令和5年6月27日
公正取引委員会
公正取引委員会は、福岡有明海漁業協同組合連合会(以下「福岡有明漁連」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、福岡有明漁連の後記2の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第11項(排他条件付取引)又は同第12項(拘束条件付取引))の規定に違反する疑いが認められた。公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、福岡有明漁連によって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和5年4月17日、同法第48条の2の規定に基づき、福岡有明漁連に対し確約手続に係る通知を行った。
今般、福岡有明漁連から、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記2の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は後記2の行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)。
なお、本認定は、公正取引委員会が福岡有明漁連の当該行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。
1 申請者の概要
法人番号 | 4290005013873 |
名称 | 福岡有明海漁業協同組合連合会 |
所在地 | 福岡県柳川市三橋町高畑271番地 |
代表者 | 代表理事 西田 晴征 |
2 違反被疑行為の概要
福岡有明漁連は、漁協 (注3) を通じて、生産者 (注4) から乾海苔の販売を受託し、当該乾海苔を、自らが実施する乾海苔の入札により指定商社 (注5) に販売しているところ、次の行為を行っている。
(1) 漁協を通じて、生産者に対し、生産した乾海苔の全量を生産者が所属する漁協に出荷する旨の条件を定めた誓約書に記名押印
させるとともに、当該誓約書に定めた条件を遵守するよう要請している。
(2) 漁協に対し、生産者から集荷した乾海苔の全量を自らに出荷する旨の条件を覚書として定めるとともに、当該覚書に定めた条
件を遵守するよう要請している。
(3) 指定商社に対し、自らが実施する入札に付した乾海苔以外に、生産者が生産した乾海苔の買付けを行わない旨の条件を、自ら
が構成員となっている九州地区漁連乾海苔共販協議会(以下「九州共販協議会」という。) (注6) において書面により定めるととも
に、書面に定めた条件を遵守するよう要請している。
(4) 自らが構成員となっている九州共販協議会において、自らが実施する入札に付したものの、最も高い入札価格が基準価格 (注
7)に満たなかった乾海苔(以下「札無品」という。)について、当該乾海苔を生産した生産者の意向を確認することなく、当該乾
海苔を処分することとしている。
(注3)福岡有明漁連の会員である漁業協同組合であって所属組合員に乾海苔を生産する者がいる漁業協同組合をいう(手鎌漁業協同組合を除く)。
(注4)漁協の所属組合員のうち乾海苔を生産する者をいう。
(注5)福岡有明漁連が実施する乾海苔の入札に参加する事業者をいう。
(注6)福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、長崎県、鹿児島県及び山口県の区域内で乾海苔の販売事業を行う漁業協同組合連合会等を会員とした任意団体。
(注7)福岡有明漁連が年度ごとに設定する乾海苔1枚当たりの最低落札価格をいう。
3 確約計画の概要
(1) 前記2の行為を取りやめること。(2) 前記(1)の一環として、次の措置を講じること。
ア 前記2(1)の誓約書を廃止
イ 前記2(2)の覚書を廃止
ウ 九州共販協議会において定めている活性処理剤等に関する覚書(前記2(3)の書面)のうち、浜買い (注8) 禁止に関する条文を
エ 九州共販協議会において定めている乾海苔共販に関する確認書(前記2(4)の札無品の処分について定めた書面)のうち、札無
(3) 前記(1)、(2)及び後記(5)の措置を採る旨を理事会で決議すること。
(4) 前記(3)に基づき採った措置を、直ちに漁協を通じて生産者に対し通知すること。また、当該措置を指定商社に通知し、か
(5) 前記2の行為と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後3年間実施すること。
(6) 次の事項を行うために必要な措置を講じること。
ア 乾海苔の取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに同指針の福岡有明漁連の役員及び職員並びに漁
(7) 前記(1)から(4)まで及び前記(6)の措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。
(8) 前記(5)の措置及び前記(6)イに基づいて講じた措置の履行状況を、今後3年間、毎年、公正取引委員会に報告すること。
(注8)福岡有明漁連が実施する入札に付された乾海苔以外に乾海苔の買付けを行うことをいう。
4 確約計画の認定
公正取引委員会は、次のとおり、前記3の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計
画を認定した。
(1) 措置内容の十分性
前記3の確約計画に記載の措置の内容は、違反被疑行為の取りやめ(前記3(1)(2))、違反被疑行為の将来不作為(前記3(5))、違反被疑行為の取りやめ等についての理事会決定(前記3(3))、生産者及び指定商社に対する通知等(前記3(4))を備えており、疑いの理由となった行為すべてに対応していることから、前記2の行為を排除するために十分であると判断した。
(2) 措置実施の確実性
福岡有明漁連は、前記3の確約計画においてコンプライアンス体制の整備を措置に含めていること、措置の内容ごとに実施期限を設けていること、また、当該措置の履行状況の報告を行うこととしていることから、前記3の確約計画は確実に実施されると判断した。
関連ファイル
(令和5年6月27日)福岡有明海漁業協同組合連合会から申請があった確約計画の認定について(251 KB)
(令和5年6月27日)参考1-2(過去の事例及び参照条文)(117 KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局審査局第四審査
電話 03-3581-3345(直通)
公正取引委員会事務総局九州事務所第二審査課
電話 092-431-6034(直通)
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