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(令和6年12月24日)株式会社MCデータプラスに対する排除措置命令について

(令和6年12月24日)株式会社MCデータプラスに対する排除措置命令について

令和6年1224日

公正取引委員会

 

 公正取引委員会は、株式会社MCデータプラス(以下「MCデータプラス」という。)に対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令を行った。

 本件は、MCデータプラスが、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第14項(競争者に対する取引妨害))の規定に違反する行為を行っているものである。


1 違反事業者

法人番号 7010001167434
名称 株式会社MCデータプラス
所在地 東京都渋谷区恵比寿一丁目18番14号
代表者 代表取締役 飯田 正生
事業の概要 建設業向けクラウドサービス(注1)事業等

(注1) 「建設業向けクラウドサービス」とは、建設工事の現場における各種関連業務の効率化を目的として、当該業務に係る情報の共有及び管理の支援を、インターネットを介して、建設業者等に提供する役務をいう。

2 MCデータプラスが提供する建設業向けクラウドサービスの概要等

⑴ MCデータプラスは、平成27年7月1日以降、「建設サイト・シリーズ」と称する建設業向けクラウドサービスを建設業者等のユーザーに提供する事業を営んでおり、その主なサービスとして、「グリーンサイト」と称する労務安全サービス(注2)を提供している(注4)

(注2) 「労務安全サービス」とは、建設工事の現場において、元請となるユーザーと下請となるユーザーとの間での労務安全書類(注3)のやり取りをインターネット上で行うことにより業務効率化を可能とする役務である。

(注3) 「労務安全書類」とは、建設業法(昭和24年法律第100号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等に基づき、建設工事の現場において、労務・安全衛生を管理するために作成が義務付けられるなどしている書類をいう。

(注4) MCデータプラスは、平成31年4月以降、労務安全サービスに係る売上高において第1位の地位を占めている。

⑵ ユーザーは、グリーンサイトの利用に当たり、自社らの作業員情報等(注5)を登録する必要があるところ、グリーンサイトのユーザーが他社の労務安全サービスに切り替えるためには、他社の労務安全サービスに作業員情報等を再度入力して登録する必要がある。この登録のために入力が必要となる作業員情報(注6)は、作業員1人につき最大100項目を超えることがあるため、多くの作業員を抱えるユーザーにとって作業員情報の登録は大きな負担となる。

(注5) 「作業員情報等」とは、労務安全サービスの利用に当たり、ユーザーが登録する作業員情報(注6)、車両・機械情報、企業情報、現場情報等の情報をいう。

(注6) 「作業員情報」とは、ユーザーのうち、下請となるユーザーが登録する、建設工事の現場で作業に従事する作業員の個人情報(注7)をいう。

(注7) MCデータプラス及びグリーンサイトのユーザーは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)第27条第5項第3号等に定める方法により、当該作業員情報を共同して利用している。当該作業員情報は、個人情報保護法上、通常、共同利用の目的の範囲を超えて利用することができないが、あらかじめ本人の同意を得ることにより、共同利用の目的の範囲を超える利用が可能である。

⑶ ユーザーがグリーンサイトに登録した自社らの作業員情報等は、労務安全書類の作成等に利用され、ユーザーは必要に応じて、労務安全書類を電磁的記録である帳票(以下「帳票」という。)として出力することができる。

  MCデータプラスは、グリーンサイトにおいてユーザーが帳票として出力する場合を除き、ユーザーが、その登録した作業員情報等を電磁的記録として直接出力することができないようにしている。

3 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

 MCデータプラスは、自社が提供する労務安全サービスの優位性が低下するリスクを回避するためには、グリーンサイトに登録された作業員情報等を当該サービスを提供する事業に新規に参入してきた他社に流出させないことが不可欠であるとの認識の下、次のとおり、グリーンサイトのユーザーが他社の労務安全サービスへの切替えをしないようにさせている。

⑴ MCデータプラスは、ユーザーが登録した作業員情報等を電磁的記録として直接出力できないようにしているため、ユーザーの中には、MCデータプラスに対し、当該ユーザーが求める他社の労務安全サービスに移行可能な形式で、作業員情報の提供を要請する者がいた。しかし、MCデータプラスは、遅くとも令和2年頃以降、当該要請があった場合に、グリーンサイトのユーザーに対し、当該ユーザー自らが登録した作業員情報であるにもかかわらず個人情報の保護を理由にするなどして、合理的な理由なく当該作業員情報の提供を拒んでいる。

