令和8年6月8日
公正取引委員会
はじめに
公正取引委員会は、迅速かつ実効性のある事件審査を行うとの基本方針の下、国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合・受注調整、中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売などに厳正かつ積極的に対処することとしている。
令和7年度においては、生活必需品であるガソリンを対象とした価格カルテルをはじめとする多数の価格カルテル、東京オリンピック・パラリンピック関連の入札談合、自動二輪車の卸売業等を営む事業者によるディーラーに対する優越的地位の濫用等に厳正に対処したほか、キャッシュレス決済のネットワーク分野における拘束条件付取引被疑事案、大手タイヤメーカーによる自動車用オールシーズンタイヤの再販売価格の拘束被疑事案等について確約手続を利用し、効率的かつ効果的に対処した。
また、大規模小売業者等による納入業者に対する要請、荷主による物流事業者に対する要請等の優越的地位の濫用については、事案に応じて警告や注意を行うなど、中小事業者等に不当に不利益を与える行為に効率的かつ効果的に対処した。
さらに、デジタル分野においては、Google LLCによる特定アンドロイド・スマートフォンメーカー及び特定移動通信事業者に対する拘束条件付取引事件に厳正に対処したほか、マイクロソフト・コーポレーションらによる独占禁止法違反被疑行為に関して審査の開始を公表し、第三者からの情報・意見募集を行った。
令和7年度における独占禁止法違反事件の処理状況は、次のとおりである。
第1 審査事件の概況
1 法的措置等の状況
⑴ 排除措置命令等の状況
令和7年度においては、独占禁止法違反行為について、延べ26名の事業者に対して、11件の排除措置命令を行った。排除措置命令11件の内訳は、価格カルテル7件、入札談合2件、不公正な取引方法2件となっている。価格カルテル・入札談合9件の市場規模は、総額2870億円超である。
また、令和7年度においては、独占禁止法違反被疑行為について、4名の事業者に対して、4件の確約計画の認定を行った(注1)。違反被疑行為の内訳は、優越的地位の濫用2件、再販売価格の拘束1件、その他の拘束・排他条件付取引(注2)1件となっている。
(注1) 確約計画の認定は、確約手続に係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公正取引委員会が認定するという、独占禁止法に基づく行政処分である。公正取引委員会は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、当該認定を取り消し、確約手続に係る通知を行う前の調査を再開することとなる。
(注2) その他の拘束・排他条件付取引とは、再販売価格の拘束以外の拘束・排他条件付取引を指す(以下同じ。)。
図1 法的措置(注3)件数等の推移

(注3) 法的措置とは、排除措置命令、課徴金納付命令及び確約計画の認定のことである。一つの事件について、排除措置命令と課徴金納付命令が共に行われている場合には、法的措置件数を1件としている。
(注4) 私的独占と不公正な取引方法のいずれも関係法条となっている事件は、私的独占に分類している。
(注5) その他のカルテルとは、数量、販路、顧客移動禁止、設備制限等のカルテルである。
⑵ 警告等の状況
令和7年度においては、警告に加え、各事案の内容を踏まえて、注意等の事案についても、事案の概要を公表することにより、独占禁止法や競争政策上の問題点を広く周知するなどの処理を行った。
ア 違反の疑いのある行為が認められた9件について、関係事業者に対し、事前説明を行った上で警告・公表を行った(価格カルテル:2件、優越的地位の濫用:4件、不当廉売:1件、抱き合わせ販売等:1件、競争者に対する取引妨害:1件)。
イ 違反につながるおそれのある行為がみられたものであって、競争政策上公表することが望ましいと考えられる事案であり、かつ、関係事業者から公表する旨の了解を得た4件について、注意・公表を行った(拘束条件付取引又は競争者に対する取引妨害:4件)。
図2 排除措置命令・確約計画の認定・警告等の件数の推移

(注6) 事案の概要を公表したものに限る。
⑶ 課徴金納付命令の状況
令和7年度においては、延べ36名の事業者に対して、総額97億373万円の課徴金納付命令を行った。このうち、課徴金納付命令後に刑事事件裁判が確定した1名の事業者に対して、独占禁止法第63条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令に係る課徴金額を変更する決定(以下「罰金調整」という。)を行った。
罰金調整の結果、令和7年度における課徴金額(延べ36名に対する総額)は、総額95億5373万円となり、一事業者当たりの課徴金額の平均は2億6538万円(注7)であった。
(注7) 一事業者当たりの課徴金額の平均については、1万円未満切捨て。
表1 課徴金額等の推移

(注8) 課徴金額については、千万円未満切捨て。
2 申告の状況
令和7年度において、独占禁止法の規定に違反すると考えられる事実について、公正取引委員会に寄せられた報告(申告)の件数は、3,225件であった。
申告が書面で具体的な事実を摘示して行われるなど一定の要件を満たした場合には、申告者に対して措置結果等を通知することとされているところ、令和7年度においては、2,901件の通知を行った。
図3 申告件数の推移

3 課徴金減免制度の状況
