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(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について

令和4年12月27日
公正取引委員会

1 背景

 ⑴ 公正取引委員会は、最低賃金の引上げ等に伴い、買いたたき、減額、支払遅延などといった中小事業者等への不当なしわ寄せが生じないよう、取引の公正化を一層推進するため、令和3年9月8日、「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を取りまとめ、この改定を行いつつ、取引公正化に係る対策の強化に取り組んできたところである。原油価格の大幅な値上がりや円安の急激な進展等による原油をはじめとするエネルギーコストや原材料価格の上昇が問題となっていることを受け、取引事業者全体のパートナーシップにより、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるようにするため、政府全体の施策として、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日内閣官房・消費者庁・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・公正取引委員会)が公表された。この取組の一環として、公正取引委員会は、令和4年1月26日、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号。以下「下請法運用基準」という。)を改正するとともに、同年2月16日、公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&A(以下「独占禁止法Q&A」という。)に、労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分を取引価格に反映せず、従来どおりに取引価格を据え置くことは、独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがあり、下記のとおり、独占禁止法Q&Aの①及び②の2つの行為がこれに該当することを明確化した。
① 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
② 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと

⑵ その後、適正な価格転嫁の実現に向けて、独占禁止法違反事件の審査ではなく、事業者間取引における上記の①又は②に該当する行為が疑われる事案に関する実態を把握するため、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査を実施してきたところ、本日、その結果を取りまとめたため、以下のとおり公表する。

2 調査手法

 今回の調査においては、以下のとおり、受注者及び発注者に対してそれぞれ書面調査を実施し、また、特に詳細な調査を行う必要があると認められた発注者については、立入調査、報告命令等による個別調査を行った。

⑴ 受注者に対する書面調査(受注者側書面調査)

 令和4年6月、受注者80,000社に対して書面調査を実施し、取引価格引上げの要請の有無にかかわらず、取引価格が据え置かれており、事業活動への影響が大きいとする発注者名について回答を求めた。この結果、1社でも受注者から名前の挙がった発注者は4,573社存在した。

⑵ 発注者に対する書面調査(発注者側書面調査)

 令和4年8月、上記⑴の受注者側書面調査において1社でも受注者から名前の挙がった発注者4,573社、さらに、受注者の回答結果や関係省庁・団体からの情報提供が多かった業種の発注者約25,000社を加え、合計30,000社に対して書面調査を実施し、コストの転嫁状況等について回答を求めた。

⑶ 個別調査

 令和4年7月から12月にかけて、受注者側書面調査、発注者側書面調査等を踏まえ、立入調査(注1)を306件実施した。
 また、令和4年9月以降、上記⑴の受注者側書面調査において1社でも受注者から名前の挙がった発注者4,573社の中で、受注者から名前の挙がった数が多い発注者上位50社程度を抽出し、このうち当該発注者の名前を挙げた受注者の数、過去の下請法違反歴の有無、受注者からの具体的な行為の指摘の有無等を踏まえ、個別の発注者に対し、立入調査、独占禁止法第40条に基づく報告命令等も含めたより詳細な個別調査を行うこととした。個別調査の対象とした発注者の取引先について、令和3年9月から令和4年8月末までの1年間を調査対象期間とし、調査対象期間における取引価格の据え置きの有無、取引価格の据え置きの場合における価格協議の有無、取引価格引上げの要請があった場合における書面等による回答の有無等について確認を行うなどして、独占禁止法Q&Aの①又は②に該当する行為が行われている取引先を個別に調査した。
(注1)任意の立入調査であり、事件審査で通常行っている独占禁止法第47条に基づく立入検査とは異なるものである。

3 調査の結果

⑴ 総論

 独占禁止法Q&Aにおいては、
・ ①に該当する行為については、多くの場合、発注者のほうが取引上の立場が強く、受注者からはコスト上昇が生じても価格転嫁を言い出しにくい状況にあることを踏まえ、積極的に発注者からそのような協議の場を設けることが円滑な価格転嫁を進める観点から有効かつ適切であることから、明示的に協議を行わないことを、
・ ②に該当する行為については、受注者からコスト上昇を踏まえた取引価格引上げの要請があったにもかかわらず、受け入れない場合には、その理由については書面等の形に残る方法で伝えることが円滑な価格転嫁を進める上では有効かつ適切であることから、書面等による回答を行わないことを、
それぞれ独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがある行為として挙げているものである。
 こうしたことを前提に、事業者間取引における上記の①又は②に該当する行為が疑われる事案について調査を行ってきたところ、その結果は以下のとおりである(別添参照)。

