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(令和6年12月12日)橋本総業株式会社から申請があった確約計画の認定について

(令和6年12月12日)橋本総業株式会社から申請があった確約計画の認定について

令和6年1212日

公正取引委員会

 

 公正取引委員会は、橋本総業株式会社(以下「橋本総業」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、同社の後記3の行為が独占禁止法第19条(特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法(以下「物流特殊指定」という。)第1項第2号(代金の減額)、同項第3号(買いたたき)及び同項第6号(不当な経済上の利益の提供要請))の規定に違反する疑いが認められた。
 公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、橋本総業によって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和6年11月7日、同法第48条の2の規定に基づき、同社に対し確約手続に係る通知を行った。
 今般、橋本総業から、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記3の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)
 なお、本確約計画には、後記4のとおり、確約措置の履行期間を5年間とすること及び確約措置全体の履行についての監視を第三者に委託することが含まれている(注3)
 また、本認定は、公正取引委員会が橋本総業の後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の5第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

(注3)令和6年7月3日の事務総長定例会見において、より効果的かつ実効的な確約手続の運用のための対応を明らかにしている。

1 申請者の概要

法人番号 6010001167534
名称 橋本総業株式会社
所在地 東京都中央区日本橋小伝馬町14番7号
代表者 代表取締役 阪田 貞一

2 橋本総業と物流事業者との取引等

⑴ 橋本総業は、東京都中央区に本店を置き、全国において管工機材(注4)、住設機器(注5)等の卸売業を営む事業者である。

⑵ 橋本総業は、全国のいわゆる機械器具卸売業において売上高が上位の事業者である。

⑶ 橋本総業は、物流事業者に対し継続的に物品の運送を委託する事業者であり、あらかじめ定められた経路で自社の特定の取引先に物品を運送する「ルート便」 と称する運送業務(以下「本件運送業務」という。)を物流事業者に委託している。

⑷ 橋本総業が本件運送業務を委託している物流事業者の中には、橋本総業よりも資本金額が小さい者、橋本総業に対する取引依存度が高い者などがいる(以下、 橋本総業が本件運送業務を委託する物流事業者のうち、物流特殊指定の備考第2項に規定する特定物流事業者に該当する事業者のことを「本件物流事業者」という。)。

(注4)「管工機材」とは、建物の給排水設備、冷暖房設備等といった設備機器と、それらの機器をつなぐ配管機材(管類、バルブ類等)の総称をいう。

(注5)「住設機器」とは、キッチン、洗面台、バス、トイレ、給湯器、エアコン等といった、住宅設備として取り付けられる機器の総称をいう。

3 違反被疑行為の概要

 橋本総業は、遅くとも平成29年7月以降、本件物流事業者に対して、次の行為を行っている。

⑴ 一部の本件物流事業者に対し、当該物流事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、あらかじめ定めた代金の額から

ア 「お支払割戻金」と称して、当該額に一定率を乗じて得た額を減じている。

イ 当該代金を当該物流事業者の金融機関口座に振り込む際の手数料を減じている。

⑵ 一部の本件物流事業者との間で、あらかじめ、委託する本件運送業務に係る1日当たりの業務時間及び当該業務時間を超える部分の業務に係る運賃について取り決めず、日又は月単位の定額の運賃を設定しているところ、当該物流事業者において法定時間外労働(注6)を要するような長時間の本件運送業務について、当該物流事業者に支払われる運賃の1時間当たりの額が、当該物流事業者の本件運送業務の内容と同種又は類似の内容の運送業務に対し通常支払われる運賃の1時間当たりの額に比し著しく低い額となる運賃で委託している。

⑶ 一部の本件物流事業者との間で、委託する本件運送業務に係る1日当たりの業務時間及び当該業務時間に対する日又は月単位の定額の運賃を設定していると ころ、委託する本件運送業務が当該物流事業者において当該業務時間を超える時間を要するものであるにもかかわらず、あらかじめ当該物流事業者との間で当該業務時間を超える部分の本件運送業務に係る運賃について取り決めていないことにより、当該業務時間を超える部分の本件運送業務を無償で行わせている。

⑷ 一部の本件物流事業者に対し、委託内容に含まれていない本件運送業務に係る特定の附帯作業(注7)について、あらかじめ当該物流事業者との間で取引の条件を取り決めることなく、当該物流事業者に無償で行わせている。

(注6)「法定時間外労働」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条第2項に規定する1日当たりの労働時間を超える労働をいう。

(注7)「附帯作業」とは、本件物流事業者が、①橋本総業の配送センターにおいて保管場所から運送する物品を取り出す作業、②当該物品を本件物流事業者の車両に積み込む作業、③橋本総業の取引先の事業所等において当該物品を当該車両から取り卸す作業及び④橋本総業の取引先から返品されることとなった物品を回収する作業をいう。

4 確約計画の概要

⑴ 前記3の行為を取りやめること。

⑵ 次の事項を取締役会で決議すること。

ア 前記3の行為を取りやめること。

イ 前記3の行為と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後5年間実施すること。

⑶ 前記(2)に基づいて採った措置及び前記(1)の措置を採る旨を、本件運送業務を委託する物流事業者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底すること。

⑷ 前記3(1)から(3)までの行為に関する本件物流事業者における金銭的価値を回復すること。

⑸ 前記3の行為と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後5年間実施すること。

⑹ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア 物流事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成及び自社の従業員に対する周知徹底

イ 物流事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

⑺ 前記(1)から(6)までの措置の履行についての監視を、第三者(公正取引委員会が承認した者に限る。)に委託すること。

⑻ 前記(1)から(4)まで及び前記(6)の措置の履行状況を、公正取引委員会に対し、前記(7)で委託した第三者に報告させること。

⑼ 前記(5)の措置及び前記(6)イに基づいて講じた措置の履行状況を、今後5年間、毎年、公正取引委員会に対し、前記(7)で委託した第三者に報告させること。

5 確約計画の認定

 公正取引委員会は、次のとおり、前記4の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。
 なお、当該確約計画が実施されることにより、前記4(4)の金銭的価値の回復については、現時点において、本件物流事業者のうちおよそ25社に対し、総額約3800万円と見込まれる。

⑴ 措置内容の十分性

ア 前記4の確約計画に記載の措置の内容は、過去の排除措置命令で独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用))の規定に違反すると認定された事案における排除措置の内容を全て含んでいる。

イ また、前記4(4)の金銭的価値の回復措置は、本件物流事業者にとっては違反被疑行為により被った不利益に係る被害救済の効果があるものであるとともに、違反被疑行為の再発防止につながるものである。

ウ 以上を踏まえれば、本件においては、前記4の確約計画に記載の措置の内容は、措置内容の十分性を満たすと判断した。

⑵ 措置実施の確実性
 橋本総業は、前記4の確約計画において措置の履行についての監視を第三者(公正取引委員会が承認した者)に委託し、措置の履行状況に関する公正取引委員会に対する報告を当該第三者に行わせるとしていること、また、措置の内容ごとに実施期限を設けていることから、前記4の確約計画は確実に実施されると判断した。

関連ファイル

(令和6年12月12日)橋本総業株式会社から申請があった確約計画の認定についてpdfダウンロード(105 KB)

(令和6年12月12日)本件の概要pdfダウンロード(286 KB)

(令和6年12月12日)参考(過去の事例、参照条文、物流特殊指定の概要)pdfダウンロード(253 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第二審査
電話 03-3581-3384(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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