公正取引委員会は、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合・受注調整について、その違反内容を当委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度(以下「課徴金減免制度」という。)及び課徴金減免申請の申請順位に応じた減免率に、課徴金減免申請を行った事業者(調査開始日より前に最初に課徴金減免申請をした者を除く。)の事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率を付加する制度(以下「調査協力減算制度」という。)を運用している。
令和7年度において、課徴金減免制度に基づき、事業者から自らの違反行為に係る事実の報告等が行われた件数は、182件であった(平成18年1月の制度導入時から令和7年度末までの累計は1,864件)。
また、令和7年度においては、価格カルテル・入札談合事件8件における延べ14名の課徴金減免制度の適用事業者について、これらの事業者の名称、課徴金減免制度の適用状況等を公表した(注9)。このうち、5事件における延べ6名の事業者に調査協力減算制度を適用した。
(注9) 公正取引委員会は、法運用の透明性等を確保する観点から、課徴金減免制度が適用された事業者について、課徴金納付命令を行った際に、当委員会のウェブサイトに、当該事業者の名称、所在地、代表者名及び免除の事実又は減額の率等を公表することとしている(ただし、平成28年5月31日以前に課徴金減免申請を行った事業者については、当該事業者から公表の申出があった場合に、公表している。また、公表された事業者数には、課徴金減免申請を行った者であるものの、①独占禁止法第7条の2第1項に規定する売上額(課徴金の算定の基礎となる売上額)が存在しなかったため課徴金納付命令の対象になっていない者及び②算出された課徴金額が100万円未満であったため独占禁止法第7条の2第1項ただし書により課徴金納付命令の対象になっていない者のうち、公表することを申し出た事業者の数を含めている。)。
ウェブサイト https://www.jftc.go.jp/dk/seido/genmen/kouhyou/index.html
表2 課徴金減免申請件数の推移
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | 累計 (注10) |
| 申請 件数 |
52 | 22 | 156 | 109 | 182 | 1,864 |
(注10) 課徴金減免制度が導入された平成18年1月4日から令和8年3月末までの件数の累計。
表3 課徴金減免制度の適用状況
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | 累計 (注13) |
| 課徴金減免制度の適用された法的措置件数 (注11)(注12) |
3 | 8 | 4 | 16 | 8 | 192 |
| 課徴金減免制度が適用された 事業者数 |
10 | 22 | 13 | 53 | 14 | 503 |
(注11) 本表における法的措置とは、排除措置命令及び課徴金納付命令であり、一つの事件について、排除措置命令と課徴金納付命令が共に行われている場合には、法的措置件数を1件としている。
(注12) 排除措置命令のみを行い課徴金納付命令は行わなかったものの、当委員会のウェブサイトに課徴金減免申請を行った旨を公表することを申し出た事業者が存在する事件又は当該事業者を含む。
(注13) (注9)を参照。課徴金減免制度が導入された平成18年1月4日から令和8年3月末までの件数又は事業者数の累計。
表4 調査協力減算制度の適用状況
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | 累計 |
| 調査協力減算制度が適用された法的措置件数 | 0 | 2 | 4 | 13 | 15 | 24 |
| 調査協力減算制度が適用された事業者数 | 0 | 4 | 9 | 29 | 6 | 48 |
4 審査の開始及び第三者からの情報・意見の募集
公正取引委員会は、令和8年3月4日、マイクロソフト・コーポレーション、日本マイクロソフト株式会社及びMicrosoft Ireland Operations Limitedによる独占禁止法違反被疑行為について、審査を開始した旨及び第三者からの情報・意見の募集を行うこととした旨を公表した。
第2 行為類型別の事件概要
1 価格カルテル
令和7年度においては、ごま油の製造販売業者による価格カルテル事件(3件)、食品ごまの製造販売業者による価格カルテル事件、特装車製品の製造販売業者による価格カルテル事件、トレーラの製造販売業者による価格カルテル事件、長野県石油商業組合北信支部による価格カルテル事件について、7件の法的措置(排除措置命令及び課徴金納付命令)を採った。
・ ごま油の製造販売業者による価格カルテル事件(ヱスビー食品向け)
かどや製油株式会社及び竹本油脂株式会社は、共同して、ヱスビー食品株式会社向けに販売するごま油の価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ ごま油の製造販売業者による価格カルテル事件(丸美屋食品工業向け)
かどや製油株式会社及び竹本油脂株式会社は、共同して、丸美屋食品工業株式会社向けに販売するごま油の価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ ごま油の製造販売業者による価格カルテル事件(フンドーキン醤油向け)
かどや製油株式会社及び竹本油脂株式会社は、共同して、フンドーキン醤油株式会社向けに販売するごま油の価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ 食品ごまの製造販売業者による価格カルテル事件
