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(令和6年10月31日)損害保険会社らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

(令和6年10月31日)損害保険会社らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

令和6年10月31日
公正取引委員会


公正取引委員会は、損害保険会社である三井住友海上火災保険株式会社、損害保険ジャパン株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び東京海上日動火災保険株式会社並びに損害保険代理店である共立株式会社に対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
 損害保険会社らによる違反行為の概要は後記第1の2に記載のとおりであり、各件は、損害保険会社らが、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
 また、独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、今般、後記第2のとおり、共同保険に係る独占禁止法上の留意点等について取りまとめた。
 さらに、金融庁及び一般社団法人日本損害保険協会(以下「日本損害保険協会」という。)に対し、本日、後記第3のとおり、要請を行った。

第1 排除措置命令及び課徴金納付命令

1 違反事業者並びに排除措置命令及び課徴金納付命令の件数等(排除措置命令及び課徴金納付命令の状況は別表のとおり)

(注1)各違反事業者名については、以下、「三井住友海上」、「損保ジャパン」、「あいおい」、「東京海上」及び「共立」という。

2 違反行為の概要

⑴ 株式会社JERAを保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙1参照)
 三井住友海上、損保ジャパン、あいおい及び東京海上は、共同して、本件財物・利益保険(注2)について、見積り合わせにおいて各社が提示する保険料の水準を調整すること等によって保険料を引き上げ又は維持できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件財物・利益保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注2)「本件財物・利益保険」とは、株式会社JERAが見積り合わせの方法により発注する財物・利益保険のうち、1回の事故につき保険金の支払限度額を1500億円とする保険をいう。

⑵ コスモ石油株式会社を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙2参照)
 三井住友海上、損保ジャパン、あいおい及び東京海上は、共同して、本件製油所包括保険(注3)について、見積り合わせにおいて各社が提示する保険料等を調整することによって各社の引受割合及び保険料の水準を維持できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件製油所包括保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注3)「本件製油所包括保険」とは、コスモエネルギーホールディングス株式会社がコスモ石油株式会社の製油所を対象に同社に代わって、見積り合わせの方法により発注する地震保険、並びに見積り合わせと相対交渉を併用する方法により発注する火災保険及び利益保険をいう。

⑶ 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙3参照)
 三井住友海上、損保ジャパン、東京海上及び共立は、共同して、本件備蓄基地保険(注4)について、三井住友海上、損保ジャパン及び東京海上が事前に想定した引受保険料及び引受割合で受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件備蓄基地保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注4)「本件備蓄基地保険」とは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「JOGMEC」という。)が一般競争入札の方法により発注する、JOGMECが管理する国家石油・石油ガス備蓄基地等を対象とする企業財産包括保険、火災通知保険、土木構造物保険及び総合賠償責任保険をいう。

⑷ シャープ株式会社を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙4参照)
 三井住友海上、損保ジャパン及び東京海上は、共同して、本件マリン保険(注5)について、各社の見積保険料を調整することによって保険料の水準を維持できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件マリン保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注5)「本件マリン保険」とは、シャープ株式会社(以下「シャープ」という。)を保険契約者とし、保管中又は輸送中のシャープ製品等を補償対象とする損害保険であって、シャープから指名を受けたマーシュジャパン株式会社により「SHARP GLOBAL STP PROGRAM」という名称で見積り合わせされるものをいう。

⑸ 京成電鉄株式会社を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙5参照)
 三井住友海上、損保ジャパン、あいおい及び東京海上は、共同して、本件グループ包括保険(注6)について、予定幹事会社を決定し、予定幹事会社が幹事会社に選定されるようにするとともに、予定幹事会社が定めた見積金額を基にした保険料等で契約できるようにすることにより、公共の利益に反して、本件グループ包括保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注6)「本件グループ包括保険」とは、京成電鉄株式会社(以下「京成電鉄」という。)が「グループ包括保険」の名称により見積合わせの方法により発注する京成電鉄を保険契約者とする鉄道総合財産保険、鉄道賠償責任保険及び副業総合保険をいう。

⑹ 警視庁が発注する損害保険について(詳細は別紙6参照)
 三井住友海上、損保ジャパン及び東京海上は、共同して、警視庁が希望制指名競争入札の方法により発注する任意自動車保険について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、警視庁が希望制指名競争入札の方法により発注する任意自動車保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。

⑺ 東京都が発注する都立病院を対象とする損害保険について(詳細は別紙7参照)
 三井住友海上、損保ジャパン及び東京海上は、共同して、東京都発注の病院賠償責任保険(注7)について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、東京都発注の病院賠償責任保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注7)「東京都発注の病院賠償責任保険」とは、東京都が希望制指名競争入札の方法により発注する都立病院を対象とする病院賠償責任保険をいう。

⑻ 仙台国際空港株式会社を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙8参照)
 三井住友海上、損保ジャパン及び東京海上は、共同して、令和4年更改契約における本件損害保険(注8)について、見積り合わせにおいて各社が提出する見積りを調整することによって保険料を引き上げること及び地震特約に係る保険期間を1年とすることを合意することにより、公共の利益に反して、令和4年更改契約における本件損害保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注8)「本件損害保険」とは、企業財産包括保険、土木構造物保険及び空港管理者賠償責任保険をいう。

⑼ 東急株式会社を保険契約者とする損害保険について(詳細は別紙9参照)
 三井住友海上、損保ジャパン、あいおい及び東京海上は、共同して、令和5年更改契約における本件損害保険(注9)について、見積り合わせにおいて各社が提出する見積りを調整することによって保険料を引き上げ又は維持することを合意することにより、公共の利益に反して、令和5年更改契約における本件損害保険の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注9)「本件損害保険」とは、企業財産包括保険及び企業総合賠償責任保険をいう。

第2 共同保険に係る独占禁止法上の留意点等について

前記第1の排除措置命令の対象となった独占禁止法違反行為の多くは、共同保険の組成過程において行われていたこと等を踏まえ、独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、別添1のとおり、共同保険の組成・利用に関し、損害保険会社、損害保険代理店又は保険契約者において留意すべき独占禁止法上の考え方及び競争政策上の考え方等を取りまとめた。

第3 金融庁及び日本損害保険協会に対する要請

前記第1のとおり、今回、多岐にわたる損害保険で独占禁止法違反行為が行われていたことから、独占禁止法遵守について、金融庁にあっては、損害保険会社等に対し、日本損害保険協会にあっては、会員に対し、それぞれ、周知徹底するよう要請した。

関連ファイル

※10月31日 17時23分、「(令和6年10月31日)本件の概要」を差し替えました(別紙9概要を追加いたしました。)。

(印刷用)(令和6年10月31日)損害保険会社らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等についてpdfダウンロード(771 KB)

(令和6年10月31日)本件の概要pdfダウンロード(1,875 KB)

(令和6年10月31日)参考1-3(過去の損害保険分野における事件、参照条文及び課徴金制度の概要)、調査協力減算制度の概要pdfダウンロード(1,453 KB)

(令和6年10月31日)(別添1)共同保険に係る独占禁止法上の留意点等についてpdfダウンロード(117 KB)

(令和6年10月31日)(別添2)排除措置命令書pdfダウンロード(1,190 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局
第一審査(京成電鉄、警視庁、東京都、第2及び第3)
電話 03-3581-4960(直通)
第四審査上席(仙台国際空港及び東急)
電話 03-3581-5487(直通)
第五審査(JERA、コスモ石油、JOGMEC及びシャープ)
電話 03-3581-1779(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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