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(令和6年5月30日)青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務の入札参加業者らに対する排除措置命令等について

(令和6年5月30日)青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務の入札参加業者らに対する排除措置命令等について

   令和6年5月30日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、青森市が指名競争入札の方法により発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務(以下「特定移送業務」という。)の入札参加業者らに対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令を行った。

 本件は、特定移送業務の入札参加業者らが、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。

 また、青森市に対し、本日、後記第2のとおり、要請等を行った。

 さらに、特定移送業務の入札参加業者らが会員となっている一般社団法人日本旅行業協会(以下「日本旅行業協会」という。)に対し、本日、後記第3のとおり、申入れを行った。

第1 排除措置命令

1 違反事業者及び排除措置命令の対象事業者等

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(注1)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。
(注2)表中「排除措置命令」欄の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象であることを示している。
(注3)表中「排除措置命令」欄の「-」は、その事業者が排除措置命令の対象でないことを示している。
(注4)課徴金減免申請を行った者である。
(注5)番号1ないし4の事業者は、算出された課徴金の額が100万円未満であったため、独占禁止法第7条の2第1項ただし書により課徴金納付命令の対象とはなっていない。

2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

 東武トップツアーズ、日本旅行東北、名鉄観光サービス及びJTBの4社(以下「4社」という。)並びに近畿日本ツーリストの5社(以下「5社」という。)は、令和4年4月1日以降、各社の支店長級の者が電話連絡等の方法により協議を重ね、同月6日、各社の支店長級の者が電子メールで連絡する方法により、特定移送業務について

ア 受注予定者を決定し、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力すること

イ 受注予定者は、受注予定者以外の者に受注した当該業務の一部を委託すること

を合意することにより、公共の利益に反して、特定移送業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。

3 排除措置命令の概要

⑴ 4社は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。

ア 前記2の合意が消滅していることを確認すること。

イ 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務について、受注予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。

⑵ 4社は、それぞれ、前記⑴に基づいて採った措置を、自社を除く3社及び青森市に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

⑶ 4社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務について、受注予定者を決定してはならない。

⑷ 4社は、今後、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前記⑶で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。

ア 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定及び自社の従業員に対する周知徹底(東武トップツアーズにあっては当該行動指針の自社の従業員に対する周知徹底)

イ 官公需の受注に関する独占禁止法の遵守についての、青森市が発注する委託業務の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

⑸ 4社は、それぞれ、前記⑴、⑵及び⑷に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない

第2 青森市に対する要請等

1 本件審査の過程において認められた事実

⑴ア 青森市の担当者は、特定移送業務の入札の前に、5社のうちの特定の事業者から、特定移送業務を5社において共同で実施したい旨の要望を伝えられるなどしていた。

 イ 前記アの事実から、青森市は、特定移送業務の入札の前に5社が特定移送業務を共同で実施しようとしていることなどを認識し得たといえる。

 ウ 前記イの事情があるにもかかわらず、青森市は、特定移送業務の入札の実施に当たり、5社のうち日本旅行東北、JTB及び近畿日本ツーリストの3社を指名して入札に参加させた。

⑵ア 青森市は、特定移送業務の入札の前に、特定の部門(注6)の有資格者(注7)に対し、新型コロナウイルス感染症患者移送業務に係る対応の可否についての照会(以下「可否照会」という。)をしていた。

 イ 青森市の担当者は、5社のうちの特定の事業者から、5社のうちいずれの事業者に可否照会をしたのかとの問い合わせを受け、当該特定の事業者に対し、日本旅行東北、JTB及び近畿日本ツーリストの3社である旨伝えた。

(注6)「特定の部門」とは、「企画製作等業務」の業種のうち「旅行等企画運営業務」の部門又は「運搬・配布等業務」の業種のうち「送迎バス運行業務」の部門をいう。

(注7)「有資格者」とは、青森市が定めた、競争入札に参加する者に必要な資格を有する事業者をいう。

2 要請等の概要

⑴ 前記1⑴ウの対応は、入札の対象となる業務を共同で実施しようとしている者同士を同一の入札に参加させるものであり、入札における公正かつ自由な競争を確保する上で、適切とはいえないものであった。

 よって、公正取引委員会は、青森市に対し、次のとおり要請を行った。

ア 指名競争入札を行うに当たっては、有資格者同士が入札の対象となる業務を共同で実施しようとしていることをうかがわせる情報に接した場合には、当該有資格者同士を同一の入札に指名することがないようにすること。

イ 受注者が他の入札参加業者に入札の対象となった業務を委託していることをうかがわせる情報に接した際には、受注者に対し積極的に委託の状況の確認をするようにすること。

⑵ 前記1⑵イの行為は、独占禁止法違反行為を誘発又は助長するおそれがあるものであったことから、公正取引委員会は、青森市に対し、当該行為と同様の行為が再び行われることのないよう適切な措置を講ずることを申し入れた。

第3 日本旅行業協会に対する申入れ

本件審査の過程において、日本旅行業協会の会員である5社が、同協会東北支部青森県地区委員会の会合の際に、前記第1の2の合意の確認を行ったり、入札価格の連絡を行ったりしていた事実が認められた。

 よって、公正取引委員会は、日本旅行業協会に対し、同協会の会員によって前記第1の2の独占禁止法違反行為と同様の行為が行われることのないよう、①同協会の会員、役員及び事務局職員に対して、本件排除措置命令の内容を周知すること、②独占禁止法の遵守についての行動指針を作成し周知徹底すること及び③独占禁止法の遵守についての研修を実施することを申し入れた。

関連ファイル   

(印刷用)(令和6年5月30日)青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務の入札参加業者らに対する排除措置命令等についてpdfダウンロード(87 KB)

(令和6年5月30日)本件の概要pdfダウンロード(272 KB)

(令和6年5月30日)参考1-3(最近の入札談合事件、参照条文及び課徴金制度の概要)pdfダウンロード(103 KB)

(令和6年5月30日)別添(排除措置命令書)pdfダウンロード(130 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局東北事務所第一審査課
 電話 022-225-8421(直通)
公正取引委員会事務総局審査局第二審査
 電話 03-3581-3384(直通)
ホームページhttps://www.jftc.go.jp/

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