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(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について

(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について

令和4年12月23日
公正取引委員会

第1 調査の経緯

 公正取引委員会は、「スタートアップの取引慣行に関する実態調査報告書」(令和2年11月27日)において、スタートアップと事業連携を目的とする事業者(以下「連携事業者」という。)との間の秘密保持契約(Non Disclosure Agreement。以下「NDA」という。)、技術検証(Proof of Concept。以下「PoC」という。)契約、共同研究契約及びライセンス契約並びに出資者との間の出資契約に係る問題事例等を公表した。
 公正取引委員会及び経済産業省は、令和3年3月29日、同報告書の内容を踏まえ、スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的として、「スタートアップとの事業連携に関する指針」を策定した。その後、スタートアップと出資者との間の契約の適正化に向けて新たなガイドラインを策定することとされたことを受け、令和4年3月31日、同指針を改正して「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」(以下「指針」という。)を策定した。指針においては、スタートアップと連携事業者との間のNDA、PoC契約、共同研究契約及びライセンス契約並びに出資者との間の出資契約において生じる問題事例とその事例に対する独占禁止法・競争政策上の考え方を整理するとともに、それらの具体的改善の方向として、問題の背景及び解決の方向性を示している。
 また、上記問題事例を解決し、スタートアップと連携事業者とのオープンイノベーションを支援するため、特許庁及び経済産業省においてモデル契約書を作成し、公表している(モデル契約書(新素材編)令和2年6月策定、令和4年3月改定。モデル契約書(AI編)令和3年3月策定、令和4年3月改定。モデル契約書(大学編)令和4年3月策定)。
 そして、公正取引委員会は、令和3年12月27日に取りまとめられた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(内閣官房・消費者庁・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・公正取引委員会)に関する取組として、指針を踏まえた取引が行われているかどうかを把握するため、スタートアップをめぐる取引に関する調査(以下「本調査」という。)を実施した。

第2 調査方法

1 書面調査

 本調査においては、スタートアップを成長産業領域(例えば、AI、IoT、ビッグデータ等を活用するなど、今後、高い成長率が見込まれる産業を指す。)において革新的な事業活動を行う事業者のうち、創業して数年から10年程度であること、未上場企業であることと定義し、スタートアップと連携事業者との取引・契約及びスタートアップと出資者との取引・契約を対象として、スタートアップ向けの書面調査及び連携事業者・出資者向けの書面調査を次のとおり実施した。

 

スタートアップ向け

連携事業者・出資者向け

調査対象事業者

5,655社

11,480社

回答数(回答率)

791社(14.0%)

5,052社(44.0%)

 

うち、事業連携又は出資の経験有り:829社(7.2%)

   
 

うち、事業連携の経験のみ有り:405社(3.5%)

うち、出資の経験のみ有り:103社(0.9%)

うち、事業連携及び出資の経験有り:321社(2.8%)

調査票発送日

令和4年6月15日

回答期限

令和4年7月6日

調査対象期間

令和2年1月1日~回答日まで

 なお、連携事業者・出資者向けの書面調査では、スタートアップとの事業連携やスタートアップへの出資の可能性がある事業者として、我が国の全ての大企業、主要なベンチャーキャピタル等を調査対象としたところ、スタートアップとの事業連携又はスタートアップへの出資の経験が有ると回答したのは、829社(調査対象事業者に占める割合は、7.2%)であった。
 スタートアップとの事業連携又はスタートアップへの出資の経験が有るとの回答が多かった上位業種は下表のとおりであり、スタートアップとの連携事業者としては、「化学工業」、「情報サービス業」及び「銀行業」の事業者が多く、また、スタートアップへの出資者としては、これら3業種の事業者に加えてベンチャーキャピタル(金融商品取引業、商品先物取引業)が多いといえる。

 

事業連携又は
出資の経験有り:
829社

 

事業連携の経験
のみ有り:
405社

出資の経験
のみ有り:
103社

事業連携及び
出資の経験有り:
321社




情報サービス業
88社(10.6%)

情報サービス業
44社(10.9%)

金融商品取引業、
商品先物取引業
28社(27.2%)

