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(令和2年11月5日)日本プロフェッショナル野球組織に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について

(令和2年11月5日)日本プロフェッショナル野球組織に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について

令和2年11月5日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,日本プロフェッショナル野球組織(以下「NPB」という。)が,後記2の申合せ(以下「本件申合せ」という。)により,構成事業者である12球団(注)に対して特定の選手との選手契約を拒絶させている疑いがあったことから,所要の審査を行ってきた。
 今般,NPBから,改善措置を自発的に講じた旨の報告があり,その内容を検討したところ,上記の疑いを解消するものと認められたことから,本件審査を終了した。
(注)セントラル野球連盟を構成する(株)読売巨人軍,(株)ヤクルト球団,(株)横浜DeNAベイスターズ,(株)中日ドラゴンズ,(株)阪神タイガース及び(株)広島東洋カープの各球団,パシフィック野球連盟を構成する(株)北海道日本ハムファイターズ,(株)楽天野球団,(株)西武ライオンズ,(株)千葉ロッテマリーンズ,オリックス野球クラブ(株)及び福岡ソフトバンクホークス(株)の各球団。

1 NPBの概要

名称 日本プロフェッショナル野球組織(注)
所在地 東京都港区芝五丁目36番7号
代表者 コミッショナー 斉藤 惇
事業の概要 プロ野球の公式試合の運営等に関する事項の審議,事業の遂行

(注)NPBは,セントラル野球連盟,パシフィック野球連盟及び各連盟を構成する12球団で構成される任意団体であり,独占禁止法第2条第2項の「事業者団体」に該当する。

2 本件申合せの概要

 新人選手が,新人選手選択会議(以下「ドラフト会議」という。)前に12球団による指名を拒否し,又はドラフト会議での交渉権を得た球団への入団を拒否し,外国球団と契約した場合,外国球団との契約が終了してから高卒選手は3年間,大卒・社会人選手は2年間,12球団は当該選手をドラフト会議で指名しない。

3 本件申合せの制定経緯

⑴ 平成20年9月,当時有力な新人選手であったA選手は,12球団に対し,12球団ではなく米国球団と直接選手契約したいので同年のドラフト会議で指名(注)しないよう要請した。
(注)球団が,ドラフト会議において,契約を希望する選手として選択すること。

⑵   NPBは,A選手のような有力な新人選手が12球団を経ずに外国の球団と選手契約することが続いた場合,日本プロ野球の魅力が低下するおそれがあるとの認識の下,平成20年10月,NPBの議決機関である実行委員会において,前記2の本件申合せを申し合わせた。

4 本件申合せの実施状況

 NPBは,平成20年10月以降,令和2年9月に破棄するまでの間,本件申合せを有効なものとして維持してきていた。他方,実際に本件申合せが適用されて12球団に契約を拒絶された例はなかった。

5 独占禁止法上の考え方

 一般に,事業者団体が,構成事業者に対し,他の事業者から役務を受けることを共同で拒絶するようにさせる場合であって,他の事業者が当該構成事業者と同等の役務提供先を見いだすことが困難なときは,当該他の事業者を当該役務の提供市場から排除する効果を生じさせ,当該役務提供市場における公正な競争を阻害するおそれがある(独占禁止法第8条第5号〔一般指定第1項第1号(共同の取引拒絶)〕)。

6 NPBからの報告

 本件審査の過程において,NPBから公正取引委員会に対し,次の改善措置を自発的に講じた旨の報告があった。
① 本件申合せを廃止したこと
② 本件申合せを廃止したことを公表するとともに,関係団体等に周知したこと

7 公正取引委員会の対応

 公正取引委員会は,NPBによる前記6の措置が,独占禁止法違反の疑いを解消するものと判断し,本件審査を終了した。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第四審査上席
電話 03-3581-5487(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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