ア 本件調査において、①の行為については、受注者から申入れがないこと、期限を定めた取引価格の有効期間の範囲内であること、要請があった受注者からの協議に対応しているため要請がない受注者への対応が間に合っていないこと等を理由として、発注者からは積極的な協議の場を設けていないため、調査対象期間においては、取引価格が据え置かれているケースが多数みられた。また、②の行為については、該当行為を行っていた発注者は一定数みられたものの、立入調査で確認した範囲では、その数は①の行為に比べると少なかった。
 一方、受注者からは、ヒアリング調査や書面調査への回答において、例えば、以下の意見がみられた。
 
<①の行為に該当し得る事例>
・ 期限を定めた取引価格の有効期間の範囲内ではあるものの、前回の取引価格の改定時から更にコストが上昇しており、次の改定の時期まで改定ができないことは苦しいとする意見
・ 取引を切られてしまうなど受注に与える影響を考えると実際に申し出ることは難しいとする意見
・ 発注者の購買担当者に値上げの可能性について相談したところ、無理と言われたので値上げの申入れを行うこと自体を断念したとする意見
・ 発注者の担当者に電話をしてもはぐらかされる、又は連絡がつながらないため取引価格の引上げ要請自体ができないとする意見
 
<②の行為に該当し得る事例>
・ 電話にて交渉する中でコスト高を踏まえて自社が許容し得る最低水準の価格を提示したところ、担当者から分かった旨の返事をもらったが、取引に係る確認書を確認したところ、従前と変わらない取引価格のままであったとする意見

イ 上記のとおり立入調査で確認したところでは、独占禁止法Q&Aに該当する行為の多くは、①の行為が占めている(注2)。コストの急激な上昇を踏まえ、昨年来価格転嫁を円滑に進めるため、公正取引委員会においても、下請法運用基準の改正や独占禁止法Q&Aについて周知してきた状況下で、今回の調査で判明した受注者の意見や調査の結果等を踏まえると、発注者からすれば一定程度対応を採っていると考えている場合であっても、調査対象期間中に積極的な協議の場が設定されていないため、実際には価格転嫁が進んでいないと考えられる事例や、現場レベルの担当者同士とのやりとりの結果、値上げの申入れに至っていないと考えられる事例が一定程度存在することがうかがわれた。
(注2)業種別の注意喚起文書送付割合と、全ての商品・サービスについて価格を据え置いたとする発注者の割合には正の相関(全ての商品・サービスについて取引価格を据え置いたと回答した割合が高ければ高いほど、注意喚起文書の送付割合が高くなる傾向)がみられた。

ウ 一方で、発注者の中には、今回の調査期間中に、一部の受注者との間では価格転嫁を進めていた事例や、今回の緊急調査の実施等を受けて、調査対象期間後において、受注者との間で価格転嫁を行うための協議の場を設けた事例又は今後設けることとする旨の方針を明らかにしている事例、取引の相手方に対して適正な取引体制の構築、援助等を行っている事例等も確認された。

⑵ サプライチェーンにおける価格転嫁に関する課題

 受注者側書面調査及び発注者側書面調査で、取引価格引上げの要請の有無、要請があった場合の取引価格の引上げの割合(商品・サービスの数の割合)、要請があった場合の取引価格を引き上げない理由の回答の有無についての質問を設け、回答を得た。
 調査対象業種である22業種のうち、受注者となることが想定されない各種商品小売業・飲食料品小売業を除く20業種については、サプライチェーンの多重取引構造の下、事業者が受注者の立場、発注者の立場の双方になり得る。各設問の受注者としての回答割合と発注者としての回答割合を比較すると、全般的に、発注者として対応ができたとする回答割合の方が高くなっている。この差が大きい業種では、サプライチェーンの中で、発注者の立場からは、受注者(供給元)との関係において、価格転嫁の円滑化に向けた取組ができているとしているのに比べて、受注者の立場としては、発注者(供給先)との関係において、価格転嫁の円滑化に向けた取組を行ってもらえていないとしており、以下のとおり、価格転嫁の連鎖(チェーン)が円滑につながっていないなどの可能性がある。

ア 受注者として取引価格の引上げを「要請した」と回答した割合が、発注者として取引価格の引上げを「要請された」と回答した割合より低く、その差が大きい業種は、総合工事業、食料品製造業、業務用機械器具製造業、放送業及び映像・音声・文字情報制作業であった。これらの業種は、立入調査等で得られた情報も踏まえると、発注者の立場で受注者(供給元)から要請されるほどには、受注者の立場で発注者(供給先)に要請できていない業種であるとみることができ、価格転嫁の要請が滞っている可能性がある。

