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(令和6年2月21日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について

(令和6年2月21日)有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について

令和6年2月21日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、毎年度、全国の主要都市において、主要経済団体、消費者団体、弁護士会、学識経験者、報道関係者等の有識者と当委員会の委員等との懇談会を開催することで、各地域の実情や幅広い意見・要望を把握し、独占禁止法等の運用にいかしています。
 令和5年度においては別紙1のとおり開催したところ、有識者(別紙2)から示された主な意見の概要は以下のとおりです(地区別の主な意見は別紙3のとおりです。)。
 公正取引委員会としては、これらの意見を踏まえて、今後とも独占禁止法等の的確な運用に努めてまいります。

1 中小事業者等の取引適正化について

(1) 労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適正な価格転嫁

  •  大企業に比べ、労働分配率が高い中小企業、小規模事業者の事業の継続のためには、賃上げの原資の確保が喫緊の課題である。公正取引委員会には、適切な価格転嫁と賃上げの好循環の実現に向けた機運を高め、持続的な形で実体経済に影響をもたらすよう、引き続き後押しをお願いしたい。(千葉市)
  •  厳しい経営環境の中で価格転嫁を進めるためには、適正な価格転嫁の必要性が経済界全体に浸透し、発注者側、受注者側の双方が相手方の実情を十分に理解した上で、真摯な協議を行うことが重要であると考える。公正取引委員会においては、関係省庁と連携し、適正な価格転嫁に関する機運醸成に向け、企業への広報を強化するとともに、必要に応じて個別指導を行うなど適切な取引関係の構築に向け、今後とも尽力していただきたい。(松山市)
  •  価格転嫁について、全体の印象として、原材料価格の上昇分については広く認めてもらえるようになったという声があるが、電気料金といったエネルギーコストの価格転嫁については説明が難しいという声があり、労務費、賃上げはまだまだこれから取り組んでいくという印象である。中小企業が利用できるような、価格転嫁に関する成功事例を発信して周知していただきたい。(佐賀市)
  •  価格転嫁について、今後は、労務費の上昇分を製品価格に転嫁できるか、また、消費者の理解が得られるかが重要になってくる。中小企業は、最低賃金の上昇に合わせて賃金を上げざるを得ないので、労務費の上昇分を製品価格に適切に転嫁させることが重要である。(神戸市)
  •  運送業界では、取引上の力関係が、荷主の方が強く、なかなか運送費の値上げができず、厳しい状況が続いている。国土交通省は、令和5年7月から「トラックGメン」を創設し、荷主や元請事業者への監視を強化しており、同年10月には、政府がいわゆる「2024年問題」解消に向け、「物流革新緊急パッケージ」を表明したところである。是非、当該「パッケージ」で掲げられている「適正な取引」の実現に向けて、公正取引委員会にもお力添えいただきたい。(北海道釧路市)
  •  昨今の原材料価格の高騰に係る転嫁について、実情は、一般的な中小事業者側から価格交渉を持ち掛けること自体が非常に困難であると思われる。そのため、全業種について、発注者側の事業者に対して「年に1回程度は、取引先と価格交渉を行いましょう」といった啓発が政府からなされると非常に有り難い。(山口県下関市)
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(2) インボイス制度の導入に伴うしわ寄せ防止

  •  インボイス制度への対応について、免税事業者からは、経過措置が設けられているにもかかわらず、消費税相当額を取引価格から引き下げられたなどといった相談が寄せられている。公正取引委員会は、独占禁止法や下請法に違反する行為には厳正に対処してほしい。(神戸市)
  •  インボイス制度への対応について、免税事業者である仕入先に対し、取引価格から消費税相当額を値引きせよなどと要請するといった行為が行われているのではないかとの情報に接することもある。免税事業者はこうした要請をやむを得ず受け入れているという実態もあるのではないか。

(3) フリーランスの取引適正化

  •  今後の話として、フリーランス新法が運用されることによって、発注者側にとって色々と手間が増えてしまい、結果としてフリーランスの方々と取引しなくなるのではないか、つまり、本来であればフリーランスを守るための法律が結局フリーランスを守ることができないといった側面もないわけではないと思う。(福島市)
  •  フリーランス新法について、労働法上は問題がなくても、フリーランス法上は問題があるというように、両者で結論が異なる場面が出てくることが予想される。ガイドライン等では相互の関係性について整理してほしい。(神戸市)

