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(令和6年3月4日)東邦瓦斯供給区域に所在する大口需要家が発注する都市ガスの見積り合わせ等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

(令和6年3月4日)東邦瓦斯供給区域に所在する大口需要家が発注する都市ガスの見積り合わせ等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

令和6年3月4日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、本日、後記第1のとおり、独占禁止法の規定に基づき、中部電力ミライズ株式会社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を行い、中部電力株式会社に対し課徴金納付命令を行った。
 本件は、特定大口都市ガス(注1)の見積り合わせ等の参加業者(中部電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社及び東邦瓦斯株式会社)が、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
 また、中部電力ミライズ株式会社、東邦瓦斯株式会社及び株式会社シーエナジーに対し、本日、後記第2のとおり、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するおそれがある行為を行っていたものとして警告を行った。
 さらに、電力及びガス市場の監視等を行う電力・ガス取引監視等委員会に対し、本日、後記第3のとおり、情報提供を行った。

(注1)「特定大口都市ガス」とは、東邦瓦斯供給区域に所在する別添排除措置命令書別紙1記載の大口需要家が、同別紙1記載の供給地点において、同別紙1記載の供給開始時期から使用するために見積り合わせ等の方法により発注する都市ガス(同別紙1記載の23件)をいう。
 また、「大口需要家」とは、特定の供給地点における年間の都市ガス使用量が10万立方メートル以上となることが見込まれる者をいい、「大口都市ガス」とは、東邦瓦斯供給区域に所在する大口需要家に対して小売供給を行う都市ガスをいう。

第1 排除措置命令及び課徴金納付命令

1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等

(注2)以下「株式会社」の記載を省略する。

(注3)表中「排除措置命令」欄の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。

(注4)表中「排除措置命令」欄及び「課徴金額」欄の「-」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象事業者でないことを示している。

(注5)表中「事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率」欄の「-」は、その事業者が調査協力減算制度の適用事業者でないことを示している。

(注6)中部電力及び中部電力ミライズは、共同して、課徴金減免申請を行った者である。

2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

 中部電力(令和2年4月1日の吸収分割の後にあっては中部電力ミライズ(注7)。中部電力及び中部電力ミライズの2社を以下「中部電力2社」という。)及び東邦瓦斯は、かねてから、大口都市ガスの小売供給に係る営業活動の方針、状況等について情報交換を行い、競合する大口都市ガスのうちお互いの受注意欲を勘案して受注に関する調整の対象を選定し、受注に関する調整を行ってきたところ、遅くとも平成28年11月25日以降、特定大口都市ガスについて、各社の都市ガスの総供給量の確保及び受注価格の低落防止等を図るため

⑴ア 受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する

 イ 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する

旨の合意の下に

⑵ア 話合いにより、受注予定者を決定する

 イ 受注予定者以外の者は、自社が提示する都市ガス料金の水準又は見積り合わせ等に参加しない旨を受注予定者に伝える

などにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
 これにより、中部電力2社及び東邦瓦斯は、公共の利益に反して、特定大口都市ガスの取引分野における競争を実質的に制限していた。

(注7)中部電力ミライズは、令和2年4月1日に、中部電力から吸収分割により都市ガス及び電気の小売供給を行う事業を承継した者であり、中部電力は、同日以降、同事業を営んでいない。

3 排除措置命令の概要

⑴ 中部電力ミライズは、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。

ア 特定大口都市ガスについて、中部電力2社及び東邦瓦斯が、遅くとも平成28年11月25日以降(中部電力にあっては令和2年3月31日までの間、中部電力ミライズにあっては同年4月1日以降)共同して行っていた、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を行っていないことを確認すること。

イ 今後、他の事業者と共同して、大口都市ガスについて、受注予定者を決定せず、自主的に受注活動を行うこと。

ウ 今後、都市ガスの小売供給を行う事業を営む他の事業者と、大口都市ガスについて、受注意欲及び都市ガス料金に関する情報交換を行わないこと。

⑵ 中部電力ミライズは、前記⑴に基づいて採った措置を、東邦瓦斯供給区域に所在する大口需要家に周知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの周知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

⑶ 中部電力ミライズは、今後、他の事業者と共同して、大口都市ガスについて、受注予定者を決定してはならない。

⑷ 中部電力ミライズは、今後、都市ガスの小売供給を行う事業を営む他の事業者と、大口都市ガスについて、受注意欲及び都市ガス料金に関する情報交換を行ってはならない。

⑸ 中部電力ミライズは、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。

ア 役員及び従業員に対する、都市ガスの小売供給に係る営業活動に関する独占禁止法の遵守についての行動指針(競合他社との接触に係る事前承認及び事後報告に関する規程を含む。)の周知徹底

イ 都市ガスの小売供給に係る営業活動に関する独占禁止法の遵守についての、当該営業活動に従事する役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者及び第三者による定期的な監査

⑹ 中部電力ミライズは、前記⑴、⑵及び⑸に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。

4 課徴金納付命令の概要

中部電力2社は、令和6年10月7日までに、それぞれ前記1の「課徴金額」欄記載の額(総額2678万円)を支払わなければならない。

第2 警告

1 警告の相手方

(注8)「電気の買取り」とは、FIT制度による電気の買取期間満了後の電気の買取りをいう。

(注9)「FIT制度」とは、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)(平成23年法律第108号)の規定に基づく、再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定の期間及び価格で電気事業者が買い取ることを義務付ける制度をいう。