かどや製油株式会社及び竹本油脂株式会社は、共同して、フンドーキン醤油株式会社向けに販売する食品ごまの価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ 特装車製品の製造販売業者による価格カルテル事件
極東開発工業株式会社及び新明和工業株式会社は、共同して、特定特装車製品の販売価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ トレーラの製造販売業者による価格カルテル事件
日本トレクス株式会社及び東邦車輛株式会社は、共同して、特定トレーラの販売価格を引き上げる旨を合意していた。 |
・ 長野県石油商業組合北信支部による価格カルテル事件
長野県石油商業組合北信支部は、支部員が販売する特定揮発油について、その販売価格の改定額及び改定時期を決定し、支部員に対し、当該決定に基づいて特定揮発油の販売価格の改定を実施させていた。 |
〇 長野県石油商業組合に対する申入れ
本件審査の過程において、長野県石油商業組合北信支部(以下「北信支部」という。)の支部長が、長野県石油商業組合(以下「長野県石商」という。)の職員に対し、特定揮発油等の販売価格の改定額等を、その決定の都度報告し、当該職員は、当該改定額等を長野県石商の役員に共有していた事実が認められた。
公正取引委員会は、長野県石商に対し、今後、長野県石商が独占禁止法違反行為を容認することがないよう、また、長野県石商及び長野県石商の各支部で北信支部による本件違反行為と同様の行為が行われることがないよう、①排除措置命令の内容について、長野県石商の役員、職員及び組合員に周知すること、②独占禁止法の遵守についての行動指針を作成し長野県石商の役員、職員及び組合員に周知徹底すること、及び③長野県石商の役員、職員及び組合員を対象とする独占禁止法の遵守についての定期的な研修を実施することを申し入れた。
また、ホテルの運営事業者による価格カルテル被疑事件、長野県石油商業組合北信支部の非支部員による価格カルテル被疑事件について、2件の警告を行った。
・ ホテルの運営事業者に対する警告
ホテルの運営事業者15社がそれぞれ運営する各ホテルは、相互に、毎月の客室稼働率、客室平均単価、販売可能な客室1室当たりの収益、将来の予約状況、将来の客室単価の設定方針等の情報を交換していた。 |
〇 一般社団法人日本ホテル協会及び一般社団法人全日本ホテル連盟に対する要請
ホテルの運営事業者15社がそれぞれ運営するホテルの中には、一般社団法人日本ホテル協会又は一般社団法人全日本ホテル連盟の会員がいたことから、一般社団法人日本ホテル協会及び一般社団法人全日本ホテル連盟に対し、今後、同様の行為が行われることがないように、独占禁止法遵守について、それぞれの会員に周知徹底するよう要請した。
・ 長野県石油商業組合北信支部の非支部員に対する警告
長野県北信地区において特定揮発油の販売を行っている、長野県石油商業組合北信支部(以下「北信支部」という。)の非支部員3名は、遅くとも令和6年12月19日頃から令和7年2月4日頃までの間、継続的に、北信支部の支部員から特定揮発油の販売価格の改定額及び改定時期の情報を入手し、その情報を踏まえて、それぞれが販売する特定揮発油の販売価格の改定額及び改定時期を決定していた疑いがある。 |
2 入札談合
令和7年度においては、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が発注する東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関するテストイベント計画立案等業務等の入札参加等業者による入札談合事件、地方公共団体等が発注する東海旅客鉄道株式会社が管理する線路の跨線橋点検業務における入札等の参加業者らによる入札談合事件について、2件の法的措置(排除措置命令及び課徴金納付命令)を採った。
・ 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が発注する東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関するテストイベント計画立案等業務等の入札参加等業者による入札談合事件
株式会社セレスポ、株式会社電通グループ、株式会社博報堂、株式会社電通、株式会社東急エージェンシー、株式会社フジクリエイティブコーポレーション、株式会社セイムトゥー及び株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)が発注する特定テストイベント・本大会業務※について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。 ※ 「特定テストイベント・本大会業務」とは、組織委員会が一般競争入札の方法により発注するテストイベント計画立案等業務並びに同業務の受注者に対して特別契約の方法により発注されることとされていたテストイベント実施等業務及び本大会運営等業務をいう。 (令和7年6月23日 排除措置命令(7社)及び課徴金納付命令(7社)) |
・ 地方公共団体等が発注する東海旅客鉄道株式会社が管理する線路の跨線橋点検業務における入札等の参加業者らによる入札談合事件
日本交通技術株式会社、ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社、大日コンサルタント株式会社、株式会社トーニチコンサルタント及び丸栄調査設計株式会社の5社(以下「5社」という。)並びに東海旅客鉄道株式会社の6社は、特定跨線橋点検等業務について、5社の中から受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。 |
3 不公正な取引方法
⑴ 優越的地位の濫用