情報サービス業
32社(10.0%)

銀行業
57社(6.9%)

化学工業
29社(7.2%)

銀行業
14社(13.6%)

銀行業
23社(7.2%)

化学工業
48社(5.8%)

銀行業
20社(4.9%)

情報サービス業
12社(11.7%)

化学工業
19社(5.9%)

2 スタートアップへのヒアリング及び連携事業者・出資者への立入調査

 書面調査の結果を踏まえ、優越的地位の濫用等が疑われる事案について、スタートアップ37社へのヒアリング及び連携事業者・出資者13社への立入調査を実施した。

第3 調査結果

1 調査対象期間における不利益行為の要請等の状況

 本調査では、指針に掲げられた下表に記載の18の行為について、スタートアップ向けの書面調査においては、連携事業者・出資者から要請等を受けたことがあるか、連携事業者・出資者向けの書面調査においては、スタートアップに要請等をしたことがあるかを質問した。それぞれの行為に対する回答は、下表のとおりである。
 なお、これらの行為は、独占禁止法第2条第9項第5号に該当すれば、優越的地位の濫用として問題となり、不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示第15号)第14項に該当すれば、競争者に対する取引妨害として問題となるものである。

⑴ 連携事業者との取引・契約について

 

指針に掲げられた行為
(【 】内は各行為についての指針の関連部分を意味する。)

スタートアップ

連携事業者

NDAを締結しないままの営業秘密の開示の要請【指針3頁】

16社

18社

片務的なNDAや契約期間が短く自動更新しないNDAの締結の要請【指針7頁】

10社

9社

PoCの成果に対する報酬の未払やPoC実施後のやり直しに対する報酬の未払【指針11頁】

10社

2社

共同研究の成果に基づく知的財産権の一方的帰属の要請【指針15頁】

7社

3社

共同研究の大部分がスタートアップによって行われたにもかかわらず、共同研究の成果に基づく知的財産権を連携事業者のみ又は双方に帰属させる契約の締結の要請【指針17頁】

10社

2社

知的財産権のライセンスの無償提供の要請【指針22頁】

8社

5社

スタートアップが開発して連携事業者にライセンスした技術の特許出願の制限の要請【指針24頁】

2社

2社

スタートアップの顧客情報の提供の要請【指針27頁】

10社

24社

報酬の減額や支払遅延【指針28頁】

19社

4社

10

事業連携の成果に基づく商品・役務の損害賠償責任をスタートアップのみが負担する契約の締結の要請【指針31頁】

7社

1社

出所:スタートアップ及び連携事業者からの書面調査に対する回答を基に当委員会作成

⑵ 出資者との取引・契約について

 

指針に掲げられた行為
(【 】内は各行為についての指針の関連部分を意味する。)

スタートアップ

出資者

11

NDAを締結しないままの営業秘密の開示の要請【指針36頁】

4社

4社

12

契約に定められていない無償での作業の要請【指針40頁】

6社

2社

13

出資者が第三者に委託して実施した業務の費用負担の要請【指針41頁】

1社

2社

14

出資者が指定する事業者からの不要な商品・役務の購入の要請【指針42頁】

5社

0社

15

株式の買取請求権を背景とした不利益な要請 【指針44頁】

1社

0社

16

著しく高額な価額での買取請求が可能な株式の買取請求権の設定の要請【指針45頁】

8社

0社

17

行使条件を満たさない株式の買取請求権の行使【指針46頁】

5社

0社

出所:スタートアップ及び出資者からの書面調査に対する回答を基に当委員会作成

⑶ その他

 

指針に掲げられた行為
(【 】内は各行為についての指針の関連部分を意味する。)

スタートアップ

連携事業者・出資者

18

(連携事業者、出資者を問わず)NDAに違反してスタートアップの営業秘密を盗用等することによる、スタートアップの商品・役務と競合する商品・役務の販売【指針9頁及び39頁】

