料が混合したことに起因した航空機に係る事故等が発生した場合でも自社に責任の負担を求めない旨等が記載された文書への署名を求め,これに応じない場合には,抜油(注11)を求めている。

 

(注5)エス・ジー・シー佐賀航空は,佐賀市に本店を置き,航空事業,航空燃料の販売業等を営む者であり,八尾空港,佐賀空港等において,給油会社として航空燃料を販売している。また,同社は,平成24年8月頃から,国外の石油精製業者から輸入した航空燃料を需要者に対して販売している。

(注6)八尾空港協議会は,八尾空港において航空事業等を営む法人等を会員とする任意団体である。

(注7)八尾空港における給油会社は,平成28年11月1日より前はマイナミ空港サービスのみであったが,同日,エス・ジー・シー佐賀航空が同空港での航空燃料の販売を開始し,それ以降は,マイナミ空港サービスとエス・ジー・シー佐賀航空の2社である。

(注8)八尾空港における機上渡し給油による航空燃料の総供給量のうち,マイナミ空港サービスの機上渡し給油による航空燃料の供給量が占める割合は,平成29年度及び平成30年度(平成30年4月1日から平成31年1月31日までをいう。)のいずれも8割を超えていた。

(注9)航空燃料には,国際的な標準規格等が存在するところ,航空法(昭和27年法律第231号)等には,同油種・同等級の航空燃料の混合を禁止又は制限する規定は存在しない。通常,航空機の燃料タンク内では,異なる給油会社から給油を受けた同油種・同等級の航空燃料の混合が生じているが,運輸安全委員会が公表した事故調査報告書(昭和49年から令和2年1月31日までの間)には,同油種・同等級の航空燃料が混合したことに起因した航空事故等に係る記載はない。

(注10)「提携先給油会社」とは,11空港等以外の一部の空港等に所在する給油会社であって,マイナミ空港サービスが,自社の取引先需要者への機上渡し給油に係る業務を委託するなどしている給油会社をいう。

(注11)「抜油」とは,航空機の燃料タンク内の航空燃料を抜き取ることをいう。

 

 3 排除措置命令の概要

⑴ マイナミ空港サービスは,八尾空港における機上渡し給油による航空燃料の販売に関して

ア  自社の取引先需要者に対し,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する航空機に係る事故等に自社は責任を負えないなどとして,自社の取引先需要者がエス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた場合には自社からの給油は継続できない旨等を通知する

イ エス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けた自社の取引先需要者からの給油に係る依頼に応じる条件として,エス・ジー・シー佐賀航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する航空機に係る事故等が発生した場合でもマイナミ空港サービスに責任の負担を求めない旨等が記載された文書への署名又は抜油を求める

ことにより,自社の取引先需要者にエス・ジー・シー佐賀航空から機上渡し給油を受けないようにさせている行為を取りやめなければならない。

⑵  マイナミ空港サービスは,前記⑴の行為を取りやめる旨及び今後,前記⑴の行為と同様の行為を行わない旨を,取締役会において決議しなければならない。

⑶ マイナミ空港サービスは,前記⑴及び⑵に基づいて採った措置を,自社の取引先需要者及びエス・ジー・シー佐賀航空に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。

⑷  マイナミ空港サービスは,今後,前記⑴の行為と同様の行為を行ってはならない。

⑸  マイナミ空港サービスは,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。

ア  航空燃料の販売事業に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底

イ  航空燃料の販売事業に関する独占禁止法の遵守についての,自社の役員及び従業員に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

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公正取引委員会事務総局審査局第一審査
電話 03-3581-4960(直通)
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