2 デジタル・プラットフォーム関係について

  •  デジタル市場については、クラウドサービス等のデジタル関連サービスが必要不可欠になる中、ビッグテック企業の寡占状態にあり、ビッグテック企業のサービスは、一度そのサービスを利用し始めると別の事業者のサービスに乗り換えることが難しいという、ロックインの問題があるため、利用者のビッグテック企業に対する価格交渉力は非常に弱い状況にある。(神戸市)
  •  ニュース配信契約において、ニュースプラットフォーム事業者がニュースメディア事業者との取引価格を著しく低く設定することは優越的地位の濫用に当たるという考え方を公表したことは非常に画期的なものであると考えている。また、公正取引委員会は、ニュースが国民に適切に提供されることが、民主主義の発展に欠かせないとの考え方、つまり、ニュースプラットフォーム事業者がニュースメディア事業者に対して正当な対価を支払うことによって、信頼できる良質な報道が維持され、それが消費者の利益につながるという考え方も示しており、引き続きこのような広報を積極的に行っていただきたい。(松山市)
  •  最近では、デジタル分野の取引において、提供側が一方的に取引条件を決め、それを消費者側が一方的に受け入れなければならないという問題があるので、是非実態調査をしていただきたい。(佐賀市)

3 独占禁止法の運用について

  •  公正取引委員会では様々な取組を行っていただき心強い限りだが、より積極的に独占禁止法違反の調査を実施していただきたいと思う。(千葉市)
  •  通信機器の標準必須特許の異業種へのライセンスについて、様々なレベルのサプライチェーンと交渉が行われる際に、独占禁止法上問題になることがないか注視してほしい。(静岡市)

4 競争環境の整備のための取組(アドボカシー)について

  •  従来は規制が厳しかった市場においては、たとえ自由化が進んだとしても事業者は従来と同じ行動を取りがちであることから、現在、ガス事業等の自由化や規制改革が進んでいる市場等においても、市場分割カルテル等が行われていないか又は競争環境がしっかりと整っているのか等、注視していく必要があるのではないか。また、以前に実態調査を行った分野についてもフォローアップ等を行うことも必要であると考える。(福島市)
  •  ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書に記載の内容は、多くの報道機関がまさに「我が意を得たり」と心強く感じたに違いない。ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者との取引について言えば、古くからの不平等な商取引が、「国民の知る権利」を担保すべき報道の世界で横行している状況にあることを看過できないと考えており、公正取引委員会には報告書の内容に沿う形で、改善へと導くような、力強い指導・勧告をお願いしたい。(千葉市)
  •  最近の公正取引委員会の活動について、エンフォースメントだけではなくて、実態調査報告書にも力を入れていることは非常に評価されるべきである。また、他国の競争当局と活発な意見交換を行うことが、日本の競争政策に資するので、これからも連携を重ねてほしい。(静岡市)

5 広報・広聴活動について

  •  公正取引委員会の活動を目にする機会が増えれば、公正取引委員会が身近に感じられるようになるため、広報広聴活動には力を入れて根気よく続けていただきたい。(山口県下関市)
  •  下請法の適用範囲について、委託内容で判断に迷うことが多い。適用を受ける委託取引について、もっと具体的な事例を公表していただけると幸いである。(北海道釧路市)
  •  「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」では、価格交渉の申込み様式(例)まで載っており、非常に助かると思う。同指針については、しっかりアピールしてもらいたい。(千葉市)
  •  フリーランスは、相談窓口が分からなかったり、申告することで取引を切られたりするのではという懸念を持っている。ホームページだけではなく、広報活動を活用して、相談の入口を分かりやすくしてもらうと、諦めずに相談してみようと思うのではないか。(静岡市)     

6 公正取引委員会の体制強化について

  •  近年は経済分析を専門に行う経済分析室が新設され、様々な案件において経済分析を用いた調査等を行っており、非常に良い傾向であると感じている。今後も、引き続き経済分析を用いた調査等を行うことにより、実績・事例の蓄積を行っていただく等、経済学の視点を持った法執行を行っていただくことに期待している。(福島市)

関連ファイル

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp

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