7社

1社

出所:スタートアップ及び連携事業者・出資者からの書面調査に対する回答を基に当委員会作成

2 注意喚起文書の送付等

 書面調査及び立入調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのある事項が見受けられた連携事業者・出資者に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付した(8社、行為11件)。
 また、スタートアップから得られた客観的な資料により問題につながるおそれのある事項に関する情報を得られたものの、情報提供者であるスタートアップが公正取引委員会による連携事業者・出資者への接触を控えることを希望したことから、具体的な懸念事項を明示した文書を送付しなかった事例もあった(11社、行為11件)。
 これらを合計すると、19社、行為22件であった。

3 問題につながるおそれのある事例

⑴ 事業連携関係

ア NDAを締結しないままの営業秘密の開示の要請

A社は、ピッチ大会(スタートアップが投資家などに対して自らの事業計画をプレゼンするイベント)で興味を持ったスタートアップに対し、後日、個別のミーティングを行うことを依頼し、そのミーティングにおいて、NDAを締結しないまま、当該スタートアップの経営見通しやビジネスモデルの重要な情報の開示を要請した。

イ PoC実施後のやり直しに対する報酬の未払

B社は、スタートアップに試作機の製造を依頼した。B社は、完成した試作機の検収を終えたにもかかわらず、実機の納品時期を延期したことに伴い、当該スタートアップに試作機の改良を無償で継続するように要請した。

ウ 共同研究の成果に基づく知的財産権の一方的帰属の要請

C社は、スタートアップとの共同研究において、当該スタートアップ側の貢献があるにもかかわらず、投入する技術はC社のものだけであると主張して、当該共同研究の成果に基づく知的財産権をC社のみに帰属させることを要請した。

D社は、スタートアップとの共同研究において、D社の知的財産ポリシーを理由に、スタートアップ側の貢献を考慮することなく、当該共同研究の成果に基づく知的財産権をD社のみに帰属させることを要請した。

E社は、スタートアップとの共同研究において、当該スタートアップ側の貢献があるにもかかわらず、当該共同研究の費用をE社が負担することを理由として、当該共同研究の成果に基づく知的財産権をE社のみに帰属させることを要請した。

エ 報酬の支払遅延

F社は、スタートアップと1年ごとに契約更新する共同研究を進めていたところ、F社の事情で直近の契約更新が数か月遅れたことにより、契約更新時にスタートアップに支払うこととなっていた当該年度分の報酬の支払を遅らせた。

 ⑵ 出資関係

ア NDAを締結しないままの営業秘密の開示の要請

G社は、出資を検討しているスタートアップに対するデュー・デリジェンス(企業価値やリスク等に関する調査)の質問事項に当該スタートアップの財務情報等の非公開情報が含まれていたため、本来はデュー・デリジェンスの実施に当たって当該スタートアップとNDAを締結すべきであったにもかかわらず、NDAを締結しないまま、当該スタートアップにデュー・デリジェンスの回答を提出するように要請した。

イ 契約に定められていない無償での作業の要請

H社は、出資先スタートアップから経営情報を入手し、その経営状況を定期的にファンドの出資者に対して報告する必要があるところ、本来はH社が、自ら入手した経営情報を基に必要な報告書を作成して報告すべきであるにもかかわらず、出資先スタートアップに対し、この報告書を無償で作成するように要請した。

ウ 出資者が第三者に委託して実施した業務の費用負担の要請

I社は、出資を検討しているスタートアップに対し、当該スタートアップの意向に関係なく一方的に、I社が第三者に委託して実施するデュー・デリジェンスの費用全額を負担するように要請した。

エ 出資者が指定する事業者からの不要な商品・役務の購入の要請

J社は、早期に事業資金の手当てが必要となっていた出資先スタートアップに対し、J社以外の出資先を紹介することをほのめかしながら、K社(J社の他の出資先)のコンサルタント業務を利用することを要請した。当該スタートアップは、その時点で外部のコンサルタント会社からアドバイスをしてもらう必要はなかった。

オ 行使条件を満たさない株式の買取請求権の行使

L社は、投資契約書に規定の行使条件を満たしていないにもかかわらず、出資先スタートアップに対し、保有株式の全ての買取りを請求した。その際、当該スタートアップに十分な説明・協議をせず、合理的な算出根拠に基づかない買取価格を設定した。

