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(令和8年6月25日)令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について

(令和8年6月25日)令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について

令和8年6月25日
公正取引委員会
 

 公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(平成16年公正取引委員会告示第1号。以下「物流特殊指定」という。)を指定し、その遵守状況及び荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っている。

 令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等は以下のとおりである。

第1 荷主と物流事業者との取引に関する調査結果

1 調査の方法

 令和7年度においては、次表のとおり、荷主と物流事業者との物品の運送又は保管に係る継続的な取引を対象として、荷主及び物流事業者向けのアンケート調査を実施した。また、その結果を踏まえ、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主105名に対する立入調査を実施した

 なお、公正取引委員会は、令和8年6月17日に物流特殊指定の改正(令和9年4月1日施行)について公表したが、今回の調査は現行の物流特殊指定に基づき、運送や保管を委託する発荷主と物流事業者との取引を対象として実施したものである。

 
 【調査の概要】
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2 注意喚起文書の送付
 調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。
 注意喚起文書を送付した荷主の数について、上位の業種(注1)は、「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」、「食料品製造業」、「飲食料品卸売業」、「協同組合(注2)」であった。
 また、独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為を行為類型別にみると、「不当な給付内容の変更及びやり直し」、「代金の支払遅延」、「買いたたき」の順に多かった。
 (注1)注意喚起文書送付対象の荷主数が3位(同数の業種を含む。)までの業種
 (注2)主に農産物及び水産物の販売事業等を営む協同組合

(1)注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳

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(注)業種名は、日本標準産業分類(令和5年7月告示 総務省)による。割合は、小数点以下第2位を四捨五入して
   いるため、大分類ベースの割合とその内訳の和は必ずしも一致しない。


(2)独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為の行為類型別内訳

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(注1)複数の行為類型で注意喚起文書の送付を受けた荷主が存在するため、合計の件数は前記(1)の荷主数779名とは
   一致しない。
(注2)同一回答者が、荷待ちとともに、荷待ち以外の不当な給付内容(積載数量、発着地、集貨日等)の変更及びやり
   直しに該当している場合がある。


3 独占禁止法上の問題につながるおそれのある主な事例

 主な事例は以下のとおり(括弧内は荷主の業種)。


(1)不当な給付内容の変更及びやり直し 

・荷主Aは、自社工場で荷物を引き渡す際に、製造工程の遅れにより、物流事業者との間で取り決めていた時刻までに出荷の準備が間に合わず、数時間の荷待ちをさせたものの、荷待ちによって物流事業者に生じる追加費用の算定方法をあらかじめ定めておらず、また、物流事業者からも追加費用を請求されなかったため、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(木材・木製品製造業)

・荷主Bは、繁忙期に自社倉庫で荷物を引き渡す際に、物流事業者との間で取り決めていた時刻までに出荷の準備が間に合わず、荷待ちをさせたものの、荷待ちにより生じる追加費用の算定方法をあらかじめ定めておらず、物流事業者からも追加費用を請求されなかったため、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(食料品製造業)

・荷主Cは、自社倉庫から出荷する商品を引き渡す際に、荷主の事務手続の遅れにより、物流事業者のトラックが到着してから出荷日の変更や取消しを行ったが、物流事業者からの請求が無かったことから、出荷日の変更等により物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(飲食料品卸売業)

・荷主Dは、出荷する荷物を引き渡す際に、荷待ちが発生したかどうかを確認せず、物流事業者からの申出が無かったこともあり、実際には物流事業者との間で取り決めていた時刻に対して出荷が遅れ、荷待ちが発生していたにもかかわらず、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(窯業・土石製品製造業)

・荷主Eは、出荷する荷物を引き渡す際に、積込みバースの混雑により、物流事業者との間で取り決めていた集荷時刻に対して最大で2時間程度の荷待ちをさせることがあったが、これまでの慣習から荷待ちによって物流事業者に生じる費用も運賃に含まれていると考えていたため、あらかじめ物流事業者との間で、荷待ちが生じた場合の追加料金について定めておらず、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(家具・装備品製造業)

・荷主Fは、天候を理由に、物流事業者に委託した工事現場への資材の納品に係る運送業務を納品日当日に中止したが、物流事業者があらかじめ手配していた人員や車両に係る費用の補償を一切行わなかった。(石油製品・石炭製品製造業)


(2)代金の支払遅延  

・荷主Gは、物流事業者に支払う運賃について、自社の都合により、あらかじめ定めていた支払期日に支払わず、数か月に分けて支払った。(金属製品製造業)

・荷主Hは、物流事業者に支払う運賃について、自社の営業所から本社事務センターへの手続が漏れていたことを理由に、あらかじめ定めていた支払期日を過ぎて支払った。(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)

・荷主Iは、物流事業者に支払う運賃について、年末年始などの長期休業といった自社の都合を理由に、あらかじめ定めた支払期日を過ぎて支払った。(窯業・土石製品製造業)


(3)買いたたき  

・荷主Jは、労務費等のコスト上昇局面にあることを認識していたことから、物流事業者から運賃引上げの要請があれば協議に応じるつもりであったが、要請が無かったため、協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた。(プラスチック製品製造業)

・荷主Kは、前年度に物流事業者の要請に応じて運賃の引上げを行い、その後も労務費等のコスト上昇局面にあることを認識しながら、直近の1年間において当該物流事業者からの運賃の引上げ要請が無かったため、協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた。(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)


(4)不当な経済上の利益の提供要請  

・荷主Lは、物流事業者に対し、運賃に荷積み作業に係る対価が含まれていることを明示していないものの、運賃には荷積み作業に係る対価も含まれていると考え、実際に物流事業者が行った荷積み作業に対する費用を支払っていなかった。(金属製品製造業)

