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(令和6年6月27日)LPガス容器用バルブの製造販売業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

(令和6年6月27日)LPガス容器用バルブの製造販売業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

令和6年6月27日
公正取引委員会


公正取引委員会は、LPガス容器用バルブ(注1)の製造販売業者らに対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

本件は、LPガス容器用バルブの製造販売業者らが、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。

(注1)「LPガス容器用バルブ」とは、容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号)第13条第1号に規定する附属品であるバルブであって、LPガス容器用のものをいう。

1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等

(注2)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。

(注3)表中の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象であることを示している。

2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

⑴ア ハマイ、宮入バルブ製作所、宮入商事、東京宮入商事及び富士工器の5社(以下「5社」という。)のうち、富士工器を除く4社(以下「4社」という。)は、令和3年3月頃以降、特定LPガス容器用バルブ (注4)の原材料である黄銅の価格の高騰への対応策について協議を重ねていたところ、自社の利益の確保を図るため、遅くとも令和3年4月27日までに、4社の営業責任者級の者らによる会合を開催して、同年6月以降、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げることを合意した。

イ 富士工器は、遅くとも令和3年5月14日までに、ハマイから前記⑴アの会合の内容を伝達され、前記⑴アの合意に参加した。

⑵ア 4社は、その後も、特定LPガス容器用バルブの原材料である黄銅の価格が引き続き高騰していたことなどから、自社の利益の確保を図るため、遅くとも令和4年4月26日までに、4社の営業責任者級の者らによる会合を開催して、同年6月以降、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げることを合意した。

イ 富士工器は、遅くとも令和4年5月16日までに、ハマイから前記⑵アの会合の内容を伝達され、前記⑵アの合意に参加した。

⑶ 前記⑴及び⑵のとおり、5社は、共同して、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨を合意することにより、公共の利益に反して、特定LPガス容器用バルブの販売分野における競争を実質的に制限していた。

(注4)「特定LPガス容器用バルブ」とは、LPガス容器用バルブのうち、液化石油ガスの充てん質量の上限が50キログラム以下であるLPガス容器(鋼製のものに限る。)用のもの(強制気化装置に接続するLPガス容器用であってサイフォン管と連結するもの、高圧ガス保安協会が策定した「液化石油ガス容器バルブ設計・製造基準 KHKS 0126」に定める容器取付部のねじ記号が「V1」のもの及び液化石油ガス自動車燃料装置用容器(容器保安規則第2条第15号に規定するもの)用のものを除く。)をいう。

3 違反行為の実施状況(詳細は別添排除措置命令書参照)

⑴ 5社は、前記2⑴の合意に基づき、次のとおり、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格の引上げの具体的な内容を決定するとともに、それぞれ、需要者に対し、直接又は商社等を通じて特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨の申入れを行うなどにより、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格をおおむね引き上げていた。

ア 4社の営業責任者級の者らによる会合等

(ア) 令和3年5月11日の4社の営業責任者級の者らによる会合において、4社は、特定LPガス容器用バルブ1個当たりの需要者向け販売価格について引上げ後の目標価格を900円以上と決定した。その後、4社は、富士工器との間で当該目標価格を共有した。

(イ) 富士工器は、前記ア(ア)において共有された目標価格に基づき、遅くとも令和3年5月24日までに、自社が販売する特定LPガス容器用バルブ1個当たりの需要者向け販売価格について引上げ後の目標価格を900円以上と決定した。

イ 4社の各営業拠点の長らによる会合等

(ア) 4社は、全国各地区において、4社の各営業拠点の長らによる会合(以下「支部会」という。)を開催するなどして、前記ア(ア)の決定に基づき、需要者ごとの需要者向け販売価格について引上げ後の目標価格を決定するなどし、それぞれ、当該需要者に対し、直接又は商社等を通じて特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨を申し入れた。また、4社は、富士工器との間で当該目標価格を共有した。

(イ) 富士工器は、全国各地区において、前記ア(イ)において決定した引上げ後の目標価格及び前記イ(ア)において共有された需要者ごとの引上げ後の目標価格に基づき、当該需要者に対し、直接、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨を申し入れた。

