ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >最近の報道発表資料(令和5年) >2月 >

(令和5年2月15日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について

(令和5年2月15日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について

令和5年2月15日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、毎年度、全国の主要都市において、主要経済団体、消費者団体、弁護士会、学識経験者、報道関係者等の有識者と当委員会の委員等との懇談会を開催することで、各地域の実情や幅広い意見・要望を把握し、独占禁止法等の運用にいかしています。
 令和4年度においては別紙1のとおり開催したところ、有識者(別紙2)から示された主な意見の概要は以下のとおりです(地区別の主な意見は別紙3のとおりです。)。
 公正取引委員会としては、これらの意見を踏まえて、今後とも独占禁止法等の的確な運用に努めてまいります。

1 中小事業者等の取引公正化について

(1) 労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適切な価格転嫁

  •  価格転嫁について、取引先は理解を示しつつも、より安価な事業者から仕入れるようになり、値上げをしてしまうと継続的に扱ってもらえない状況にある。(青森市)
  •  ある企業の社長が発注元に価格転嫁について相談したところ、「本気でやるつもりありますか。」と言われ、断念したとのこと。このように現実に価格転嫁を行うことは難しく、適正価格での取引が当たり前だとする世論の後押しが必要。(熊本市)
  •  電気料金の値上げ分の販売価格への転嫁については、取引先との摩擦がこれから相当起こると思っており、公正取引委員会が関係するような取引先の転嫁拒否に係る問題が全国で起こってくるのではないかと心配している。(北海道旭川市)
  •  企業にとっての今の課題は、商品・サービスの高付加価値化と、企業の生産性の向上であるが、原材料費等の高騰を単純に価格に転嫁するということは、企業の生産性が上がっていないということである。半数程度の企業が何らかの形で、十分ではないにしても転嫁できているというのであれば、ただ価格に転嫁してくださいというメッセージを世間に発信するのではなく、価格転嫁できている企業をいかに伸ばすかに注力すべきである。(和歌山市)

(2) インボイス制度の導入に伴うしわ寄せ防止

  •  インボイス制度が導入されると、特に影響を受けるのは小規模零細事業者である。小規模零細事業者は、取引を打ち切られた理由も、打ち切られたことが独占禁止法に抵触するおそれがあることも、分からない場合があるだろう。インボイス制度の実施に関して独占禁止法上問題となる行為については、親事業者に積極的に周知していく必要性は高い。(金沢市)
  •  インボイス制度について、売上額基準に照らし対象となるかよりも顧客からの信用不安を懸念し、やむなく登録するといった動きもある。制度施行後も、不当な取引拒否とか圧力が起こらないように注視してもらいたい。(さいたま市)

(3) その他

  •  最近は、フリーランスとの直接取引が増えてきている。フリーランスは、組織による制限を望んでいないが仕事に対しては情熱を持って取り組む人が多い。フリーランスの働く環境が守られるように、公正取引委員会には厳しいチェックをお願いしたい。(和歌山市)
  •  発注企業から、中小企業向けにグリーン調達への対応を要求されるが、過度な要求、過度な企業選別にならないように、公正取引委員会には注視してもらいたい。(和歌山市)
  •  小規模事業者が公正取引委員会に直接相談することはハードルが高い。これまで以上に、事業者の身近な相談先である商工会との連携を深め、小規模事業者の相談しやすい環境を作ってもらいたい。(金沢市)

2 独占禁止法の運用について

  •  近年、公正取引委員会は法執行の対象とする分野が非常に広く業務としては大変だと思うが、ガイドラインを制定した分野や実態調査を行った分野等について、その後、何年も目を向けずに放置することがないようにしてほしい。(青森市)
  •  広島地区では、入札談合や下請法違反を摘発しており、公正取引委員会はよく対処していると感じる。ただ、入札談合の課徴金額は低く、入札談合によってもたらされた利益の方が大きいのではないか。違反事業者に対するペナルティをもう少し重くして、再発防止を更に進めてもらいたい。(広島市)
  •  確約手続による措置も、正式な法的措置であって積極的に利用されており、迅速に救済が図られるという部分で積極的に評価しているが、よりインパクトや効果が大きいと考えられる排除措置命令も、積極的に行ってほしい。(熊本市)

3 競争環境の整備のための取組(アドボカシー)について

  •  新聞社1社とデジタル・プラットフォーム事業者の交渉力格差から、集客力あるコンテンツの提供に正当な対価が払われず、配信料が昔のままである。また、地域向けコンテンツなどの掲載基準が新聞社側に不透明で、アルゴリズム情報の非対称性があるといった点も問題である。公平な商習慣を作るために国の関与も重要であり、ニュースコンテンツ配信分野の実態調査において、これらの点も含めた実態の解明及び改善に期待したい。(さいたま市)
  •  クレジットカード会社間のインターチェンジフィーの標準料率を公開するよう公正取引委員会等が求めていたところ、その求めに応じて数社が標準料率を公開するようになった。キャッシュレス決済の普及によりクレジットカードを活用する場面が多くなっており、公正取引委員会のこうした取組は、クレジットカード会社間の競争を促すために非常に有用である。(徳島市)
  •  公正取引委員会の実態調査報告書について、例えばフィンテック関係の報告書はその後のキャッシュレス決済の積極的な進展に貢献していると思う。公正取引委員会が出す報告書が社会に与える影響は大きいので、今後も積極的に実態調査を進めてほしい。(熊本市)

4 広報活動について

  •  相談窓口について、分野ごとに専門の窓口を設けており、大変充実していると感じるが、当該窓口の存在を知らない方も多い。特に、中小零細企業への広報活動について、今まで以上に注力してほしい。(青森市)
  •  世間では、不公正な取引方法がどのようなものか十分に理解されていないように思われる。公正取引委員会には、特に社会に出る前か、あるいは出てから間もない方々に対して、不公正な取引方法、中でも優越的地位の濫用について啓発してほしい。(北海道旭川市)
  •  下請法の運用基準を改正するなど、価格転嫁円滑化のために買いたたきの取り締まりを公正取引委員会は強化しているが、それが実際の取引にどのように役立つのか、中小・下請事業者がそうした公正取引委員会の取組を知っているのか疑問に感じる。公正取引委員会が実施する各種施策は、一般的な市民感覚からすると分かりづらいものが多いため、それに関わる人に知ってもらい、内容を理解してもらって、十分に活用されるよう、効果的な広報活動に気を配るべきと感じる。(徳島市)
  •  大企業は法務部門の担当者が公正取引委員会の業務内容を知っているものの、中小企業にはそういう部門は少ないと思う。そのため、中小企業の総務部門の人を対象にした勉強会を開けば、良い広報活動になるのではないかと思うし、我々の団体としても協力したい。(広島市)

5 その他

  •  談合が行われると、事業者だけに利益が生じ、税金を使われる消費者にとっては非常に不利益である。大きなプロジェクトがあるときこそ、公正取引委員会の出番だと思う。(さいたま市)

関連ファイル

ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。(印刷用)(令和5年2月15日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見についてpdfダウンロード(2,635 KB)

PDF形式のファイルを開くには、Adobe Reader(旧Adobe Acrobat Reader)が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe ReaderAdobe Readerのダウンロードへ


問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp

ページトップへ