カ 出資者によるNDA違反

M社は、出資先スタートアップとの間で開発した情報システムについての資料(記載内容はM社と当該スタートアップの間の秘密保持義務の対象)について、第三者であるN社(当該スタートアップとは資本関係等がない)との事業連携の参考にするために当該スタートアップの同意を得ることなくN社に開示した。

4 個人への買取請求が可能な株式の買取請求権

 経営株主等の個人に対する買取請求が可能な株式の買取請求権については、指針の第3の2(6)エ(47頁)において、「スタートアップの起業後に経営株主となることが多い創業者にとって、出資者からの出資を受けて起業しようとするインセンティブを阻害することとなると考えられる。このため、スタートアップの起業意欲を向上させ、オープンイノベーションや雇用を促進していく観点からは、出資契約において株式の買取請求権を定める場合であっても、その請求対象から経営株主等の個人を除いていくことが、競争政策上望ましいと考えられる。」としている。
 本調査におけるスタートアップからの回答や出資者への立入調査により確認した限りでは、出資者が出資を検討しているスタートアップに提示する多くの投資契約書案において、経営株主等の個人に対する買取請求が可能な株式の買取請求権が含まれていた。出資者とスタートアップの交渉の結果、請求対象から経営株主等の個人が除かれた事例や請求対象の個人を限定した事例もみられたが、株式の買取請求権やその請求対象に個人が含まれることの意味をスタートアップに十分説明したとはいえない事例もみられた。
 なお、経済産業省は、指針の策定を受け、指針の趣旨と整合性を確保する観点から、令和4年3月に「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」を改訂し、「買取請求の対象は発行会社に限定し、創業株主等の個人を除いていくことが望ましい。」としているところ、中小企業庁が同庁のウェブサイトに掲載している投資契約書のひな形には、買取請求の対象に経営株主が含まれている。本調査において、このひな形を根拠に個人に対する買取請求が可能な株式の買取請求権の設定を要請したと思われる事例がみられたことから、本年11月、経済産業省を通じて指針の趣旨と整合性を確保することを申し入れたところ、中小企業庁において、指針に沿う契約書の新しいひな形として、改訂された「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」を注意書きにより同庁のウェブサイトに追加した。

第4 スタートアップによる指針の認識状況に係る聴取調査

1 概略

 上記第2に記載の書面調査等に加え、スタートアップに対して指針の認識状況を調査したところ、合計で81社から回答が得られた。

2 スタートアップによる指針の認識状況や活用例

 回答が得られた81社のうち、設立から日が浅いと考えられる設立から3年未満の49社については、約7割が指針の存在を認識していなかった。この背景としては、設立から日が浅いスタートアップほど法務担当者がいないことなどにより法務面での情報収集力に限りがあり、政府規制に係る情報や政府の施策を十分に把握する余裕があまりないものと考えられる。このことは、設立から3年以上の32社については、半数以上が指針の存在を認識していたことからも推察される。
 また、指針の存在を認識しているスタートアップに対し、指針の活用例等も聴取したところ、次の回答を得た。

  • ベンチャーキャピタルが提示した投資契約書案がベンチャーキャピタル側に一方的に有利な内容となっていたので、指針の該当部分を当該ベンチャーキャピタルに提示して交渉した。この結果、当該ベンチャーキャピタルはその内容を取り下げた。
  • NDAや共同研究契約の締結時の参考にしている。
  • 実際の活用例はないが、ファイナンス関係は後戻りができないので、指針の内容を勉強している。
  • SNSのリツイートで回ってきて、有益な情報だと思った記憶がある。
  • ベンチャーキャピタルや金融機関に参考にしてほしい内容である。
  • 大企業の間では全く認識されていないと思う。
  • 出資者とのパワーバランスを考えると、実際の交渉の場で用いるのは難しい。

 なお、連携事業者・出資者への立入調査において、立入調査先が指針の存在を認識しているか確認したところ、法務部門では指針の存在を認識していたものの、スタートアップと交渉・やり取りしている事業部門まで周知されていなかった例や、そもそも自社とスタートアップの取引が独占禁止法上の問題になることを十分に認識していなかった例もみられた。