イ 受注者として取引価格が「7割以上引き上げられた」と回答した割合が、発注者として取引価格を「7割以上引き上げた」と回答した割合より低く、その差が大きい業種は、印刷・同関連業、輸送用機械器具製造業、映像・音声・文字情報制作業、道路貨物運送業及びその他の事業サービス業であった。これらの業種は、立入調査等で得られた情報も踏まえると、発注者の立場で受注者(供給元)との関係で価格転嫁を受け入れるほどには、受注者の立場では発注者(供給先)との関係で価格転嫁できていない業種であるとみることができ、価格転嫁の連鎖が円滑に進んでいない可能性がある。

ウ 受注者として取引価格を据え置く理由について文書や電子メールで「7割以上回答があった」と回答した割合が、発注者として取引価格を据え置く理由について文書や電子メールで「7割以上回答した」と回答した割合より低く、その差が大きい業種は、家具・装備品製造業、はん用機械器具製造業、業務用機械器具製造業及び各種商品卸売業であった。これらの業種は、立入調査等で得られた情報も踏まえると、発注者の立場で受注者(供給元)との関係で文書や電子メールで回答しているほどには、受注者の立場では発注者(供給先)との関係で文書や電子メールでの回答をもらえていない業種であるとみることができ、書面等記録の残る形でのやりとりが確保されていない可能性がある。

4 注意喚起文書の送付及び独占禁止法Q&Aの①に該当する行為がみられた事業者に関する事業者名の公表

⑴ 上記のとおり、受注者側書面調査、発注者側書面調査及び個別調査を行った結果、全般的には独占禁止法Q&Aの①又は②に該当する行為が行われている事例が多数みられたところである。一方で、個別調査で確認した範囲では、①に該当する行為は一定程度確認できたものの、②に該当する行為は①に該当する行為に比べると少なかった。

⑵ こうした全般的な結果を受けて、これらの独占禁止法Q&Aの①又は②に該当する行為が認められた発注者4,030社に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。

⑶ また、個別調査の結果、受注者からの値上げ要請の有無にかかわらず、取引価格が据え置かれており、事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者であって、かつ、多数の取引先について独占禁止法Q&Aの①に該当する行為が確認された事業者については、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、取引当事者に価格転嫁のための積極的な協議を促すとともに、受注者にとっての協議を求める機会の拡大につながる有益な情報であること等を踏まえ、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表することとした(注3)
  https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka_2.html
(注3)こうした行為を多数の取引の相手方に対して行っている事案又は過去に繰り返し行っている事案については、独占禁止法に基づき事業者名を公表する方針を対外的に示しているところである(参考3:「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)及び参考4:「適正な価格転嫁の実現に向けた取組」(令和4年10月4日第10回新しい資本主義実現会議における古谷公正取引委員会委員長提出資料))。
 なお、この対応に当たっては、公正取引委員会は、対象となる事業者に対し、意見を述べる機会を付与した。


⑷ 上記のとおり、今回の事業者名の公表は、転嫁円滑化を強力に推進する観点からの情報提供を図るため実施したものであり、独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない。

5 今後の取組

 今回の発注者に対する調査は、受注者側書面調査の結果等を踏まえてその対象を選定しており、調査の対象とならなかった事業者の中にも独占禁止法Q&Aに該当する行為を行っていた事業者がいる可能性は否定できない。これらの事情も踏まえつつ、今後、公正取引委員会としては、法執行及び実態把握の両面で、以下のとおり、必要な取組を更に強化していくこととしている。

⑴ 優越的地位の濫用行為等に対する厳正な法執行

 積極的に端緒情報の収集を行うとともに、違反被疑事件の審査を行い、独占禁止法や下請法上問題となる事案については、対象となる事業者に対し、事業者名の公表を伴う命令、警告、勧告など、これまで以上に厳正な執行を行っていく。

⑵ 独占禁止法Q&A及び下請法運用基準に関する普及・啓発

 独占禁止法Q&A(特に①に該当する行為)について、今般のコストの急激な上昇を踏まえ、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくことが重要であるという観点から、下請法運用基準とともに、改めて周知を行っていく。

⑶ 転嫁円滑化に向けた調査等の継続実施

 今回の緊急調査の結果及び法遵守状況の自主点検結果(注4)等から判明した実態や課題を踏まえ、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の取引価格への適正な転嫁に向けて更なる調査を実施するなど、引き続き、関係省庁と連携して、中小企業等が賃上げの原資を確保できるよう、コスト上昇分を適正に転嫁できる環境の整備に取り組む。
(注4)「転嫁円滑化施策パッケージに基づく法遵守状況の自主点検の結果について」(令和4年12月14日公表)

関連ファイル

(印刷用)(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について(本文)
(印刷用)(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果(別添)

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部 企業取引課
優越的地位濫用未然防止対策調査室
電話 03-3581-3373(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp

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