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(令和6年1月22日)株式会社IBJから申請があった確約計画の認定について

(令和6年1月22日)株式会社IBJから申請があった確約計画の認定について

令和6年1月22日

公正取引委員会

 公正取引委員会は、株式会社IBJ(以下「IBJ」という。)に対し、独占禁止法の規定に基づき審査を行ってきたところ、同社の後記3の行為が独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引))の規定に違反する疑いが認められた。公正取引委員会は、当該行為について、確約手続に付すことで、IBJによって当該行為を排除するための措置が速やかに実施されることにより、競争の早期回復が図られると認め、令和5年11月28日、同法第48条の2の規定に基づき、同社に対し確約手続に係る通知を行った。

 今般、IBJから、公正取引委員会に対し、同法第48条の3第1項の規定に基づき、後記3の行為を排除するために必要な措置の実施に関する確約計画の認定を求める申請があった。公正取引委員会は、当該確約計画は当該行為を排除するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同法第48条の3第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定した(注1)(注2)。

 なお、本認定は、公正取引委員会が、IBJの後記3の行為が独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない。

(注1)確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。

(注2)公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、独占禁止法第48条の5第1項の規定により当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

1 申請者の概要

法人番号 9010001107009
名称 株式会社IBJ
所在地 東京都新宿区西新宿一丁目23番7号
代表者 代表取締役 石坂 茂

2 結婚相談所連盟と結婚相談所との取引等

⑴ IBJは、「IBJ」と称する結婚相談所連盟(注3)(以下「IBJ連盟」という。)及び「IBJメンバーズ」と称する結婚相談所(注4)の運営などを行っている。

⑵ 結婚相談所連盟に加盟する結婚相談所の運営事業者(以下「加盟事業者」という。)は、結婚相談所連盟の運営事業者が提供する会員情報の共有等のためのシステム(以下「お見合いシステム」という。)に会員情報を登録するとともに、お見合いシステムの機能を利用して、結婚相談所の垣根を越えてお見合い相手の検索、お見合いの申込み、お見合い後の交際の進捗管理等を行っている。また、会員も、お見合いシステムの機能を利用してお見合い相手の検索等を行うことができる。

⑶ IBJは、IBJ連盟の加盟事業者に対し、お見合いシステムを提供するほか、当該加盟事業者の集客支援として「エリアページ」(注5)と称するウェブページの運営や当該加盟事業者の運営支援として研修会の開催等を行っている。

⑷ IBJ連盟以外の結婚相談所連盟の運営事業者には、「全国結婚相談事業者連盟」(以下「TMS連盟」という。)を運営する株式会社TMS(以下「TMS」という。)、「日本仲人連盟」(以下「NNR」という。)を運営する株式会社日本仲人連盟(以下「日本仲人連盟」という。)、「日本成婚ネット」(以下「JMN」という。)を運営する株式会社日本成婚ネット(以下「日本成婚ネット」という。)(注6)などがある。

⑸ 結婚相談所の運営事業者は、複数の結婚相談所連盟に加盟すること、多くの会員を有する加盟事業者が加盟する結婚相談所連盟に加盟することで、お見合いを多く組むことが可能になる。

⑹ 後記3の行為が開始された令和3年9月頃以降のIBJのシェアは、加盟事業者数、結婚相談所連盟の運営に係る事業の売上高及びお見合いシステムに登録された会員数のいずれにおいても、全国第1位である。

  また、IBJが提供するお見合いシステムに登録された会員のうち3割程度を、IBJメンバーズ、IBJの子会社である株式会社サンマリエが運営する「サンマリエ」と称する結婚相談所、同じく子会社である株式会社ZWEIツヴァイが運営する「ZWEI」と称する結婚相談所の会員が占めている。

⑺ IBJは、令和3年6月頃以降、TMS及び日本仲人連盟がTMS連盟及びNNRに登録された会員情報の共有化に係る事業を開始し、TMS連盟及びNNRが情報を共有する会員数が増加したことなどから、同社らに対する対抗措置を検討していた。