第5 調査結果の評価及び調査結果を踏まえた対応

1 調査結果の評価

⑴ 上記第3の2に記載のとおり、本調査では、注意喚起文書の送付又は客観的な資料により問題につながるおそれのある事項に関する情報を得られた事例は19社、行為22件にとどまった。この背景として、①取引先の連携事業者・出資者が多くないことから、自社が公正取引委員会に情報提供したことを特定されてしまうリスクが高いこと、②連携事業者・出資者との今後の取引関係に悪影響を与えたくないことなどを理由に、連携事業者・出資者から不利益行為の要請等を受けたことを回答したスタートアップであってもその相手方の名称の回答を控えるなど、スタートアップから公正取引委員会の調査への協力が得られ難かったことも関係していると考えられる。
 このような状況であったため、本調査の結果、問題につながるおそれのある事例が多数みられたわけではないが、事業連携関係においては、連携事業者が、「事業連携を検討している」又は「出資を検討している」と伝えてスタートアップとのミーティングの機会を求め、NDAを締結しないまま、当該スタートアップのビジネスモデルの重要な情報の開示を要請したり、事業連携の結果生じた知的財産権を合理的な理由なく自社に帰属するように要請したりする事例を中心に、問題につながるおそれのある事例がみられた。また、出資関係においても、出資者が、契約に定められていない報告書の作成を要請したり、第三者に委託して実施するデュー・デリジェンスの費用の負担を一方的に要請したり、投資契約書に規定された理由以外の理由によって株式の買取請求権を行使したりするなどの問題につながるおそれのある事例がみられた。
 上記のとおり、本調査において問題につながるおそれのある事例がみられたことを踏まえると、スタートアップとのオープンイノベーションを進めていくためには、連携事業者・出資者において、指針を踏まえ、取引の適正化に努めていくことが求められると考えられる。
 
⑵ 上記第4に記載のとおり、連携事業者・出資者との交渉において指針を活用しているスタートアップがみられた一方で、設立から日が浅いスタートアップほど指針を認識していない傾向がみられた。このため、特に設立から日が浅いスタートアップに対する指針の認識向上を図る必要があると考えられる。
 連携事業者・出資者については、事業連携関係、出資関係を問わず、問題につながるおそれのある事例の中には、指針の策定後に行われた事例もみられ、また、スタートアップから「大企業の間では全く認識されていないと思う。」という指摘があったように、本調査の立入調査により確認した限りでは、スタートアップと交渉・やり取りしている事業部門の担当者まで指針の内容が十分に伝わっているとはいえない状況がみられた。スタートアップとの取引の適正化に向けて、連携事業者・出資者は、事業部門の担当者まで指針の内容を十分に浸透させていく必要があると考えられる。
 なお、本調査において立入調査を受けた連携事業者・出資者の中には、立入調査を受けて指針に対する意識が高まり、後日、自社とスタートアップとの取引について相談に来た事業者や、スタートアップと交渉・やり取りしている事業部門の担当者に対する指針についての勉強会の開催の検討を表明した事業者もみられた。

2 調査結果を踏まえた対応

⑴ 違反行為の未然防止に向けた周知活動

 公正取引委員会は、特に設立から日が浅いスタートアップに対して、上記第4の2に記載のスタートアップによる指針の活用の成功事例の紹介を含め、指針を更に周知する。
 また、連携事業者・出資者に対して、スタートアップとの事業連携又はスタートアップへの出資の経験があるとの回答が多くみられた「化学工業」、「情報サービス業」、「銀行業」及び「金融商品取引業、商品先物取引業」の事業者団体に向けて、重点的に指針を周知する。
 公正取引委員会は、これらの活動を通じて、違反行為の未然防止に向けた取組を進めていく。

⑵ 違反行為への厳正な対処

 公正取引委員会は、今後とも、スタートアップをめぐる取引についての情報収集に努めるとともに、独占禁止法に違反する事案については厳正に対処していく。

関連ファイル

(印刷用)(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について
(印刷用)(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について(概要)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部 企業取引課
優越的地位濫用未然防止対策調査室
電話 03-3581-1882(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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