令和7年度においては、ハーレーダビッドソンジャパン株式会社による優越的地位の濫用事件について、1件の法的措置(排除措置命令及び課徴金納付命令)を採った。
・ ハーレーダビッドソンジャパン株式会社による優越的地位の濫用事件
ハーレーダビッドソンジャパン株式会社(以下「ハーレーダビッドソンジャパン」という。)は、遅くとも令和5年1月31日以降、特定ディーラーに対し、ハーレーダビッドソンブランドの自動二輪車(「トライク」と称する自動三輪車を含む。以下「HD車両」という。)について、自社登録(ディーラーが自ら又は自らの従業員等を名義人とし、当該名義人を相手方とする実際の売上げ又はその見込みが存在しないにもかかわらず、メーカー保証を開始するために行う登録をいう。)を行わなければ達成できないような小売販売目標台数(以下「RSO」という。)を、次の⑴のとおり、一方的に決めた上で、次の⑵の方法等により、当該RSOに従って事業活動を行うことを余儀なくさせていた。 ⑴ ハーレーダビッドソンジャパンは、特定ディーラーに合意書を提示するまでの間に、合意書に記載するRSOの案に関して、特定ディーラーとの協議を行っておらず、特定ディーラーに対して意見を述べる機会も与えていなかった。また、特定ディーラーに合意書を提示してから署名押印済みの合意書を提出させるまでの間に、合意書に記載したRSOの案の算定の根拠等を、特定ディーラーに対して十分に説明することはなかったほか、特定ディーラーがRSOの案の数値について意見を述べ、又は下方修正を要請したとしても、特定ディーラーとの協議を行うことはほとんどなく、RSOの案を下方修正することもなかった。そして、ハーレーダビッドソンジャパンは、特定ディーラーに署名押印済みの合意書を提出させるなどして、特定ディーラーとの間で、合意書に記載されたとおりのRSOを決めていた。 ⑵ ハーレーダビッドソンジャパンは、RSOの達成率、販売拠点の設備、人員の充実度等によって四半期ごとにディーラーを評価していたところ、ディーラーにおけるRSOの達成率が一定割合に満たなかったことなどの結果、ディーラーが「NGS評価」と称する低い評価を2回連続で下された場合には、当該ディーラーとのディーラー契約が更新されないなどの可能性がある中で、次の行為を行っていた。 ア 特定ディーラーが各月末までにHD車両を当該月のRSOに従って顧客に販売するために必要な時間的猶予が存在しない状況下において、営業責任者の指示の下、営業担当者からの電話等により、特定ディーラーに対して、当該月のRSOの達成率を上げるように強く要請していた。 イ NGS評価を下した特定ディーラーに対して、翌四半期以降におけるRSOの達成率等の改善計画を作成させるとともに、当該特定ディーラーの代表者等との面談において、その実施を約束させていた。 (令和7年9月18日 排除措置命令及び課徴金納付命令) |
また、株式会社ニシムタによる優越的地位の濫用被疑事件、株式会社ロピアによる優越的地位の濫用被疑事件について、2件の法的措置(確約計画の認定)を採った。
・ 株式会社ニシムタに対する確約計画の認定
公正取引委員会は、株式会社ニシムタ(以下「ニシムタ」という。)に対し、ニシムタの次の行為が独占禁止法の規定に違反する疑いがあるものとして、確約手続通知を行ったところ、ニシムタから確約計画の認定申請があり、当該計画が独占禁止法に規定する認定要件に適合すると認め、当該計画を認定した。 ○ ニシムタは、遅くとも令和4年3月頃以降、納入業者に対して、次の行為を行っている。 ⑴ 「商品管理費」の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者からの毎月の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。 ⑵ 新規開店に際し、これを実施する店舗(ニシムタが運営するもの。以下同じ。)に関して、「開店広告協賛」の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者から当該店舗向けに開店前に仕入れる商品の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。 ⑶ 納入業者から仕入れる商品について当該納入業者に行わせていた商品への値札シールの貼付け作業を廃止することを理由に、「物流支援費」の名目で、あらかじめ負担額の算出根拠、使途等を明らかにせず、又は、当該金銭の提供が、その提供を通じて納入業者が得ることとなる直接の利益等を勘案して合理的な範囲を超えた負担となるにもかかわらず、当該納入業者からの毎月の仕入金額にあらかじめ定めた一定の料率を乗じて算出した額の金銭を提供させている。 ⑷ 新規開店又は改装開店に際し、これらを実施する店舗において、納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の搬入、陳列等の作業を行わせるため、派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく、当該納入業者の従業員等を派遣させている。 (令和7年9月5日 確約計画の認定) |
・ 株式会社ロピアに対する確約計画の認定
公正取引委員会は、株式会社ロピア(以下「ロピア」という。)に対し、ロピアの次の行為が独占禁止法の規定に違反する疑いがあるものとして、確約手続通知を行ったところ、ロピアから確約計画の認定申請があり、当該計画が独占禁止法に規定する認定要件に適合すると認め、当該計画を認定した。 ○ ロピアは、遅くとも令和4年9月頃から令和7年6月頃までの間、納入業者に対して、新規開店、改装開店又は棚替えに際し、これらを実施する店舗において、納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の陳列及び品出しの作業を行わせるため、あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく、かつ、派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく、当該納入業者の従業員等を派遣させていた。 (令和7年12月25日 確約計画の認定) |
