ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >令和2年 >11月 >

(令和2年11月18日)令和2年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組

(令和2年11月18日)令和2年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組

令和2年11月18日
公正取引委員会

第1 下請法の運用状況

1 書面調査の実施状況

 令和2年度における書面調査は,これまでに親事業者60,000名を対象に実施し(6月),また,当該親事業者と取引のある下請事業者300,000名を対象に実施した(10月)ところである。

2 下請法違反行為に対する措置

(1) 勧告件数

 令和2年度上半期(4月~9月)の勧告件数は3件(前年度上半期は4件)。うち,2件は製造委託に係るもの,1件は役務委託に係るものであった。
 勧告の対象となった違反行為類型の内訳については,下請代金の減額が2件,返品が1件となっている。

【勧告件数の推移】

勧告件数の推移

(2) 指導件数

 令和2年度上半期の指導件数は5,269件(前年度上半期は4,913件)。

【指導件数の推移】

指導件数の推移

3 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和2年度上半期においては,下請事業者が被った不利益について,親事業者延べ105名から下請事業者延べ4,211名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額3億5106万円相当の原状回復が行われた。

【原状回復額の推移】

原状回復額の推移

4 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案

 公正取引委員会は,親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み,公正取引委員会が調査に着手する前に,違反行為を自発的に申し出,かつ,下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等,自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については,親事業者の法令遵守を促す観点から,下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし,この旨を公表している(平成20年12月17日公表)。
  令和2年度上半期においては,上記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は16件であった。また,令和2年度上半期においては,親事業者からの違反行為の自発的な申出により,下請事業者2,509名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額2927万円相当の原状回復が行われた。

【自発的な申出の件数】

 

第2 企業間取引の公正化への取組

 公正取引委員会は,企業間取引の公正化を目的として,下請法及び優越的地位の濫用規制(以下「下請法等」という。)に係る違反行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。令和2年度上半期の状況は次のとおりである。

1 下請法等に係る講習会

 下請法等に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした「基礎講習会」を実施している。令和2年度上半期においては,43回の講習会を実施した。

2 下請法等に係る相談

(1) 相談受付

 地方事務所等を含めた全国の相談窓口において下請法等に係る相談を受け付けており,令和2年度上半期においては,5,420件の相談に対応した。

(2) 中小事業者のための移動相談会

 下請事業者を始めとする中小事業者からの求めに応じ,公正取引委員会の職員が出向いて,下請法等について基本的な内容を分かりやすく説明するとともに相談受付等を行う「中小事業者のための移動相談会」を実施している。令和2年度上半期においては,1か所で実施した。

3 取引実態調査等

(1) コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査

 コンビニエンスストアについて,近年,24時間営業をはじめとして,これまでの本部と加盟店との在り方を見直すような動きが生じており,また,前回の調査(平成23年)からも一定の期間が経過していることから,我が国に所在する大手コンビニエンスストアチェーンの全ての加盟店約5万7千店を対象とする初めての大規模調査を実施し,実態調査報告書を令和2年9月2日に公表した。
 調査の結果,「予想売上げ又は予想収益の額に関する説明」,「仕入数量の強制」,「年中無休・24時間営業」及び「ドミナント出店」等,今なお多くの取り組むべき課題が存在することが明らかになったことから,独占禁止法上及び競争政策上の考え方等を取りまとめた。
 また,コンビニエンスストア本部に対して,仕入数量の強制をはじめとした独占禁止法上の問題となり得る点等を指摘した上で,直ちに自主的に点検及び改善を行うとともに,点検結果と改善内容について,公正取引委員会に報告するよう要請した。加えて,一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会に対して,会員各社に対して本報告書の内容を周知するよう要請した。
 さらに,普及啓発のために本報告書の内容等について広く周知を行うとともに,独占禁止法上の考え方の明確化と問題行為の未然防止を図る観点から,フランチャイズ・ガイドラインの改正を行うほか,違反行為に対しては厳正に対処していく。

(2) 荷主と物流事業者との取引に関する書面調査

 荷主と物流事業者との取引について,令和2年9月に,荷主を対象とする書面調査を開始し,調査票(30,000通)を発送した。今後,調査対象とした荷主と取引のある物流事業者に対する書面調査の実施を予定している。

 

第3 今後の取組

1 下請法違反行為に対する迅速かつ効果的な対処

 下請法違反被疑行為を行っている親事業者に対して積極的に調査を行い,重大な違反行為に対しては勧告を積極的に行うなど,下請法違反行為に対して迅速かつ効果的に対処していく。

2 下請法違反行為の未然防止

(1) 下請取引適正化推進月間の実施

 公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め,下請法の概要等を説明する「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で実施するなど,下請法の普及・啓発を図っている。令和2年度においては,下請取引適正化推進月間を効果的にPRすることを目的として,キャンペーン標語についての一般公募を実施し,【叩くのは 価格ではなく 話し合いの扉】を特選作品として選定した。また, 全国32会場において講習会を実施することとしている。

(2) 応用講習会

 下請法等に関する基礎知識を有する者を対象とした「応用講習会」を,令和2年12月以降,12回実施する予定である。

(3) 業種別講習会

 過去に下請法等に係る違反行為がみられた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等の事業者に対して一層の法令遵守を促すことを目的とする「業種別講習会」を実施している。令和2年度12月以降,9回実施する予定である。

(4) 下請法遵守の要請文書の発出

 年末にかけての金融繁忙期においては,下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されることから,令和2年11月13日に,関係事業者団体に対し,下請法の遵守の徹底等を文書により要請した。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部
下請取引調査室 電話03-3581-3374(直通)(主に,第1関係)
企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(主に,第2及び第3関係)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/
(下請法に係る相談・申告等 https://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html)

ページトップへ