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(令和5年5月24日)独占禁止政策協力委員等から寄せられた主な意見(令和4年度)について

(令和5年5月24日)独占禁止政策協力委員等から寄せられた主な意見(令和4年度)について

令和5年5月24日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した競争政策の運営に資するため、独占禁止政策協力委員制度を設置し、各地域の有識者に独占禁止政策協力委員(定員150名)を委嘱するとともに、各地域の経済団体などとの懇談会を開催し、独占禁止法などの運用や競争政策の運営などについて意見及び要望を聴取している。

 令和4年度に寄せられた主な意見は、次のとおりである(地域ブロックごとの詳細は別紙参照)。

1 公正取引委員会に対する期待について

・ 「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、公正取引委員会は幅広い取組を実施しており、中小企業の集合体である経済団体としては期待している。公正取引委員会には、この取組の成果が我々に体感できるよう頑張ってもらいたい。【北海道】

・ 公正取引委員会がデジタル分野に関して独占禁止法の考え方や実態調査報告書を公表することにより豊富な情報提供を行っているのは、とても良いことである。報告書等で問題となる行為をあらかじめ例示することで、問題点の整理に役立っている。【東北】

・ 公正取引委員会のクレジットカードの実態調査が一つの契機となって、クレジットカードのインターチェンジフィーの標準料率が公開される運びとなったことは、消費者としても非常に良いことだと思う。このような、消費者からみて不透明な取引の仕組みを公正取引委員会が解明してくれることを期待している。【関東】

・ 最近の公正取引委員会は、YouTube、Twitter等、SNSを利用して分かりやすい情報発信を行おうとしている努力が感じられる。このような広報活動を継続してほしい。【近畿】

・ 独占禁止法教室における公正取引委員会職員の経験談・実体験のコメントが、公正取引委員会に対する興味や志望する要因になったようで、生徒から非常に好評であった。そのため、学生向けの広報活動は今後も続けていただきたい。【中国】

2 地域経済の実情と競争政策上の課題について

・ 農協や漁協は、組合員に対する信用事業において、銀行等の金融機関と競争関係にあるが、組合員としては、事業全体に対するサポートがある農協や漁協からの融資の方がメリットを感じやすいのではないか。銀行等としても、天候デリバティブのような商品はあるものの、農業や漁業のように天候に左右されやすい業務はリスクが大きいため、手を出しづらく、組合員のニーズを発掘することも難しい。【中部】

・ 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律(令和2年法律第32号。以下「特例法」という。)に関して、消費者のメリットを第一に考える必要があり、地域の金融機関や交通機関の合併、寡占化等によって必要以上に価格が引き上げられるようなことがないよう、公正取引委員会がしっかりと監視すべきである。【四国】

・ 銀行の合併の影響で、町中にあるATMの数が半分になり、利便性が低下したと聞いた。公正取引委員会は、ATMの設置に関する条件を付けて銀行の合併を進めるべきであったと思うが、事業者の業務内容にどこまで口を出してよいのか、線引きが難しいとも感じる。合併によるサービスの低下をどのようにして防ぐかについては考えていく必要がある。【九州】

3 中小企業の取引適正化/優越的地位の濫用規制・下請法の規制について

・ カーボンニュートラル、脱炭素社会ということが地球規模の課題となっている。SDGsへの取組に参加する企業が多く見られるところ、環境問題に配慮した製品を製造するにはコストが掛かるので、大企業が下請事業者、中小企業を締め付けることがないように、公正取引委員会には下請法の執行強化をお願いしたい。【北海道】

・ 親事業者等との取引において何かあった際に、公正取引委員会に相談するのは正直難しいと感じている。公正取引委員会への相談・申告は、親事業者等と決別する覚悟がないとできないことであるので、それを考えるとなかなか厳しいのではないか。匿名でも情報提供できるとのことだが、親事業者に知られるかもしれないという不安や懸念が下請事業者等にはあるということを念頭に置き、引き続き下請事業者等が相談しやすい環境作りに取り組んでいただきたい。【東北】