さらに、新明電材株式会社による優越的地位の濫用被疑事件、株式会社デリシアによる優越的地位の濫用被疑事件、株式会社かましんによる優越的地位の濫用被疑事件、株式会社ザグザグによる優越的地位の濫用被疑事件について、4件の警告を行った。
・ 新明電材株式会社に対する警告
新明電材株式会社は、遅くとも令和4年4月1日から令和7年7月6日までの間、自社に継続して電気設備資材を納入する事業者(以下「納入業者」という。)に対して、 ⑴ 感謝セール協賛の名目で、毎年6月頃、代表取締役名の要請文書を送付することにより、あらかじめ負担額の算出根拠等を明確にすることなく、その提供を通じて納入業者が販売促進効果等の利益を得ることができないにもかかわらず、自己のために金銭を提供させていた ⑵ 協力会費の名目であらかじめ負担額の算出根拠等を明確にすることなく、その提供を通じて納入業者が販売促進効果等の利益を得ることができないにもかかわらず、自己のために金銭を提供させていた との事実が認められた。 (令和7年9月25日 警告) |
・ 株式会社デリシアに対する警告
株式会社デリシアは、遅くとも令和4年4月1日から令和7年7月6日までの間、自社に継続して商品を納入する事業者(以下「納入業者」という。)に対して、自社の店舗の新規開店、改装開店又は売場変更に際し、これらを実施する店舗において商品の陳列等の作業を行わせるため、派遣のために通常必要な費用を自己が負担することなく、自己のために当該納入業者の従業員等を派遣させていたとの事実が認められた。 (令和8年2月26日 警告) |
・ 株式会社かましんに対する警告
株式会社かましんは、遅くとも令和4年3月1日から令和7年12月7日までの間、自社に継続して商品を納入する事業者(以下「納入業者」という。)に対して、 ⑴ 自社の店舗の新規開店又は改装開店に際し、当該店舗の利益を確保するため、あらかじめ算出根拠等を明確にすることなく、その提供を通じて納入業者が販売促進効果等の利益を得ることができないにもかかわらず、「オープン協賛」と称して、当該店舗の初回に納入する商品の全てについて、通常納入価格から半額又は全額を値下げした価格で納入させることにより、当該価格と通常納入価格との差額に相当する経済上の利益を提供させていた ⑵ 自社の店舗の新規開店、改装開店、棚替え又はおせち商品の販売に際し、これらを実施する店舗において、納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品の陳列等の作業を行わせるため、あらかじめ当該納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく、かつ、派遣のために通常必要な費用を自己が負担することなく、自己のために当該納入業者の従業員等を派遣させていた との事実が認められた。 (令和8年3月5日 警告) |
・ 株式会社ザグザグに対する警告
株式会社ザグザグは、遅くとも令和6年8月20日から令和7年12月23日までの間、自社に継続して商品を納入する事業者(以下「納入業者」という。)に対して、自社の店舗の新規開店又は改装開店に際し、これらを実施する店舗において商品の陳列等の作業を行わせるため、派遣のために通常必要な費用を自己が負担することなく、自己のために当該納入業者の従業員等を派遣させていたとの事実が認められた。 (令和8年3月12日 警告) |
このほか、令和7年度においては、優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして27件の注意を行った(後記第3の2参照)。
⑵ 拘束条件付取引
令和7年度においては、Google LLCによる拘束条件付取引事件について、1件の法的措置(排除措置命令)を採った。
・ Google LLCによる拘束条件付取引事件
Google LLCは、遅くとも令和2年7月以降、次の⑴及び⑵を行うことにより、特定アンドロイド・スマートフォンメーカー※1及び特定移動通信事業者※2に対し、他の一般検索サービス事業者の検索機能を特定アンドロイド・スマートフォンに実装させないようにしている。 ⑴ 特定アンドロイド・スマートフォンメーカーとの間で、当該メーカーが製造する端末へ「Google Play」と称するストアアプリを初期搭載することについての許諾に併せて、「Google Search」と称する検索アプリなどの自社のアプリをその端末に初期搭載させ、これらの自社のアプリの端末画面上の配置場所を指定するなどの契約を締結していること ⑵ 特定アンドロイド・スマートフォンメーカーらとの間で、競争関係にある事業者の検索アプリを搭載しないこと等を条件に、金銭を支払う内容の契約を締結していること ※1 「特定アンドロイド・スマートフォン」とは、アンドロイド・スマートフォンのうち本件許諾契約の対象となったものをいい、「特定アンドロイド・スマートフォンメーカー」とは、特定アンドロイド・スマートフォンの製造販売を行う事業者をいう。 ※2 「特定移動通信事業者」とは、移動通信事業者のうち本件収益分配契約(※3)を締結している者をいう。 ※3 「本件収益分配契約」とは、「Google Mobile Revenue Share Agreement」、「Google Mobile Incentive Agreement」等と題する契約をいう。 (令和7年4月15日 排除措置命令) |
