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(平成23年10月19日)食料品製造業者と卸売業者との取引に関する実態調査について

(平成23年10月19日)食料品製造業者と卸売業者との取引に関する実態調査について

平成23年10月19日
公正取引委員会

1 調査の趣旨

 公正取引委員会は,大規模小売業者による優越的地位の濫用行為に関して積極的かつ厳正な法執行を行うとともに,実態調査を実施するなどしてその未然防止に努めている。しかし,優越的地位の濫用として問題となり得る行為は,卸売業者が取引先納入業者である製造業者に対して行っている事例もみられるところであり,また,こうした行為は大規模小売業者の卸売業者に対する行為に起因している可能性もある。
 このため,公正取引委員会は,食料品の取引において優越的地位の濫用として問題となり得る事例が見受けられることなどを踏まえ,今般,食料品卸売業者(以下「卸売業者」という。)と大規模小売業者との取引にも着目しつつ,食料品製造業者(以下「メーカー」という。)と卸売業者との取引実態を把握するため,調査を実施した。

2 実態調査報告書のポイント

優越的地位の濫用につながり得る行為

  •  メーカーに対する調査結果によると,「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(以下「優越ガイドライン」という。)で例示する8つの行為類型(後記〔参考〕の2参照)について,卸売業者から優越的地位の濫用につながり得る行為を受けていたと考えられるメーカーの存在がうかがわれた。
  •  卸売業者に対する調査結果からも同様に,8つの行為類型について優越的地位の濫用になり得る行為を行っている卸売業者の存在がうかがわれた。

上記の行為の背景

  •  メーカー及び卸売業者に対する調査結果から,卸売業者によるメーカーに対する優越的地位の濫用につながり得る行為の原因としては,卸売業者が自己の利益確保等のために行っているもののほか,卸売業者が取引先小売業者から要請等を受けてメーカーに不当な要請等を行っている場合があることが明らかになった。
  •  卸売業者が取引先小売業者から要請等を受けて食料品製造業者に不当な要請等を行っている場合があり,大規模小売業者が問題行為のいわば発生源となっている構造の存在がうかがわれた。

3 公正取引委員会の対応

(1) 卸売業者及び大規模小売業者を対象とする業種別講習会等を実施し,メーカーと卸売業者の取引及び卸売業者と大規模小売業者の取引の公正化を推進し,違反行為の未然防止に努める。
(2) メーカーから小売業者までの一連の取引において,違反行為が行われることのないようにするため,関係事業者団体に対して,本調査結果を報告するとともに,改めて優越ガイドラインの内容を傘下会員に周知徹底するなど,業界における取引の公正化に向けた自主的な取組を要請する。
(3) 違反行為の未然防止を目的とする前記[1]及び[2]の普及啓発活動を推進するとともに,引き続き業界の取引実態を注視し,独占禁止法に違反する疑いのある行為が認められる場合には,厳正に対処する。

〔参考〕調査方法・内容

1 調査方法

 メーカー(資本金1000万円以上)10,752社及び卸売業者(資本金1億円超)495社に対して書面調査を行うとともに書面調査に回答したメーカーのうち20社に対してヒアリングを実施した。


発送数 回答数 回答率
メーカー 10,752社 3,270社 30.4%
卸売業者 495社 217社 43.8%

2 主な調査内容

 「優越ガイドライン」において,優越的地位の濫用となる行為類型として例示されている各行為(「購入・利用強制」,「協賛金等の負担の要請」,「従業員等の派遣の要請」,「受領拒否」,「返品」,「支払遅延」,「減額」及び「取引の対価の一方的決定」)に焦点を当てて調査を行った。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課
電話 03-3581-3373(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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