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(令和6年10月25日)カバー株式会社に対する勧告等について

(令和6年10月25日)カバー株式会社に対する勧告等について

令和6年10月25日
公正取引委員会

 公正取引委員会は、カバー株式会社(以下「カバー」という。)に対し調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第2項第4号(不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、下請法第7条第3項の規定に基づき、カバーに対し勧告を行った。

 また、下請法第4条第1項第2号(下請代金の支払遅延の禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、勧告と併せて指導を行った。

1 違反行為者の概要

法 人 番 号  4011001111450
名   称  カバー株式会社
本店所在地  東京都港区三田三丁目5番19号住友不動産東京三田ガーデンタワー
代 表 者  代表取締役 谷郷 元昭
事業の概要  いわゆる「VTuber(注)動画」の作成、インターネットを通じた動画の配信等
資 本 金  10億315万1189円
(注)2Dや3Dのアバターを用いて動画投稿やライブ配信等の活動を行うタレントをいう。

2 勧告の概要等

⑴ 違反事実の概要等
 ア カバーは、個人又は資本金の額が5000万円以下の法人たる事業者に対し、インターネットを通じて配信するいわゆる「VTuber動画」等に用いるイラスト、動画用2Dモデル又は動画用3Dモデルの作成を委託している。
 イ カバーは、令和4年4月から令和5年12月までの間、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した後に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償でさせていた(下請事業者23名に対し、合計243回)。
 ウ 前記イのやり直しについて例示すると次のとおりである。

 事例1  カバーは、令和4年4月8日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同月18日に給付を受領した後、同年9月15日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で7回させていた。
 当該7回のやり直しのうちの3回は、検査期間を納入後7営業日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであった。
 当該3回のやり直しのうちの2回は、本発注により作成された動画用2Dモデルを利用するVTuberが修正を希望していることを理由として、カバーが当該事業者に「制作完了」したとの通知を行った令和4年7月11日よりも後にやり直しをさせたものであった。
 カバーは、その後も経理処理を失念するなどし、本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である令和4年4月18日から619日経過した令和5年12月27日であった。
 事例2  カバーは、令和4年10月27日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同年11月21日に給付を受領した後、令和5年5月23日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で5回させていた。
 当該5回のやり直しは、いずれも検査期間を納入後5日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであり、本発注において、カバーが当該事業者に「社内、タレント共に全ての確認が完了」したとの通知を行ったのは、本発注の給付の受領日である令和4年11月21日から277日経過した令和5年8月25日であった。
 本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である令和4年11月21日から312日経過した令和5年9月28日であった。
 事例3  カバーは、令和5年1月24日、下請事業者1名に対し、動画用2Dモデルの作成を発注し、同年2月8日に給付を受領した後、同年3月22日までの間に、発注書等で示された仕様等からは作業が必要であることが分からないやり直しを無償で3回させていた。
 当該3回のやり直しのうちの2回は、検査期間を納入後5日以内としていたにもかかわらず、当該期間を経過した後にさせたものであり、本発注において、カバーが当該事業者に「納品」が完了したとの通知を行ったのは、本発注の給付の受領日である令和5年2月8日から230日経過した同年9月26日であった。
 カバーは、令和5年4月頃には、本発注により作成された動画用2Dモデルを用いて動画配信を行っていたが、本発注の下請代金が支払われたのは、給付の受領日である同年2月8日から266日経過した同年10月31日であった。 

 エ カバーは、前記アの下請事業者以外の情報成果物の作成を委託している個人又は資本金の額が5000万円以下の法人たる事業者に対しても、前記イと同様のやり直しが生じ得る方法で当該委託を行っていた。

⑵ 勧告の概要
 ア カバーは、下請事業者に対し、前記⑴イの行為により、下請事業者の給付を受領した後に、無償で給付をやり直させたことによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で速やかに支払うこと。
 イ カバーは、下請法を遵守する体制を確立するため、次の措置を講ずること。
  (ア) 次の事項を取締役会の決議により確認すること
   a 前記⑴イの行為が下請法第4条第2項第4号の規定に違反するものであること
   b 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後に給付をやり直させることにより、下請事業者の利益を不当に害さないこと
  (イ) 前記⑴ア及びエの下請事業者に対し、令和4年4月1日から令和6年10月25日までの間に、当該事業者の給付を受領した後にやり直しをさせた下請取引(前記⑴イのものを除く。)について、下請法第4条第2項第4号の観点から問題が生じていなかったのかを調査し、問題が認められた場合には、下請事業者の利益を保護するために必要な措置を講ずること
  (ウ) 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後に給付をやり直させることにより、下請事業者の利益を不当に害することがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講ずること
 ウ カバーは、前記ア及びイに基づいて採った措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
 エ カバーは、前記アからウまでに基づいて採った措置を取引先下請事業者に通知すること。
 オ カバーは、前記アからエまでに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。

3 指導の概要等

⑴ 違反事実の概要
  カバーは、情報成果物の作成を委託している下請事業者に対し、令和4年7月から令和6年2月までの間、前記2⑴イの行為等により、下請事業者の給付を受領しているにもかかわらず、あらかじめ定められた支払期日までに下請代金を支払っていなかった(当該支払遅延による遅延利息の額は、下請事業者29名に対し、総額115万2642円)。
  カバーは、令和6年9月17日までに、当該支払遅延による遅延利息の額を支払っている。

⑵ 指導の概要
 ア 前記⑴の行為について、所要の改善措置を講ずること。
 イ 前記2⑵イ(イ)に基づく調査において、下請法第4条第1項第2号の問題が認められた場合には、下請事業者の利益を保護するために必要な措置を講ずること。
  ウ 今後、前記⑴と同様の行為を行わないこと。
⑶ カバーは、前記⑵に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部下請取引調査室
電話 03-3581-3374(直通)
ホームページ  https://www.jftc.go.jp/

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