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(令和3年6月2日)令和2年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組

令和3年6月2日
公正取引委員会

第1 下請法の運用状況

1 下請法違反行為に対する勧告等

(1) 勧告件数

 令和2年度の勧告件数は4件。
 勧告の対象となった違反行為類型は,下請代金の減額が2件,返品が1件,不当な経済上の利益の提供要請が1件となっている。
 

【勧告件数及び自発的申出件数(勧告相当案件)の推移】

勧告件数及び自発的申出件数の推移

(注)自発的申出の詳細については後記3参照。

(2)指導件数 

 令和2年度の指導件数は過去最多の8,107件。

【指導件数の推移】

勧告件数の推移

2 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和2年度においては,下請事業者が被った不利益について,親事業者216名から,下請事業者6,354名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額5億3992万円相当の原状回復が行われた。

【原状回復額の推移】

原状回復額の推移

【原状回復を行った親事業者数・原状回復を受けた下請事業者数の推移】

原状回復を行った親事業者数・原状回復を受けた下請事業者数の推移

3 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案

 公正取引委員会は,親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み,公正取引委員会が調査に着手する前に,違反行為を自発的に申し出,かつ,下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等,自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については,親事業者の法令遵守を促す観点から,下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし,この旨を公表している(平成20年12月17日公表)。
 令和2年度においては,前記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は24件であった。また,同年度に処理した自発的な申出は58件であり,そのうちの1件については,違反行為の内容が下請事業者に与える不利益が大きいなど勧告に相当するような事案であった。また,令和2年度においては,親事業者からの違反行為の自発的な申出により,下請事業者3,230名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額1億4437万円相当の原状回復が行われた(前記2記載の金額に含まれている。)。

【自発的な申出の件数】

自発的な申出の件数

第2 企業間取引の公正化への取組

公正取引委員会は,企業間取引の公正化を目的として,下請法及び優越的地位の濫用規制(以下「下請法等」という。)に係る違反行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。令和2年度の状況は次のとおりである。

1 下請取引適正化推進月間の実施

 公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め,下請法の概要等を説明する「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で実施するなど,下請法の普及・啓発を図っている。

(1) 下請取引適正化推進講習会

 令和2年度においては,全国32会場において,下請取引適正化推進講習会を実施した。

(2) キャンペーン標語の一般公募

 令和2年度においては,下請取引適正化推進月間を効果的にPRすることを目的として,キャンペーン標語についての一般公募を実施し,「叩くのは 価格ではなく 話し合いの扉」を特選作品として選定した。

(3) 下請法遵守の要請文書の発出

 令和2年度においては,関係事業者団体約1,400団体に対し,下請法の遵守の徹底等について,11月13日に要請を行った。

2 下請法等に係る講習会

(1) 基礎講習会

 下請法等に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした「基礎講習会」を実施している。
 令和2年度においては,59回の講習会を実施した。

(2) 応用講習会

 下請法等に関する基礎知識を有する者を対象として,勧告事例等の説明,事例研究等を内容とする「応用講習会」を実施している。
 令和2年度においては,12回の講習会を実施した。

(3) 業種別講習会

 過去に下請法等に係る違反行為がみられた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等の事業者に対して一層の法令遵守を促すことを目的とする「業種別講習会」を実施している。
 令和2年度においては,荷主・物流事業者向けに9回の講習会を実施した。

3 下請法等に係る相談

(1) 相談受付

 令和2年度においては,10,838件の相談に対応した。

(2) 中小事業者のための移動相談会

 下請事業者を始めとする中小事業者からの求めに応じ,全国の当該中小事業者が所在する地域に公正取引委員会の職員が出向いて,下請法等について基本的な内容を分かりやすく説明するとともに相談受付等を行う相談会を実施している。
 令和2年度においては,3か所で実施した。 

(3) 独占禁止法相談ネットワーク

 公正取引委員会は,商工会議所及び商工会の協力の下,独占禁止法相談ネットワークを運営しており,独占禁止法及び下請法に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように,全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口(約2,250か所)を活用し,相談を受け付けている。
 令和2年度においては,相談窓口を利用する中小事業者の独占禁止法及び下請法に対する理解を助けるため,中小事業者向けリーフレット(「1分で分かる!独禁法」)等の参考資料を全国の商工会議所及び商工会へ配布した。
 

