ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >令和3年 >6月 >

(令和3年6月29日)令和2年度における中国地区の消費税転嫁対策の取組について

(令和3年6月29日)令和2年度における中国地区の消費税転嫁対策の取組について

令和3年6月29日
公正取引委員会事務総局
近畿中国四国事務所中国支所

はじめに

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 近畿中国四国事務所中国支所(以下「中国支所」という。)においても,転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,「消費税転嫁対策調査室」を設置し,中国支所管内(鳥取県,島根県,岡山県,広島県及び山口県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,令和2年度における管内の取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 勧告・指導件数

 管内においては,令和2年度は,転嫁拒否行為に対して,2件の勧告及び15件の指導を行っている(表1参照。消費税転嫁対策特別措置法施行後の勧告・指導件数の推移については,参考参照)。勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2のとおりである。

表1:勧告・指導件数                           [単位:件]

(注1)平成25年10月から令和3年3月までの累計。また,全国の件数には,中国地区の件数を含む(以下同じ)。
(注2)《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告・指導件数で内数。

2 勧告・指導件数の業種別内訳

 令和2年度の勧告・指導件数について措置の対象となった特定事業者(注1)の業種別で分類すると,管内においては,製造業が5件(29.4%)と最も多く,以下,小売業が3件(17.6%)とこれに続いている(表2参照)。
(注1)特定事業者とは,①大規模小売事業者,②特定供給事業者(注2)から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者である。
(注2)特定供給事業者とは,①大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者,②資本金等の額が3億円以下である事業者,個人事業者等である。

表2:勧告・指導件数の内訳(業種別)                [単位:件(%)]

(注1)平成25年10月から令和3年3月までの累計。
(注2)複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は娯楽業,金融・保険業等である。
(注3)( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
 

3 勧告・指導件数の行為類型別内訳

 令和2年度の勧告・指導件数について行為類型別で分類すると,管内においては,指導件数(17件)の全てが買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)となっている(表3参照)。

表3:勧告・指導件数の内訳(行為類型別)              [単位:件(%)]

(注1)平成25年10月から令和3年3月までの累計。
(注2)「勧告・指導件数」は,勧告及び指導の合計件数(第1表参照)。1事業者に対して複数の行為について措置を採っている場合があるため,各行為類型の件数の合計値は,「勧告・指導件数」と一致しない。
(注3)( )内の数値は,勧告・指導件数に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,その合計は100とならない。
 

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和2年度は,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,管内において,特定事業者20名から,特定供給事業者395名に対し,総額5620万円の原状回復が行われた(表4参照。消費税転嫁対策特別措置法施行後の原状回復額の推移については,参考参照)。

表4:特定供給事業者が被った不利益額の原状回復の状況

(注1)平成26年4月から令和3年3月までの累計。
(注2)原状回復額は1万円未満を切り捨てている。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置しており,管内において,令和2年度は18件の相談に対応した(表5参照)。

表5:転嫁拒否行為等に関する相談件数       [単位:件]

(注1)平成25年4月から令和3年3月までの累計。
(注2)転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談並びに情報提供を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内においては,令和2年度は258名の事業者及び12の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(表6参照)。

表6:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数        [単位:件]

(注) 平成25年10月から令和3年3月までの累計。

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内においては,令和2年度は移動相談会を5回実施した(表7参照)。

表7:移動相談会の実施回数             [単位:回]

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を実施しており,管内においては,令和2年度は5回実施した(表8参照)。

表8:公正取引委員会主催説明会の実施回数      [単位:回]

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

2 講師派遣

 商工会議所,商工会,事業者団体等が開催する説明会等に,公正取引委員会事務総局の職員を講師として派遣しており,管内においては,令和3年3月末までに25回派遣した(表9参照)。

表9:講師の派遣回数                 [単位:回]

(注) 平成25年度から令和2年度までの累計。

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出を受け付けているところ,管内においては,令和2年度は転嫁カルテル1件の届出を受理した。
なお,令和3年3月末までに,管内において,転嫁カルテル3件の届出を受理し,このほか届出書の記載方法等に関して,8件の相談に対応した。

参考

 中国地区における消費税転嫁対策特別措置法施行後の勧告・指導件数及び原状回復額の推移
[単位:件]

※ 原状回復額は1万円未満を切り捨てている。
※ 平成25年度は平成25年10月から平成26年3月までの勧告・指導件数。

別紙1

勧告事件(2件)(令和2年4月~令和3年3月)


(注1)㈱はるやまホールディングスは,平成29年1月3日まで衣料品等の小売業を営んでおり,同月4日からはるやま商事㈱が同事業を承継。
(注2)事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/jun/200610kankoku.html



(注)事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/jun/200610kankoku.html

別紙2

主な指導事例(令和2年4月~令和3年3月)

買いたたき(第3条第1号後段)
 ① 教育機関であるA法人は,給食提供業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,令和元年10月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。
 
 ② B農業協同組合は,廃棄物の収集運搬業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。
 
 ③ 電気機械器具製造業を営むC社は,部品の組立に係る業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。
 
 ④ 銀行業を営むD社は,店舗,ATMコーナーの設置場所又は駐車場の賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分以後の消費税込みの賃料について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。
 
 ⑤ 携帯電話の販売業を営むE社は,経営コンサルタント業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,令和元年10月1日以後の消費税込みの委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,据え置いていた。

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局 近畿中国四国事務所 中国支所 消費税転嫁対策調査室
       電話082-228-1520(代表)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/regional_office/chugoku/

ページトップへ