また、ビザ・ワールドワイド・ピーティーイー・リミテッドによる拘束条件付取引被疑事件について、1件の法的措置(確約計画の認定)を採った。
・ ビザ・ワールドワイド・ピーティーイー・リミテッドに対する確約計画の認定
公正取引委員会は、ビザ・ワールドワイド・ピーティーイー・リミテッド(以下「ビザ・ワールドワイド」という。)に対し、ビザ・ワールドワイドの次の行為が独占禁止法の規定に違反する疑いがあるものとして、確約手続通知を行ったところ、ビザ・ワールドワイドから確約計画の認定申請があり、当該計画が独占禁止法に規定する認定要件に適合すると認め、当該計画を認定した。 ○ ビザ・ワールドワイドは、ビザ・ワールドワイドとライセンス契約を締結しているクレジットカード事業者等に対し、Visaカードにより決済が行われる特定の業種区分の取引に係る決済処理において発生するインターチェンジフィー※1の標準料率について、購入日から一定の日数以内に売上げに係るデータを送信する場合又はオーソリゼーション※2が行われる日から一定の日数以内に売上げに係るデータを送信する場合に、優遇レートを適用し、当該オーソリゼーションが行われる日についてはビザ・ワールドワイドが提供する取引処理ネットワークにより生成される取引識別子※3に基づいて判定していたところ、平成30年2月、当該クレジットカード事業者等に対し、前記の特定の業種区分の取引につき、オーソリゼーションが行われる日から一定の日数以内に売上げに係るデータを送信する場合にのみ優遇レートを適用する旨を通知し、令和3年11月以降、これを実施している。 ※1 「インターチェンジフィー」とは、Visaカードによる取引のうち、ビザ・ワールドワイドにより売上・決済処理が行われる場合に、アクワイアラ(販売店等にVisaカード決済の利用環境を提供する事業を行うクレジットカード事業者)がイシュア(消費者にVisaカードを発行する事業を行うクレジットカード事業者)に支払う手数料のことをいう。 ※2 「オーソリゼーション」とは、クレジットカード等が利用可能であること等を確認する手続のことをいう。 ※3 「取引識別子」とは、オーソリゼーション過程において、Visaカードによる各取引に割り当てられる一意の識別子のことであり、売上げ、返金、取消などの取引全体のライフサイクル管理に用いられるものをいう。 (令和7年7月22日 確約計画の認定) |
さらに、ライバー事務所を運営する事業者に対し、同事業者の行為が拘束条件付取引又は競争者に対する取引妨害につながるおそれがあるものとして注意を行い、その旨を公表した。
・ ライバー事務所を運営する事業者に対する注意
ライバー事務所4社はそれぞれ、自社に所属する「Pococha」と称するライブ配信プラットフォームのライバーとの間で締結したマネジメント契約において、合理的な理由が認められないにもかかわらず、当該ライバーの移籍や独立を牽制する目的で、当該契約終了後一定期間、 ⑴ ライブ配信活動を行うことの禁止 ⑵ 他のライバー事務所との間でマネジメント契約を締結することの禁止 ⑶ 自社と同種の事業を営むことの禁止 の全部又は一部を内容とする旨の規定を設け、当該契約終了後における当該ライバーの事業活動を制限している事実が認められた。 (令和7年12月9日 注意) |
⑶ 抱き合わせ販売等
令和7年度においては、トヨタモビリティ東京株式会社による抱き合わせ販売等被疑事件について、1件の警告を行った。
・ トヨタモビリティ東京株式会社に対する警告
トヨタモビリティ東京株式会社(以下「トヨタモビリティ東京」という。)は、遅くとも令和5年6月頃から令和6年11月頃までの間、トヨタ自動車製の自動車である「アルファード」、「ヴェルファイア」又は「ランドクルーザー」と称する自動車(以下、これらの自動車それぞれを「特定トヨタ車」という。)の新車の購入を希望する者(以下「購入希望者」という。)に対し、不当に、特定トヨタ車の販売に併せて ⑴ トヨタモビリティ東京が販売するボディコーティングの購入 ⑵ トヨタモビリティ東京が販売するメンテナンスパックの購入 ⑶ トヨタモビリティ東京が指定するトヨタファイナンス株式会社とのクレジット契約の締結 ⑷ トヨタモビリティ東京による購入希望者からの自動車の下取り をさせていた疑いがある。 (令和7年4月10日 警告) |
〇 トヨタ自動車株式会社及び一般社団法人日本自動車販売協会連合会に対する要請
公正取引委員会は、自動車販売業者において、本件と同様の行為が行われることを未然に防止する観点から、本件の概要及び抱き合わせ販売等の禁止を含む独占禁止法の遵守について
⑴ トヨタ自動車株式会社に対しては、特定トヨタ車等を販売する全国の販売店に
⑵ 一般社団法人日本自動車販売協会連合会に対しては、会員である全国の自動車販売業者等に
それぞれ周知するよう要請した。
⑷ 再販売価格の拘束
令和7年度においては、株式会社ダンロップタイヤによる再販売価格の拘束被疑事件について、1件の法的措置(確約計画の認定)を採った。
・ 株式会社ダンロップタイヤに対する確約計画の認定
