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(令和5年3月27日)工機ホールディングス株式会社に対する勧告について

(令和5年3月27日)工機ホールディングス株式会社に対する勧告について

令和5年3月27日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、工機ホールディングス株式会社(以下「工機ホールディングス」という。)に対し調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第5号(買いたたきの禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、下請法第7条第2項の規定に基づき、同社に対し勧告を行った。

1 違反行為者の概要

法 人 番 号  7010401038697
名   称  工機ホールディングス株式会社
本店所在地  東京都港区港南二丁目15番1号
代 表 者  代表取締役 寺口 博
事業の概要  電動工具の販売等
資 本 金  1億円(注)本件違反行為時は51億2608万7500円

2 違反事実の概要

⑴ 工機ホールディングスは、子会社又は卸売業者に販売する電動工具向けホースカバーセット(以下「ホースカバーセット」という。)の製造を個人たる事業者(以下「本件下請事業者」という。)に委託していた。

⑵ア 本件下請事業者は、ホースカバーセットの原材料価格の上昇等を背景として、製造原価割れが生じることが明らかであると認識したことから、令和2年12月から令和3年1月までの間に、工機ホールディングスに対して、ホースカバーセットの単価の引上げを求める見積書を提出した。

 イ 工機ホールディングスは、本件下請事業者が提示した見積単価では自社の利益に与える影響が大きく、また、本件下請事業者から単価引上げが必要な理由が十分示されていないと考えていたが、価格交渉が長期化すると自社の生産活動に影響が生じかねないことを踏まえ、令和3年1月12日頃、本件下請事業者に対して、自社の利益を優先し、本件下請事業者の製造原価等を考慮することなく、単に区切りがよいとして設定した金額を提示した上、実際には具体的な単価引上げの計画などなかったにもかかわらず、今後、段階的に単価を引き上げる旨を伝えた。

   なお、このとき工機ホールディングスが提示した金額は、本件下請事業者によるホースカバーセットの見積単価よりも約46パーセント少ない金額であった。

 ウ 本件下請事業者は、前記イで工機ホールディングスから提示された金額では製造原価割れが継続すると認識していたものの、工機ホールディングスから伝えられた、段階的に単価を引き上げる旨の言動を信頼し、令和3年1月22日頃、前記イで工機ホールディングスから提示された金額を記載した見積書を再提出した。

 エ 工機ホールディングスは、前記ウで再提出された見積書を用いて単価改定の社内稟議を行い、令和3年1月29日から新単価を適用した。これにより、ホースカバーセットの単価は、従来と比較して約17パーセント上昇したが、当該新単価でも本件下請事業者の製造原価を下回っていた。

⑶ 工機ホールディングスは、前記⑵イの言動に反して、令和3年1月29日以降、本件下請事業者に対するホースカバーセットの単価を引き上げることはなかった。

⑷ ホースカバーセットの製造は、本件下請事業者に生じた事由により、一定数量納品したところで、他の事業者に引き継がれることになった。工機ホールディングスが、令和4年5月18日に、当該他の事業者と価格協議を行って定めたホースカバーセットの単価は、前記⑵エの新単価の3倍を超える額であった。

⑸ 工機ホールディングスは、令和5年3月15日、本件下請事業者に対し、同人が令和2年12月から令和3年1月までの間に最初に提示した見積単価を用いて計算した代金の額と下請代金の額との差額である302万9268円を支払った。

⑹ 工機ホールディングスから本件下請事業者に発注されていたホースカバーセットの単価は、平成21年2月頃から令和3年1月28日までの間、10年以上にわたって据え置かれていたものである。

  また、平成30年には、工機ホールディングスの担当者が本件下請事業者へ自社の原価低減活動への協力を打診し、本件下請事業者が可能な範囲で協力を検討すると回答したにすぎないにもかかわらず、工機ホールディングスの担当者は、本件下請事業者に発注していたほとんど全ての商品について、製造に要する原材料費等の動向を考慮することなく、単価を一律5パーセント引き下げた本件下請事業者名義の見積書を作成した上、本件下請事業者に、印を押して提出するよう求めており、この行為には工機ホールディングスの役員も関与していた。

  ただし、この時は、本件下請事業者が当該見積書を提出しなかったため、一律の単価引下げは実施されていない。

3 勧告の概要

⑴ 工機ホールディングスは、次の事項を取締役会の決議により確認すること。

 ア 前記2⑵の行為が下請法第4条第1項第5号の規定に違反するものであること。

 イ 今後、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めないこと。

⑵ 工機ホールディングスは、今後、下請法第4条第1項第5号の規定に違反する行為を行うことがないよう、自社の発注担当者等に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること。

⑶ 工機ホールディングスは、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。

 ア 下請事業者に対して、当該事業者が令和2年12月から令和3年1月までの間に最初に提示した見積単価を用いて計算した代金の額と下請代金の額との差額である302万9268円を支払ったこと。

 イ 前記⑴及び⑵に基づいて採った措置

⑷ 工機ホールディングスは、次の事項を取引先下請事業者に通知すること。

 ア 下請事業者に対して、当該事業者が令和2年12月から令和3年1月までの間に最初に提示した見積単価を用いて計算した代金の額と下請代金の額との差額である302万9268円を支払ったこと。

 イ 前記⑴から⑶までに基づいて採った措置

⑸ 工機ホールディングスは、前記⑴から⑷までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。

関連ファイル

(印刷用)(令和5年3月27日)工機ホールディングス株式会社に対する勧告についてpdfダウンロード(201 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室
電話 03-3581-3374(直通)
ホームページ  https://www.jftc.go.jp/

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