(注10)「LNGの供給」とは、液化天然ガスをローリー車により需要場所まで配送するものをいう。

(注11)表中「警告」欄の「○」は、その事業者が警告の対象事業者であることを示している。

(注12)表中「警告」欄の「-」は、その事業者が警告の対象事業者でないことを示している。

2 警告の概要

⑴ 家庭用の都市ガス等及びFIT制度による電気の買取期間満了後の電気の買取り

ア 中部電力及び東邦瓦斯は、かねてから、役職員が面談し、都市ガス及び電気の小売供給について、互いの営業活動の方針、状況等に関する情報を交換していた。

イ 中部電力及び東邦瓦斯は、平成28年10月頃以降、平成29年4月1日に自由化が予定された家庭用の都市ガスの小売供給に係る料金(都市ガス及び電気のセット契約割引を含む。以下「家庭用都市ガス料金等」という。)を東邦瓦斯が中部電力よりも先に公表し、その後に中部電力が東邦瓦斯の家庭用都市ガス料金等より低い家庭用都市ガス料金等を公表すること等について話し合い、その際に、中部電力は東邦瓦斯に対し、中部電力の公表後に、東邦瓦斯の家庭用都市ガス料金等を中部電力の家庭用都市ガス料金等より値下げしないことを求めた。

ウ 中部電力及び東邦瓦斯は、平成31年3月頃以降、FIT制度による電気の買取期間が令和元年11月以降に順次満了することを踏まえ、当該買取期間満了後の電気の買取価格(以下「卒FIT価格」という。)を中部電力が東邦瓦斯よりも先に公表すること等について話し合い、その際に、中部電力は東邦瓦斯に対し、東邦瓦斯の卒FIT価格を中部電力の卒FIT価格よりも大幅に上回るものにしないことを求めた。

エ(ア) 前記イの行為は、東邦瓦斯の都市ガス供給区域における家庭用都市ガス料金等の低落を抑制し、東邦瓦斯の都市ガス供給区域における家庭用の都市ガス及び電気の小売供給に係る取引分野における競争を実質的に制限していた疑いがあり、

(イ) 前記ウの行為は、中部電力の電気供給区域における卒FIT価格の上昇を抑制し、中部電力の電気供給区域におけるFIT制度による電気の買取期間満了後の電気の買取りに係る取引分野における競争を実質的に制限していた疑いがあり、

 それぞれ、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し独占禁止法第3条の規定に違反するおそれがあることから、公正取引委員会は、中部電力ミライズ及び東邦瓦斯に対し、今後、このような行為を行わないよう警告した。

⑵ LNGの供給

ア 中部電力2社及びシーエナジーは、LNGの供給に係る事業を共同して行ってきたところ、中部電力2社及びシーエナジー並びに東邦瓦斯は、かねてから、LNGの供給について、互いの営業活動の方針、状況等に関する情報を交換していた。

イ 中部電力2社及びシーエナジー並びに東邦瓦斯は、遅くとも平成31年頃以降、共同して、愛知県、岐阜県及び三重県に所在する需要家向けのLNGの供給について、受注予定者を決定し、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力することにより、受注予定者が受注できるようにしていた。

ウ 前記イの行為は、愛知県、岐阜県及び三重県に所在する需要家向けのLNGの供給に係る取引分野における競争を実質的に制限していた疑いのある行為であり、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し独占禁止法第3条の規定に違反するおそれがあることから、公正取引委員会は、中部電力ミライズ及びシーエナジーに対し、今後、このような行為を行わないよう警告した。

(注13)中部電力2社及びシーエナジー並びに東邦瓦斯以外にも複数の事業者が、愛知県、岐阜県及び三重県に所在する需要家向けのLNGの供給を行っていた。

第3 電力・ガス取引監視等委員会に対する情報提供

本件審査において認められた以下の事実等について、都市ガス及び電気市場における競争の適正化を図るため、電力・ガス取引監視等委員会に対し情報提供を行った。

1 前記第1のとおり、特定大口都市ガスについて、独占禁止法違反行為が行われ、排除措置命令を行ったこと。

2 前記第2の2⑴のとおり、東邦瓦斯の都市ガス供給区域における家庭用の都市ガス等及び中部電力の電気供給区域におけるFIT制度による電気の買取期間満了後の電気の買取りについて、独占禁止法に違反するおそれのある行為が行われ、警告を行ったこと。

3 前記第1の2及び第2の2⑴のとおり、中部電力、中部電力ミライズ及び東邦瓦斯の間で、かねてから、都市ガス及び電気の小売供給に係る営業活動の方針、状況等に関する情報交換が行われていたこと。

関連ファイル

(印刷用)(令和6年3月4日)東邦瓦斯供給区域に所在する大口需要家が発注する都市ガスの見積り合わせ等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等についてpdfダウンロード(116 KB)

(令和6年3月4日)本件の概要pdfダウンロード(140 KB)

(令和6年3月4日)参考1(最近の受注調整事件)pdfダウンロード(45 KB)

(令和6年3月4日)参考2-3(参照条文及び課徴金制度の概要)pdfダウンロード(103 KB)

(令和6年3月4日)別添(排除措置命令書)pdfダウンロード(292 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第三審査
電話 03-3581-3383(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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