・荷主Mは、物流事業者に対し、海外から調達した商品の自社の事業拠点までの運送業務を委託しているところ、当該運送業務に附帯する輸入通関業務について、税関への関税・消費税の納付を物流事業者に立て替えさせていた。(繊維工業)


(5)代金の減額  

・荷主Nは、物流事業者に対し、安全協力費用という名目で毎月の運賃から一定率を減額して支払った。(総合工事業)

・荷主Oは、物流事業者に対し、委託した運送業務に特段の問題がなかったのに、あらかじめ合意した運賃から数%割り引いた金額の請求書を発行させ、減額した金額のみを支払った。(生産用機械器具製造業)


(6)割引困難な手形の交付  

・荷主Pは、物流事業者に対し、物流事業者が使用する車両について、自社が取り扱うリースを利用させた。(機械器具卸売業)

・荷主Qは、運賃の支払に当たり、物流事業者に対し、物流事業者が希望していないにもかかわらず、自社の子会社が提供するファクタリングサービスを利用するよう求めた。(窯業・土石製品製造業)


4 荷主による取組

 今回の調査を通じて、荷主による独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行わないための積極的な取組を確認できた。その一部については以下のとおり(括弧内は荷主の業種)。


(1)不当な給付内容の変更及びやり直し(荷待ち) 

・荷主Rは、物流事業者に対し、自社拠点からの出荷が大幅に遅れる場合、事前にその旨を連絡して集荷に来る時間を指定し直した上で、集荷時間の変更に伴い物流事業者に生じた人件費等の費用を支払っている。(飲食料品卸売業)

・荷主Sは、数年前から、物流事業者に対し、運送の前日に緻密な配車表を作成して提示し、当該配車計画で問題がないかを確認してから翌日の配車を確定することとしており、事後の検証を繰り返して配車計画の精度を高めてきたことで、現在では、荷造りの遅れや出荷場所の混雑といった荷主Sに起因する事由による荷待ちの発生をほとんど無くした。(非鉄金属製造業)

・荷主Tは、物流事業者との間で、事前に電話や電子メールで集荷に来る時間を調整し、工場で製品を引き渡す際に荷待ちが生じないよう、出荷準備を整えることとしており、また、引渡しが遅れそうな場合には、必ず事前に集荷時間を連絡し、かつ、それに伴う追加費用の全額を支払うようにしている。(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)

・荷主Uは、物流事業者の荷待ちが生じないように取り組んでいるものの、例年、繁忙期には荷待ちが生じてしまうため、荷待ちにより追加費用が生じた場合には、物流事業者の請求に基づきその全額を負担することとしている。また、日頃から物流事業者に対し、追加費用が生じた場合には必ず荷主Uに請求するよう周知している。(食料品製造業)


(2)買いたたき  

・荷主Vは、物流事業者との間で、1年に2回程度、運賃に係る定期的な協議の場を設けている。また、当該協議の場以外に、物流事業者からコスト上昇を理由とした運賃の引上げ要請があった場合には、都度、協議に応じている。(電子部品・デバイス・電子回路製造業)

・荷主Wは、労務費転嫁指針(注)の考え方に基づき、物流事業者に対し、積極的に価格協議の呼び掛けを行い、物流事業者から協議を持ちかけられた際には応じることとしている。(化学工業)

  (注)「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日策定、令和8年1月1日改正、内閣官房・公正取引委員会)

・荷主Xは、少なくとも年1回、物流事業者と運賃交渉を実施しており、運賃の引上げを求める物流事業者と協議を行うだけでなく、運賃の引上げを求めない物流事業者に対しても、荷主Xから「この価格で大丈夫か」などと声をかけて運賃の引上げの必要性の有無を確認している。(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)


第2 今後の取組

 公正取引委員会は、今回の調査結果について、関係省庁及び関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組を進めていく。

 審査局に設置している「優越的地位濫用事件タスクフォース」においては、前記第1の調査で物流事業者から寄せられた荷主の行為に関する情報も活用して、荷主と物流事業者との取引に関して独占禁止法の優越的地位の濫用事案に接した場合には、事件審査を行って厳正に対処する。

 さらに、下請法の改正により令和8年1月1日に施行された中小受託取引適正化法」(注1) (通称:取適法)では新たに「特定運送委託」が適用対象取引に追加されたほか、事業を所管する省庁に指導・助言の権限が付与されており、公正取引委員会、中小企業庁及び事業を所管する省庁が連携しながら法執行を行う執行連携に取り組んでいる。その一環として、公正取引委員会、中小企業庁及び国土交通省は、物流業界の取引適正化を阻害する行為に対して取適法・貨物自動車運送事業法を活用してシームレスに対応するために、3省庁で執行情報の共有を行う連絡会議を定期的に開催しており、今後も一層の執行連携に取り組んでいくこととする。

 加えて、令和9年4月1日からは、改正後の物流特殊指定(注2)の施行により、着荷主が物流事業者を通じて発荷主に契約外の荷待ち等を行わせる行為が新たに規制対象となる(詳細は公正取引委員会ウェブサイト参照)。

 このような、物流分野におけるサプライチェーン全体の更なる取引適正化を進めるための制度改正を踏まえ、公正取引委員会は、今後も、荷主と物流事業者との取引に関する実態把握に努めるとともに、独占禁止法上の優越的地位の濫用や取適法の禁止行為に当たり得る事案に接した場合には、厳正かつ機動的に対処していく。

(注1)「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号)

(注2)令和8年6月17日公表


関連ファイル

(印刷用)(令和8年6月25日)令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等についてpdfダウンロード(304 KB)

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 

 経済取引局取引部企業取引課優越的地位濫用未然防止対策調査室

  電話 03-3581-3378(直通)

ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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