⑵ 5社は、前記2⑵の合意に基づき、次のとおり、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格の引上げの具体的な内容を決定するとともに、それぞれ、需要者に対し、直接又は商社等を通じて特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨の申入れを行うなどにより、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格をおおむね引き上げていた。

ア 4社の営業責任者級の者らによる会合等

(ア) 令和4年4月26日の4社の営業責任者級の者らによる会合において、4社は、特定LPガス容器用バルブ1個当たりの需要者向け販売価格の目標引上げ額を200円以上と決定した。その後、4社は、富士工器との間で当該目標引上げ額を共有した。

(イ) 富士工器は、前記ア(ア)において共有された目標引上げ額に基づき、遅くとも令和4年6月16日までに、自社が販売する特定LPガス容器用バルブ1個当たりの需要者向け販売価格について目標引上げ額を200円と決定した。

イ 支部会等

(ア) 4社は、全国各地区において、支部会を開催するなどして、前記ア(ア)の決定に基づき、需要者ごとの目標引上げ額を決定するなどし、それぞれ、当該需要者に対し、直接又は商社等を通じて特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨を申し入れた。また、4社は、富士工器との間で当該目標引上げ額を共有した。

(イ) 富士工器は、全国各地区において、前記ア(イ)において決定した目標引上げ額及び前記イ(ア)において共有された需要者ごとの目標引上げ額に基づき、当該需要者に対し、直接、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格を引き上げる旨を申し入れた。

⑶ 5社は、前記2の合意の実効を確保するため、特定LPガス容器用バルブの需要者向け販売価格の引上げの交渉状況等について情報交換を行っていた。

4 排除措置命令の概要

⑴ 5社は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。

ア 前記2⑴及び⑵の各合意が消滅していることを確認すること。

イ 今後、相互の間(宮入商事と東京宮入商事の間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定LPガス容器用バルブの販売価格を決定せず、自主的に決めること。

ウ 今後、相互に(宮入商事と東京宮入商事の間を除く。)、又は他の事業者と、特定LPガス容器用バルブの販売価格に関する情報交換を行わないこと。

⑵ 5社は、それぞれ、前記⑴に基づいて採った措置を、自社を除く4社(宮入商事及び東京宮入商事にあっては、ハマイ、宮入バルブ製作所及び富士工器)に通知するとともに、自社の特定LPガス容器用バルブの需要者及び自社の特定LPガス容器用バルブの取引先である商社等に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

⑶ 5社は、今後、それぞれ、相互の間(宮入商事と東京宮入商事の間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定LPガス容器用バルブの販売価格を決定してはならない。

⑷ 5社は、今後、それぞれ、相互に(宮入商事と東京宮入商事の間を除く。)、又は他の事業者と、特定LPガス容器用バルブの販売価格に関する情報交換を行ってはならない。

⑸ 5社は、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前記⑶及び⑷で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

ア 特定LPガス容器用バルブの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底

イ 特定LPガス容器用バルブの販売活動に関する独占禁止法の遵守についての、当該販売活動に従事する自社の役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

⑹ 5社は、それぞれ、前記⑴、⑵及び⑸に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

5 課徴金納付命令の概要

5社は、令和7年1月28日までに、それぞれ前記1の「課徴金額」欄記載の額(総額7億964万円)を支払わなければならない。

関連ファイル

(印刷用)(令和6年6月27日)LPガス容器用バルブの製造販売業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令についてpdfダウンロード(105 KB)

(令和6年6月27日)本件の概要pdfダウンロード(280 KB)

(令和6年6月27日)参考1(最近の価格カルテル事件)pdfダウンロード(38 KB)

(令和6年6月27日)参考2-3(参照条文及び課徴金制度の概要)pdfダウンロード(90 KB)

(令和6年6月27日)調査協力減算制度の概要pdfダウンロード(1,339 KB)

(令和6年6月27日)(別添)排除措置命令書pdfダウンロード(137 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第二審査
電話 03-3581-3384(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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