(注3)複数の結婚相談所間において、それぞれの会員情報の共有等のためのシステムを利用して、それぞれの会員情報を共有し、相互にお見合い相手の検索やお見合いの申込み等を行うことができる枠組みをいう。

(注4)結婚を希望する者を対象として、会員制度により、お見合い相手の情報提供及び紹介並びにお見合い後の交際方法に係る助言を行うなどの役務を提供する事業所をいう。

(注5)IBJが運営するウェブサイト上にある、IBJ連盟の加盟事業者の集客支援を目的として開設されたウェブページであり、当該運営事業者のうち、掲載を希望し、かつ、IBJが掲載を認めたものについて、都道府県ごとに分類し、当該運営事業者の情報を掲載するものをいう。

(注6)TMSのグループ会社であり、令和5年11月30日をもってJMNのサービスを終了している。

3 違反被疑行為の概要

IBJは、IBJ連盟の加盟事業者のうちTMS連盟、NNR又はJMNにも加盟する加盟事業者(以下「重複加盟事業者」という。)に対し、次の行為を行っている。

⑴ア 令和3年9月頃、東海地区(注7)に所在するTMS連盟との重複加盟事業者に対し、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズの会員とのお見合い制限(注8)を行うことを示唆してTMS連盟から退会するよう要請し、TMS連盟から退会せず、また、退会する意向を示さなかった重複加盟事業者について、同年10月頃以降、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズの会員とのお見合い制限を行うことにより、TMS連盟から退会するようにさせている。

 イ 令和4年2月頃、TMS連盟又はNNRとの重複加盟事業者に対し、東日本地区(注9)に所在するTMS連盟との重複加盟事業者及び西日本地区(注10)に所在するNNRとの重複加盟事業者について、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズの会員とのお見合い制限を行うことを示唆してTMS連盟及びNNRから退会するよう要請し、TMS連盟及びNNRから退会せず、また、退会する意向を示さなかった重複加盟事業者について、同年5月頃以降、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズの会員とのお見合い制限を行うことにより、TMS連盟及びNNRから退会するようにさせている。

 ウ 令和4年9月頃、TMS連盟、NNR又はJMNとの重複加盟事業者に対し、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズ、サンマリエ及びZWEIの会員とのお見合い制限を行うことを示唆してTMS連盟、NNR及びJMNから退会するよう要請し、TMS連盟、NNR及びJMNから退会せず、また、退会する意向を示さなかった重複加盟事業者について、同年10月頃以降、当該重複加盟事業者が運営する結婚相談所の会員とIBJメンバーズ、サンマリエ及びZWEIの会員とのお見合い制限を行うことにより、TMS連盟、NNR及びJMNから退会するようにさせている。

⑵ 令和4年11月頃、エリアページに自らの情報を掲載しているTMS連盟、NNR又はJMNとの重複加盟事業者に対し、エリアページに当該重複加盟事業者の情報を掲載しない方針である旨を伝え、TMS連盟、NNR及びJMNから退会せず、また、退会する意向を示さなかった重複加盟事業者について、同年12月頃以降、エリアページから当該重複加盟事業者の情報を削除することにより、TMS連盟、NNR及びJMNから退会するようにさせている。

(注7)岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県のこと。

(注8)IBJが指定する結婚相談所の会員が、IBJが指定する他の結婚相談所の会員とのお見合いを申し込む場合に、当該申込みが当該他の結婚相談所の会員に取り次がれないように、及び、当該他の結婚相談所の会員等が、お見合い相手を検索する場合に、当該IBJが指定する結婚相談所の会員が検索結果に表示されないようにシステムを設定する行為のこと。

(注9)北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県及び長野県のこと。

(注10)東海地区及び東日本地区を除く府県のこと。

4 独占禁止法上の考え方

⑴ 市場における有力な事業者が、取引先事業者に対し、自己の競争者との取引等の制限をするなどの取引先事業者の事業活動を拘束する条件を付けて取引を行うことにより、新規参入者や既存の競争者が排除される又はこれらの取引機会が減少するような状態をもたらすおそれが生じる場合は、独占禁止法上問題となる(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引))。