⑵ア 令和元年9月9日、MCデータプラスは、シェルフィー株式会社(以下「シェルフィー」という。)(注8)による移行記事(注9)の公開をやめさせることを目的として、「「建設サイト・シリーズ」サービス利用約款」と称する約款(以下「サービス利用約款」という。)(注10)第29条第1項(8)の規定を改定し、同日以降、グリーンサイトのユーザーに対し、グリーンサイトから出力した帳票及び当該帳票を印刷した文書(以下これらを「帳票等」という。)を他社に提供する行為を一律に禁止した。

(注8) シェルフィーは、平成31年4月頃以降、「Greenfile.work」と称する労務安全サービスをユーザーに提供している。

(注9) 「移行記事」とは、グリーンサイトから出力した帳票をシェルフィーに提供することにより作業員情報を同社が提供する労務安全サービスに移行する方法等を記載した、同社のウェブサイト上に公開された記事をいう。

(注10) グリーンサイトのユーザーは、サービス利用約款に同意しなければ、グリーンサイトを利用できない。

イ 令和3年12月1日、MCデータプラスは、サービス利用約款第29条第1項(12)の規定を新設し、同日以降、グリーンサイトのユーザーに対し、作業員情報を共同利用の目的の範囲外で加工、複写又は複製することを一律に禁止した。

⑶ア 令和元年10月21日、MCデータプラスは、シェルフィーに対し、シェルフィーが公開した移行記事は、サービス利用約款に違反する行為をグリーンサイトのユーザーに促すものであり、当該ユーザーにとってグリーンサイトの利用停止等の不利益を招きかねない内容であるとして、移行記事の削除等を求める旨を同日付けの配達証明郵便により通知した。

イ 令和3年1月20日、MCデータプラスは、シェルフィーが移行記事を用いて営業を行っていることを確認したことから、シェルフィーに対し、前記アと同様の理由により、シェルフィーが公開した移行記事の削除等を求める旨を同月21日付けの内容証明郵便により通知した。

⑷ 令和2年9月頃、MCデータプラスは、グリーンサイトのユーザーが、株式会社リバスタ(以下「リバスタ」という。)(注11)の提供する労務安全サービスへの切替えに当たり、グリーンサイトから出力した帳票等をそのまま他社に提供している事例を把握したことから、グリーンサイトのユーザーに対し、当該行為と同様の行為を行わないように注意喚起することを目的として、同年10月7日、当該事例はサービス利用約款第29条第1項(8)に規定する禁止事項に該当する旨の周知文を建設サイト・シリーズのポータル画面に掲載するとともに、同年10月20日、同月23日及び同月28日の3回に分けて、前記周知文と同様の内容を記載した電子メールを送信した。

(注11) リバスタは、令和2年4月頃以降、「Buildee労務安全」と称する労務安全サービスをユーザーに提供している。

4 排除措置命令の概要

⑴ MCデータプラスは、ユーザーに対し、グリーンサイトを提供するに当たり、作業員情報を提供するよう要請を受けた場合に、合理的な理由なく、ユーザー自らが登録した当該作業員情報を、当該ユーザーが求める形式で当該ユーザーに提供することに応じない行為を取りやめなければならない。

⑵ MCデータプラスは、次の事項を取締役会において決議しなければならない。

ア 前記⑴の行為を取りやめること

イ グリーンサイトのユーザーに対し、グリーンサイトから出力した帳票等を他社に提供する行為等を一律に禁止する行為を既に行っていないことを確認すること

ウ 今後、前記⑴及び前記イの行為と同様の行為を行わないこと

⑶ MCデータプラスは、前記⑴及び⑵に基づいて採った措置を、グリーンサイトのユーザー、シェルフィー及びリバスタに通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。

⑷ MCデータプラスは、今後、前記⑴及び前記⑵イの行為と同様の行為を行ってはならない。

⑸ MCデータプラスは、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。

ア 建設業向けクラウドサービス事業に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の改定並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底

イ 建設業向けクラウドサービス事業に関する独占禁止法の遵守についての、自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者及び第三者による定期的な監査

⑹ MCデータプラスは、前記⑴、⑵、⑶及び⑸に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

関連ファイル

(令和6年12月24日)株式会社MCデータプラスに対する排除措置命令についてpdfダウンロード(99 KB)

(令和6年12月24日)本件の概要pdfダウンロード(2,816 KB)

(令和6年12月24日)参考(最近の競争者に対する取引妨害事件及び参照条文)pdfダウンロード(92 KB)

(令和6年12月24日)別添(排除措置命令書)pdfダウンロード(174 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第二審査上席
電話 03-3581-3335(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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