令和8年4月22日
公正取引委員会
公正取引委員会は、首都高速道路株式会社(以下「首都高速道路」という。)が発注する特定道路清掃業務 (注1) の入札参加業者に対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は、特定道路清掃業務の入札参加業者が、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
また、本件において、首都高速道路の職員が、違反行為期間中に発注された特定道路清掃業務について、特定の事業者の従業者に対し、非公表の予定価格に関する情報等を教示していた行為が、入札談合等関与行為防止法に規定する入札談合等関与行為と認められたため、首都高速道路代表取締役に対し、本日、後記第2のとおり、同法の規定に基づき、改善措置要求を行った。
(注1)首都高速道路が総合評価落札方式による一般競争入札により発注する高速道路の路面、排水桝、排水管、トンネル、付属設備等の清掃及び積雪凍結対策作業をいう。
第1 排除措置命令及び課徴金納付命令
1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等
(注2)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。
(注3)表中「排除措置命令」欄の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象事業者であることを示している。
(注4)表中「課徴金額」欄の「-」は、その事業者が課徴金納付命令の対象事業者でないことを示している。
(注5)排除措置命令の名宛人である番号1から4の4社以外の特定の1社(以下「名宛人以外の1社」という。)は、違反事業者であるものの、平成30年9月5日以降、後記2の合意に基づき受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を行っていない。同日から独占禁止法第7条第2項ただし書き及び同法第7条の8第6項に規定する期間(7年)が経過しているため、名宛人以外の1社は排除措置命令及び課徴金納付命令の対象とならない。
(注6)表中「課徴金減免制度の適用」欄及び「申請順位に応じた減免率」欄の「-」は、その事業者が課徴金減免制度の適用事業者でないことを示している。
(注7)表中「事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率」欄の「-」は、その事業者が調査協力減算制度の適用事業者でないことを示している。
(注8)番号3及び4の事業者は、共同して、課徴金減免申請を行った者である。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
スバル興業、京葉ロードメンテナンス、首都ハイウエイサービス、日本ハイウエイ・サービス及び名宛人以外の1社の5社(以下「5社」という。)は、かねてから、特定道路清掃業務に係る入札価格等について情報交換を行っていたところ、遅くとも平成29年5月22日以降、特定道路清掃業務について、受注機会の確保を図るため
⑴ア 工区ごとに既存業者(入札が行われる時点で、当該工区の道路清掃業務を受託している者をいう。)を受注予定者とする
イ 受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する
⑵ア 受注予定者以外の入札の参加希望者(以下「協力者」という。)を選定する
イ 受注予定者は、協力者が入札で用いるための工事費内訳書(以下「協力者用の工事費内訳書」という。)を作成し、入札に先立ち当該協力者に提供するなどする
ウ 協力者は、入札の参加希望の申込みを行った上で、協力者用の工事費内訳書に記載された入札価格を提示する又は入札を辞退する
などにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
これにより、5社は、公共の利益に反して、特定道路清掃業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
⑴ スバル興業、京葉ロードメンテナンス、首都ハイウエイサービス及び日本ハイウエイ・サービスの4社(以下「4社」という。)は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。
ア 特定道路清掃業務について、5社が、遅くとも平成29年5月22日以降共同して行っていた、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を既に行っていないことを確認すること。
イ 今後、相互の間(首都ハイウエイサービスと日本ハイウエイ・サービスの間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定道路清掃業務について、受注予定者を決定せず自主的に受注活動を行うこと。
