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(令和4年12月1日)医療機器等の販売事業者による卸売業者への販売価格の指示について

(令和4年12月1日)医療機器等の販売事業者による卸売業者への販売価格の指示について

令和4年12月1日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、事業者等の活動に係る事前相談制度に基づき、アジレント・テクノロジー株式会社から相談の申出を受けたところ、本日、下記のとおり回答を行った。

1 本件相談に係る行為の概要

 本件は、アジレント・テクノロジー株式会社(以下「アジレント・テクノロジー」という。)が、「ディーラー」と称する卸売業者(以下「ディーラー」という。)を通じて特定の病院等のエンドユーザ(以下「特定エンドユーザ」という。)に販売する医療機器等について、以下のとおり、特定エンドユーザとの間で商品の販売価格・数量を決定し、ディーラーに対して、当該価格・数量での特定エンドユーザへの販売を指示するものである。

(1)  アジレント・テクノロジーは、特定エンドユーザとの間で直接交渉を行い、対象とする商品とその販売価格・数量を決定する。

(2)  アジレント・テクノロジーは、ディーラーに対して、⑴で決定された商品をその価格・数量により特定エンドユーザに販売することを指示する。

(3)  ディーラーは、特定エンドユーザと販売価格・数量の交渉を行うことなく、商品の物流及び代金回収の責任のみを負う。

(4)  アジレント・テクノロジーは、特定エンドユーザへの販売価格から手数料相当額を控除した金額をディーラーに対する卸価格とすることにより、ディーラーに物流及び代金回収に係る手数料の支払を行う。

 

2 本件相談に対する独占禁止法上の考え方

 本件相談に係る行為は、事業者が流通業者の販売価格(再販売価格)を拘束するものであることから、独占禁止法第19条(同法第2条第9項第4号(再販売価格の拘束))の観点から検討した。

(1)  事業者が流通業者の販売価格(再販売価格)を拘束することは、原則として不公正な取引方法(同法第2条第9項第4号(再販売価格の拘束))に該当し、独占禁止法上問題となる(同法第19条)。
 しかし、メーカーと小売業者(又はユーザー)との間で直接価格について交渉し、納入価格が決定される取引において、卸売業者に対し、その価格で当該小売業者(又はユーザー)に納入するよう指示する場合で、当該卸売業者が物流及び代金回収の責任を負い、その履行に対する手数料分を受け取ることとなっているような場合であって、事業者(メーカー)の直接の取引先事業者(卸売業者)が単なる取次ぎとして機能しており、実質的にみて当該事業者(メーカー)が販売していると認められる場合には、当該事業者(メーカー)が当該取引先事業者(卸売業者)に対して価格を指示しても、通常、違法とはならない(流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針第1部第1-2(7))。

(2)  本件相談に係る行為は、

   ア  アジレント・テクノロジーは、特定エンドユーザとの間で直接交渉を行い、対象とする商品とその販売価格・数量を決定し、ディーラーに対して、当該商品をその価格・数量で特定エンドユーザに販売することを指示するものであること

   イ  ディーラーは、商品の物流及び代金回収のみの責任を負うものであること

   ウ  ア及びイによれば、実質的にみてアジレント・テクノロジーが特定エンドユーザへ販売していると認められること

から、独占禁止法上問題となるものではない。

 

3 結論

 以上の点を前提とすれば、アジレント・テクノロジーの行為は、独占禁止法上問題となるものではない。
 なお、本回答に際しての判断の基礎となった事実に変更が生じた場合、その他本回答を維持することが適当でないと認められる場合には、文書により本回答の全部又は一部を撤回することがある。この場合には、このような撤回をした後でなければ、本件相談の対象とされた行為について、法的措置を採ることはない。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部相談指導室
電話 03-3581-5481(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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