4 下請取引等改善協力委員

 公正取引委員会は,下請法等の効果的な運用に資するため,各地域の下請取引等の実情に明るい中小事業者等に下請取引等改善協力委員を委嘱している。令和2年度における下請取引等改善協力委員(定員)は153名である。
 令和2年度においては,6月以降3月末にかけて,下請取引等改善協力委員から下請取引の現状等について意見聴取を行った。

5 コンプライアンス確立への積極的支援

 公正取引委員会は,事業者等からの下請法等に係る相談に応じるとともに,下請法等の一層の普及・啓発を図るため,事業者団体が開催する研修会等に講師を派遣している。
 令和2年度においては,事業者団体等へ23回講師を派遣した。

6 取引実態調査等

 公正取引委員会は,企業間取引の公正化を図る必要性が大きい分野について,実態調査等を実施し,独占禁止法及び下請法の普及・啓発等に活用している。
 令和2年度においては,コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書を公表した。また,令和元年度に引き続き,荷主と物流事業者との取引に関する書面調査を実施した。

(1) コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査及び「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」の改正

 公正取引委員会は,コンビニエンスストアについて,近年,24時間営業をはじめとして,これまでの本部と加盟店との在り方を見直すような動きが生じていたことなどから,大手コンビニエンスストアチェーン8社の全加盟店約5万7千店に対するアンケート調査等を実施するとともに,調査結果を踏まえ,24時間営業の問題等に関する独占禁止法上の考え方等を取りまとめた「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」を令和2年9月2日に公表した。
 また,公正取引委員会は,調査結果を踏まえ,コンビニエンスストア本部に対して自主的な点検及び改善を行うよう要請するとともに,業界団体に対して会員各社に報告書の内容を周知するよう要請したほか,「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」を改正し,令和3年4月28日に公表した。

(2) 荷主と物流事業者との取引に関する書面調査

 公正取引委員会は,荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から,平成16年3月8日,「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(以下「物流特殊指定」という。)を指定し,荷主と物流事業者との取引の公正化を図っている。
 令和2年度においては,物流特殊指定の遵守状況及び荷主と物流事業者との取引状況を把握するため,荷主30,000名及び物流事業者40,000名を対象とする書面調査を実施した。当該調査の結果,物流特殊指定に照らして問題となるおそれがあると認められた644名の荷主に対して,物流事業者との取引内容の検証・改善を求める文書を発送した(令和3年3月)。当該644名の荷主のうち,業種について回答のあった635名を業種別にみると,製造業が最も多く(338名,53.2%),卸売業(128名,20.2%),小売業(43名,6.8%)がこれに続いている。これは,これらの業種に属する事業者が多いこと,及び,これらの業種において物流取引が多く行われていることが要因であると考えられる。
 また,問題となるおそれがある行為732件を類型別にみると,経済上の利益の提供要請が最も多く(310件,42.3%),代金の支払遅延(129件,17.6%),代金の減額(104件,14.2%)がこれに続いている。

7 新型コロナウイルス感染症に関連した取組

(1) 下請法等に係るQ&Aの公表

 新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受ける下請等中小企業との取引に関して,公正取引委員会及び中小企業庁が連名で下請法の考え方を示したQ&Aを作成し,令和2年5月13日に公表した。

(2)下請法基礎講習会のe-ラーニング教材の公表

 公正取引委員会は,新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で,下請法 基礎講習会に参加できなくとも,下請法等の基礎知識を習得できるよう,下請法基礎講習会の内容を動画や資料にまとめたe-ラーニング教材を作成し,公表した。

8 下請代金の支払の適正化に向けた取組

公正取引委員会は,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法等の一層の運用強化に向けた取組を進めており,その取組の一環として,中小企業庁との連名で,関係事業者団体約1,400団体に対して,おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内とすることなど,下請代金の支払の適正化に関する要請を令和3年3月31日に行った。
 

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部
下請取引調査室 電話03-3581-3374(直通)(主に,第1関係)
企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(主に,第2関係)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/
(下請法に係る相談・申告等 https://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html)

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