・ 政府が「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を公表したことは、重要な意義があった。取引においてフリーランスに不利な条件を飲ませるような事案については、厚生労働省が労働法制で解決すべきという意見もあるが、委託者とフリーランスとの間の契約の中に競争政策をどのように織り込んでいくかという視点が重要である。委託者に対するメッセージ性の強いガイドラインがあれば、良い政策提言にもつながるのではないか。また、相談事例や一般論でのガイドラインよりも、問題のある契約書そのものを示してもらう方が、事業者にとっては分かりやすいだろう。【関東】

・ 大企業と中小企業との共同開発や知的財産における契約について、基本契約書の草案は、通常、大企業が作成するため、大企業に有利な内容となっている。当初の契約内容に問題があるとして弁護士が中小企業にアドバイスしたとしても、大企業側が契約の内容を変えてくれるかというとかなり厳しい状況にあるし、中小企業側にとっては、そもそも契約できずに仕事が無くなる危険性があるため、不利な契約内容でも受け入れざるを得ないという実態がある。契約自由の原則との兼ね合いがあるが、新規契約のスタートの場面で片務的な取引を押し付けてくるようなことをどう改善していくかというのがなかなか難しい。【四国】

・ フリーランスは、取引先に対して弱い立場になりやすいだけでなく、事業者なのか労働者なのか曖昧な部分もあるところ、政府が省庁横断的に問題解決に向けて取り組んでいることは良いことであり、適切な法整備がなされることを期待する。【沖縄】

4 経済のデジタル化の進展と競争政策の役割について

・ デジタル・プラットフォーム事業者を取り巻く法律が整備されているが、規制が本格化したとまではいえず、各事業者の自主的な取組に期待を示す方向で落ち着いている状況である。継続的にデジタル・プラットフォーム事業者に関する取引実態や利用状況の調査が行われ、デジタル・プラットフォーム事業者への規制が強化されることを期待している。【関東】

・ デジタル・プラットフォーム事業者との契約は、外部から見えにくいという特徴がある。実態調査などを通じて、どのような契約に、どのような問題があるのか、できるだけ社会に伝わるように公表するよう工夫していただきたい。また、デジタル分野における実態調査の結果を公表した後は、それで終わるのではなく、その後のフォローアップもしっかりと行ってもらいたい。【近畿】

・ デジタル・プラットフォーム事業者は、地方の事業者にも必要不可欠なものとなっている。事業者からすれば、デジタル・プラットフォーム事業者と取引しなければ事業活動が困難になるため、多少無理な契約条件でも受け入れざるを得ない場面や、契約条件の変更を申し入れても聞き入れてもらえない場面が増えることが予想される。そのため、これからもデジタル・プラットフォーム事業者の動向について、監視の目を光らせてもらいたい。【四国】

・ デジタル化の進展によってこれまでになかった競争政策上の問題も多く顕在化してきている。これらの問題に対応するためにも専門性の高い人材の育成や外部の専門家の採用に力を入れるべきであると思う。【沖縄】

5 競争環境の整備に係る調査・提言について

・ 自動車業界は、ガソリン車から電気自動車への大きな変革期にあり、異業種の事業者が参入してくるなど誰がライバルなのかも分からない状況である。また、世界市場で競争するため、国内の自動車メーカーが合従連衡する可能性もあるだろう。公正取引委員会には、自動車業界に関して、足下の状況だけでなく、10年、20年先を見据えた議論をお願いしたい。【中部】

・ フリーランスの労働市場の適正化、人材の流通市場の適正化のために、転職サイトの実態を調査する必要がある。転職サイトの手数料の仕組みについて全国的な実態調査をしていただきたい。【中国】

・ 最近の国際情勢を受けて、発電に必要な燃料が高騰した影響などにより、新電力が電力市場から相次いで撤退していること等によって、一時期は進んでいたように見えた電力業界の競争が無くなり、利用者と旧一般電気事業者の間で価格交渉ができなくなっていると感じている。【九州】

・ 公正取引委員会の実態調査報告書は、専門性が高く難しい。実態調査報告書に記載されている提言等が、消費者にとってどのようなメリットに繋がるのかを分かりやすく発信してもらえると、国民の注目も高まるのではないか。【沖縄】

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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