公正取引委員会は、株式会社ダンロップタイヤ(以下「ダンロップタイヤ」という。)に対し、ダンロップタイヤの次の行為が独占禁止法の規定に違反する疑いがあるものとして、確約手続通知を行ったところ、ダンロップタイヤから確約計画の認定申請があり、当該計画が独占禁止法に規定する認定要件に適合すると認め、当該計画を認定した。 ○ ダンロップタイヤは、令和6年10月頃から令和7年4月頃までの間、「SYNCHRO WEATHER」(以下「シンクロウェザー」という。)と称する自動車用オールシーズンタイヤについて、小売価格を維持するという方針の下、希望小売価格を定めた上で、以下の行為を行っていた。 ⑴ 自ら又は取引先卸売業者を通じて、小売業者に対し、希望小売価格で販売するよう要請する、実質的な割引※を行わないよう要請する又はECモールへ出品しないよう要請することにより、小売業者にシンクロウェザーを希望小売価格で販売するようにさせる行為 ⑵ 希望小売価格より低い価格で販売している、実質的な割引を行っている又はECモールに出品している小売業者を、他の小売業者からの苦情などにより把握した場合、当該小売業者に対し、希望小売価格で販売するよう要請する、実質的な割引を取りやめるよう要請する又はECモールへの出品を取り下げるよう要請することにより、小売業者にシンクロウェザーを希望小売価格で販売するようにさせる行為 ※ 「実質的な割引」とは、商品の購入時にポイントを付与する、商品の配送に係る費用を無料にする、商品の取替えに係る工賃を無料にするなど、小売価格の引下げ以外の方法により、一般消費者に対して経済上の利益を提供することをいう。 (令和7年8月6日 確約計画の認定) |
⑸ 不当廉売
令和7年度においては、村上商事株式会社による不当廉売について、独占禁止法に違反するおそれがある行為が認められたことから、警告を行った。
・ 村上商事株式会社に対する警告
村上商事株式会社は、京都府福知山市に所在する給油所において、令和7年7月1日から同年8月31日までのうちの一定期間、レギュラーガソリンについて、その供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、当該給油所の周辺地域に所在する他のレギュラーガソリンの販売業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせた疑いがある。 (令和8年2月19日 警告) |
また、令和7年度においては、酒類、石油製品、家庭用電気製品等の小売業に係る不当廉売の申告に対し迅速処理(注14)を行い、不当廉売につながるおそれがあるとして159件の注意を行った。 加えて、「ガソリン等の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」の改定(令和4年11月11日)も踏まえて、繰り返し注意を受けた事業者に対する取組の強化として、①複数の給油所を運営している場合にあっては、事案に応じて本社の責任者に対して注意を行うとともに、②注意後の販売価格、仕入価格等について報告を求めるフォローアップ調査を実施した。
(注14) 申告のあった不当廉売事案に対し可能な限り迅速に処理する(原則2か月以内)という方針に基づいて行う処理をいう。
表5 令和7年度の不当廉売事案の注意件数(迅速処理によるもの)
| 酒類 | 石油製品 | 家電製品 | その他 | 合計 | |
| 注意件数 | 7 | 124 | 0 | 28 | 159 |
図4 不当廉売事案の注意件数の推移

⑹ 競争者に対する取引妨害
令和7年度においては、一般社団法人日本野球機構による競争者に対する取引妨害被疑事件について、1件の警告を行った。
・ 一般社団法人日本野球機構に対する警告
一般社団法人日本野球機構(以下「日本野球機構」という。)は、自らが主催する令和6年のプロ野球の日本選手権シリーズ(以下「日本シリーズ」という。)の第3戦の試合に係るテレビ放送権について代理店を介して日本野球機構から許諾を受けていたテレビ放送事業者(以下「特定テレビ放送事業者」という。)が、他のテレビ放送事業者による日本シリーズの他の試合のテレビ放送と重複する時間帯に、メジャーリーグ・ベースボールの試合をテレビ放送することに対して、次の行為を行っていたことが認められた。 ⑴ 特定テレビ放送事業者から、日本シリーズの試合が行われる球場内における日本シリーズの取材活動のための許可証(以下「取材ID」という。)を回収し、また、特定テレビ放送事業者に他の試合等の取材ID※1を発行しないことにより、令和6年10月26日から同年11月10日までの期間において日本シリーズの試合を含め日本野球機構が主催する試合等について特定テレビ放送事業者の取材活動を制限していたこと ⑵ 日本シリーズの第3戦の試合に係るテレビ放送権の許諾先を、特定テレビ放送事業者から他のテレビ放送事業者に変更するべく利害関係者と調整していたこと※2 ※1 日本シリーズに係る球場内等における取材活動のための許可証。 ※2 実際には許諾先は変更されていない。 (令和7年6月11日 警告) |
(※) その他の事例として、農業分野において、観光農園を営む事業者を構成員とする団体が、構成員が提供するサービスの料金を決定していた疑いがあったことについて、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして注意を行った事例があるほか、漁業分野において、漁業協同組合が、組合員に対し、育成した水産物の全量出荷を義務付けていた疑いがあったことについて、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして注意を行った事例などがある。
第3 タスクフォースの取組状況等
1 IT・デジタル関連分野
公正取引委員会は、IT・デジタルタスクフォースを設置し、当該分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報に接した場合に、専門的な検討・分析、効率的な調査を実施することとしている。
また、同分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報を広く受け付けるため、平成28年10月に専用の情報提供窓口を設置している。令和7年度における当該情報提供窓口における情報受付件数は103件となっている。令和2年度以降の各年度における情報受付件数は以下のとおりである。
表6 IT・デジタル関連分野における情報受付件数