⑵ 前記3⑴のお見合い制限は、重複加盟事業者の会員のお見合いの機会を減少させ、結婚相談所として提供するサービスの質を低下させるものであり、前記3⑵のエリアページからの情報削除は、重複加盟事業者が結婚相談所に入会しようとする者から選択される機会を減少させるものであると考えられる。そのため、IBJから前記3の行為を受けた重複加盟事業者は、TMS、日本仲人連盟又は日本成婚ネットとの取引を回避するようになるものと考えられる。

  このように、IBJは、前記3⑴のお見合い制限及び⑵のエリアページからの情報削除によって、重複加盟事業者に対し、TMS、日本仲人連盟又は日本成婚ネットと取引を行わないとの重複加盟事業者の事業活動を拘束する条件を付けて取引を行っているものである。当該行為により、TMS、日本仲人連盟又は日本成婚ネットが結婚相談所の運営事業者との取引から排除される又はこれらの結婚相談所連盟の運営事業者と結婚相談所の運営事業者との取引機会が減少するような状態をもたらすおそれが生じ得るものと考えられる。

5 確約計画の概要

⑴ 前記3の行為を取りやめること。

⑵ 前記⑴及び後記⑷の措置を採る旨を取締役会で決議すること。

⑶ 前記⑵に基づいて採った措置及び前記⑴の措置を採る旨を、TMS、日本仲人連盟及び日本成婚ネット、IBJ連盟の加盟事業者並びに株式会社サンマリエ及び株式会社ZWEIに通知するとともに、IBJ連盟の加盟事業者、IBJメンバーズ、サンマリエ及びZWEIの会員に周知し、かつ、自社の役員及び従業員に周知徹底すること。

⑷ 前記3の行為と同様の行為を行わないこととし、この措置を今後3年間実施すること。

⑸ 次の事項を行うために必要な措置を講じること。

ア IBJ連盟の加盟事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底

イ IBJ連盟の加盟事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

ウ 独占禁止法違反行為に関与した自社の役員及び従業員に対する処分規程の作成

エ 独占禁止法違反行為に係る通報を行った者に対する適切な取扱いを定める規程の作成

オ 法務・コンプライアンスに係る担当の取締役の新設

⑹ 前記⑴から⑶まで及び前記⑸の措置の履行状況を公正取引委員会に報告すること。

⑺ 前記⑷の措置及び前記⑸イに基づいて講じた措置の履行状況を、今後3年間、毎年、公正取引委員会に報告すること。

6 確約計画の認定

公正取引委員会は、次のとおり、前記5の確約計画が独占禁止法に規定する認定要件のいずれにも適合すると認め、当該確約計画を認定した。

⑴ 措置内容の十分性

前記5の確約計画に記載の措置の内容は、違反被疑行為の取りやめ(前記5⑴)、違反被疑行為の取りやめ及び将来不作為についての取締役会決議(前記5⑵)、IBJ連盟の加盟事業者等への通知、自社の役員及び従業員への周知徹底(前記5⑶)、将来不作為(前記5⑷)を備えており、前記3の行為を排除するために十分であると判断した。

⑵ 措置実施の確実性

IBJは、前記5の確約計画において、コンプライアンス体制の整備を措置に含めていること、措置の内容ごとに実施期限を設けていること、また、当該措置の履行状況の報告を行うこととしていることから、前記5の確約計画は確実に実施されると判断した。

関連ファイル

(印刷用)(令和6年1月22日)株式会社IBJから申請があった確約計画の認定についてpdfダウンロード(275 KB)

(令和6年1月22日)参考1-2(過去の事例及び参照条文) pdfダウンロード(86 KB)

(令和6年1月22日)本件の概要pdfダウンロード(245 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第三審査上席
電話 03-3581-3398(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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