令和2年6月11日
公正取引委員会
公正取引委員会は,山形県発注の特定警察官用制服類(注)の入札等の参加業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,特定警察官用制服類の入札等の参加業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注)「特定警察官用制服類」とは,山形県が,警察官用制服類として,予定価格の設定のために参考とする見積価格(以下「参考見積価格」という。)を徴した上で,一般競争入札又は見積り合わせ(以下「入札等」という。)の方法により発注するものをいう。
1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名,各事業者の課徴金額等については別表のとおり。)
違反事業者数 |
排除措置命令 |
課徴金納付命令 |
課徴金額 |
5社 |
3社 |
1社 |
141万円 |
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
別表記載の5社(以下「5社」という。)は,遅くとも平成27年4月1日以降(イシイ株式会社及び山形菅公学生服株式会社にあっては遅くとも平成30年5月25日以降),特定警察官用制服類について,受注価格の引上げ及び低落防止を図るため
⑴ア 受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
⑵ア 山形県から参考見積価格の提示依頼があった際に,過去の受注実績等を勘案して,受注予定者を決定する
イ 予定価格が前年度の落札金額より高くなるよう,受注予定者が提示する参考見積価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が連絡した参考見積価格を提示する
ウ 受注予定者が提示する入札価格又は見積価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が連絡した入札価格又は見積価格を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
これにより,5社は,公共の利益に反して,特定警察官用制服類の取引分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
⑴ イシイ株式会社,ミドリ安全山形株式会社及び山形菅公学生服株式会社の3社(以下「3社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2の行為を取りやめていることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定警察官用制服類について,受注予定者を決定せず,自主的に受注活動を行うこと。
ウ 今後,特定警察官用制服類に係る参考見積価格を山形県に提示するに当たり,相互に,又は他の事業者と,参考見積価格を連絡し合う行為を行わないこと。
⑵ 3社は,それぞれ,前記⑴に基づいて採った措置を,自社を除く2社及び山形県に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
⑶ 3社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,特定警察官用制服類について,受注予定者を決定してはならない。
⑷ 3社は,今後,参考見積価格を山形県に提示するに当たり,それぞれ,相互に,又は他の事業者と,参考見積価格を連絡し合う行為を行ってはならない。
4 課徴金納付命令の概要
株式会社大沼は,令和3年1月12日までに,141万円を支払わなければならない。
5 山形県による警察官用制服等の発注制度の運用について
山形県は,特定警察官用制服類の入札等を実施する前に,特定警察官用制服類に係る予定価格の設定のため,原則として前年度に特定警察官用制服類を山形県に納入した3事業者から参考見積価格を徴し,最も低く提示された価格を予定価格として設定していたところ,これら3事業者は,常に5社のうちのいずれかの事業者であった。本件では,このような状況の下で,5社が,前記2⑵の行為により,特定警察官用制服類について,予定価格と同額又はそれに近い金額で受注していたという事実が認められた。
このため,公正取引委員会は,山形県に対し,警察官用制服等の発注制度の運用について,その見直しを求めた。
関連ファイル
(印刷用)(令和2年6月11日)山形県が発注する警察官用制服類の入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について
(令和2年6月11日)参考2(最近の受注調整(官公需)事件)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局東北事務所第一審査課
電話 022-225-8421(直通)
公正取引委員会事務総局審査局第二審査上席
電話 03-3581-3335(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/