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 |
| 情報受付件数 | 140 | 139 | 83 | 110 | 103 |
2 優越タスクフォース
公正取引委員会は、平成21年に優越的地位濫用事件タスクフォース(以下「優越タスクフォース」という。)を設置し、優越的地位の濫用に係る情報に接した場合には、効率的かつ効果的な調査を行い、濫用行為の抑止・早期是正に努めることとしている。
優越タスクフォースにおいては、優越的地位の濫用行為に係る全国から寄せられる情報及び自ら収集した情報に基づいて、一元的に当該行為の類型に特化した調査を行うことで事例の蓄積や処理方法の改善を図り、これらを積極的に活用することにより、優越的地位の濫用事案の調査を行っており、令和5年度以前は非公表の注意が多かったが、令和6年度以降は積極的に警告を行って公表している。
令和7年度においては、優越タスクフォースが中心となって、独占禁止法違反の疑いがある事案について4件の警告(新明電材株式会社に対する警告、株式会社デリシアに対する警告、株式会社かましんに対する警告及び株式会社ザグザグに対する警告)を行うとともに、優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして27件の注意を行った。
令和7年度の処理内容の特徴として、昨今、人手不足が深刻な問題となり、人材確保や賃上げのために人件費が高騰し、事業者にとって厳しい状況となっているところ、大手小売業者が納入業者に対して従業員等を派遣させて商品陳列作業等を無償で行わせていた事案について、3件の警告と7件の注意を行ったことが挙げられる。このほか、卸売業者等による協賛金等の負担の要請行為、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の急激なコスト上昇を受けた受注サイドの事業者からの価格転嫁の要請に対して、発注サイドの事業者が受注サイドの事業者と十分に協議することなく、一方的に、従来どおりに取引価格を据え置く行為、荷主と物流事業者との取引における荷主の行為等について注意を行った。
令和3年度以降の各年度における優越的地位濫用被疑事件処理件数は以下のとおりである。
表7 優越的地位濫用被疑事件処理件数
| 年度 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 |
| 警告件数 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
| 注意件数 | 46 | 55 | 67 | 41 | 27 |
3 その他の分野
公正取引委員会は、前記1・2のIT・デジタルタスクフォース、優越タスクフォースのほか、農業分野タスクフォース、公益事業タスクフォース等を設置している。また、専用の情報提供窓口を設置しており、令和7年度における当該情報提供窓口における情報受付件数は、農業分野が104件、電力・ガス分野が24件となっている。
【情報提供窓口の電話番号等】
<電話番号>
IT・デジタル関連分野 03-3581-5492
農業分野 03-3581-3387(※)
電力・ガス分野 03-3581-1760
※ 農業分野については、上記のほか、各地方事務所・支所にも窓口を設置している。
<情報提供フォーム>
https://www.jftc.go.jp/application/zzza092.html
※ IT・デジタル関連分野、農業分野、電力・ガス分野とも共通のアドレス
第4 独占禁止法違反に係る行政処分に対する取消請求訴訟
令和7年度当初において係属中の排除措置命令等取消請求訴訟は10件(東京地方裁判所8件、東京高等裁判所1件、最高裁判所1件)(注15)であり、同年度中に新たに13件の排除措置命令等取消請求訴訟が東京地方裁判所に提起された。
令和7年度当初において東京地方裁判所に係属中であった8件は、令和7年度末時点において引き続き東京地方裁判所に係属中である。
令和7年度当初において東京高等裁判所に係属中であった1件(控訴人2名)は、同裁判所が控訴を棄却する判決をし、これに対し、各控訴人からそれぞれ上告及び上告受理申立てがなされ、令和7年度末時点において2件の事件として最高裁判所に係属中である。
令和7年度当初において最高裁判所に係属中であった1件は、同裁判所が上告不受理決定をしたことにより終了した。
これらの結果、令和7年度末時点において係属中の排除措置命令等取消請求訴訟は23件(東京地方裁判所21件、最高裁判所2件)となった。
(注15) 排除措置命令等取消請求訴訟の件数は、訴訟ごとに裁判所において番号が付される事件の数である。
第5 審決取消請求訴訟
令和7年度当初において係属中の審決取消請求訴訟の件数(注16)は3件であり、これらのうち、同年度中に東京高等裁判所が原告の請求を棄却した判決が1件(原告が上告及び上告受理申立てをした。)、最高裁判所が上告棄却及び上告不受理決定をしたことにより終了したものが2件あった(別表第5表参照)。
この結果、令和7年度末時点では1件の審決取消請求訴訟が係属中である。
(注16) 審決取消請求訴訟の件数は、第一審裁判所において番号が付される事件の数である。
関連ファイル
(印刷用)(令和8年6月8日)令和7年度における独占禁止法違反事件の処理状況について
(1,219 KB)
問い合わせ先
第1から第4までに関する問い合わせ 公正取引委員会事務総局審査局管理企画課
電話 03-3581-3381(直通)
第5に関する問い合わせ 公正取引委員会事務総局官房総務課(審判・訟務担当)
電話 03-3581-5478(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/