⑵ 4社は、それぞれ、前記⑴に基づいて採った措置を、自社を除く3社(首都ハイウエイサービス及び日本ハイウエイ・サービスにあっては、京葉ロードメンテナンス及びスバル興業)及び首都高速道路に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
⑶ 4社は、今後、それぞれ、相互の間(首都ハイウエイサービスと日本ハイウエイ・サービスの間を除く。)において、又は他の事業者と共同して、特定道路清掃業務について、受注予定者を決定してはならない。
⑷ 4社は、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。この措置の内容については、前記⑶で命じた措置が遵守されるために十分なものでなければならず、かつ、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
ア 道路清掃業務の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の自社の役員及び従業員に対する周知徹底(京葉ロードメンテナンスにあっては当該行動指針の作成並びに自社の役員及び従業員に対する周知徹底)
イ 道路清掃業務の受注に関する独占禁止法の遵守についての、自社の役員及び従業員に対する定期的な研修
⑸ 4社は、それぞれ、前記⑴、⑵及び⑷に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
4 課徴金納付命令の概要
スバル興業及び京葉ロードメンテナンスは、令和8年11月24日までに、それぞれ前記1の「課徴金額」欄記載の額(総額5億2825万円)を支払わなければならない。
第2 首都高速道路代表取締役に対する改善措置要求等
1 入札談合等関与行為の概要
⑴ 首都高速道路東京西局点検・補修推進課長は、平成29年に行われた特定道路清掃業務の入札において、入札参加業者のうち特定の事業者の従業者に対し、入札書の提出締切日前までに、非公表の予定価格に関する情報を教示していた。
⑵ 首都高速道路技術部工事安全推進課長は、令和元年に行われた特定道路清掃業務の入札において、入札参加業者のうち特定の事業者の従業者に対し、入札書の提出締切日前までに、非公表の予定価格に関する情報を教示していた。
⑶ 首都高速道路東京西局保全管理課保全管理司令は、令和3年に行われた特定道路清掃業務の入札において、入札参加業者のうち特定の事業者の従業者に対し、入札書の提出締切日前までに、非公表の予定価格に関する情報を教示していた。
(注9)前記⑴の東京西局点検・補修推進課長、前記⑵の技術部工事安全推進課長及び前記⑶の東京西局保全管理課保管理司令は全て同一人物である。
⑷ 首都高速道路東京西局点検・補修推進課長は、令和5年に行われた特定道路清掃業務の入札において、入札参加業者のうち特定の事業者の従業者である首都高速道路の退職者に対し、入札書の提出締切日前までに、非公表の予定価格に係る積算基準に関する情報を教示していた。
2 関係法条、改善措置要求等
首都高速道路の職員による前記1の行為は、入札談合等関与行為防止法第2条第5項第3号(発注に係る秘密情報の漏えい)の規定に該当し、同項に規定する入札談合等関与行為と認められる。
よって、公正取引委員会は、首都高速道路代表取締役に対し、入札談合等関与行為防止法第3条第2項の規定に基づき、今後、前記1と同様の行為が行われないよう、前記1の行為が排除されたことを確保するために必要な改善措置を速やかに講ずるよう求めた。また、当該改善措置には、特定道路清掃業務の入札に係る道路清掃業者に対する入札参加確認通知の交付後、入札終了までの期間において、当該道路清掃業者の従業員(首都高速道路の退職者を含む。)と首都高速道路の役職員との接触を禁止する(ただし、既存の契約に基づき継続的に行われている道路清掃業務の実施に不可欠な接触を除く。)など、入札談合等関与行為の 再発防止を実現する観点から合理的に必要な範囲で道路清掃業者の従業員と首都高速道路の役職員との接触を禁止することを含めること等を申し入れた。
また、首都高速道路代表取締役に対し、この求めに応じて同条第4項の規定に基づき行った調査の結果及び講じた改善措置の内容について、同条第6項の規定に基づき公表するとともに公正取引委員会に通知するよう求めた。
さらに、会計検査院に対し、入札談合等関与行為の排除及び防止に万全を期す観点から、首都高速道路代表取締役に対して改善措置を講ずるよう求めた旨の通知を行った。
関連ファイル
(印刷用)(令和8年4月22日)首都高速道路株式会社が発注する道路清掃業務の入札参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令並びに首都高速道路株式会社に対する改善措置要求等について
(112 KB)
(令和8年4月22日)参考1-4(最近の入札談合防止法適用事例、最近の入札談合・受注調整事件、参照条文及び課徴金制度の概要)
(175 KB)
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