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(平成27年4月15日)東京湾水先区水先人会に対する排除措置命令について

(平成27年4月15日)東京湾水先区水先人会に対する排除措置命令について

平成27年4月15日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,東京湾水先区水先人会(以下「東京湾水先人会」という。)に対し,独占禁止法の規定に基づいて審査を行ってきたところ,次のとおり,同法第8条第4号(事業者団体による構成事業者の機能又は活動の不当な制限)(注1)に該当し,同法第8条(注2)の規定に違反する行為を行っているとして,本日,同法第8条の2第1項の規定に基づき,排除措置命令(注3)を行った(別添排除措置命令書参照)。
(注1)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第51号)の施行日である平成21年7月10日前においては,同法による改正前の独占禁止法第8条第1項第4号。
(注2)私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第51号)の施行日である平成21年7月10日前においては,同法による改正前の独占禁止法第8条第1項。
(注3)本件の排除措置命令に係る手続については,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第100号)附則第2条の規定によりなお従前の例による。

1 違反行為者

名称 東京湾水先区水先人会
所在地 横浜市中区山下町1番2
代表者 会長 石橋 武
会員 東京湾水先区(注4)の免許を受けている水先人(注5)

(注4)「東京湾水先区」とは,水先法施行令別表第一において東京湾水先区とされる区域をいう。
(注5)「水先人」とは,水先法第2条第2項に規定される「一定の水先区について水先人の免許を受けた者」をいう。

2 違反行為の概要

(1)ア 東京湾水先人会は,平成20年3月26日に開催した総会において,会員が当直表(注6)上の休暇中でないこと,1日ごとに水先(注7)に係る指名(注8)を受け付ける数について同会が定める上限を超えないこと等の水先に係る指名を受け付ける条件を,設立に伴い定めた引受事務要領(注10)に加えることを決定し,同年4月1日から当該引受事務要領を適用することにより,水先の利用者が,水先に係る指名により水先を利用することを困難にしている。
イ 東京湾水先人会は,平成21年7月7日に開催した常勤役員会(注11)において,グループ指名(注12)については同会が指定した会員から成るグループに属していることを条件とするものを受け付ける一方,個人指名(注13)については受け付けないことを決定し,その旨を,同月8日以降,水先の利用者に伝達した。東京湾水先人会は,同月15日頃以降の水先について,個人指名を受け付けていない。
ウ 東京湾水先人会は,遅くとも平成22年8月頃までに,会員のほとんどを単一のグループに属するよう指定し,それ以降,グループ指名については当該グループに属していることを条件とするもののみを受け付けて輪番制(注14)により配乗している。
(2) 東京湾水先人会は,水先をする船舶によって水先料(注15)が異なるため,輪番制による配乗の結果,会員間で収入の格差が生じることのないよう,遅くとも平成20年3月11日までに開催した常勤役員会において,各会員に代わって水先の利用者から収受した水先料をプールし,頭割りを基本とする計算方法により各会員に配分すること(以下「水先料の調整配分」という。)を決定し,平成20年4月頃以降,当該決定に基づき,会員を構成員とする複数の組合を通じて水先料の調整配分を実施している。
(3) 前記(1)及び(2)によれば,東京湾水先人会は,各会員が自らの判断により水先の利用者と契約して水先を引き受けることを制限し,水先料の調整配分を行うことにより,構成事業者の機能又は活動を不当に制限している。
(注6)「当直表」とは,東京湾水先人会が,会員の就業時間帯及び場所を定めた表をいう。
(注7)「水先」とは,水先法第2条第1項に規定される「水先区において,船舶に乗り込み当該船舶を導くこと」をいう。
(注8)「水先に係る指名」とは,水先の利用者(注9)が,水先を求めるに当たって,水先人について一定の条件を付すことをいう。
(注9)「水先の利用者」とは,船舶の運行会社,その代理店等,東京湾水先区において水先を利用する者をいう。
(注10)「引受事務要領」とは,東京湾水先人会が,会則の規定に基づき定めている,会員のする水先の引受けに関する事務を統合して行うに当たっての事務要領をいう。
(注11)「常勤役員会」とは,総会及び理事会の決議の対象としていない会務の執行に関する事項について決定していた,会長,副会長等で構成する会合をいう。
(注12)「グループ指名」とは,水先に係る指名のうち,当該指名を行う水先の利用者と事前に契約を締結した複数の水先人から成るグループに属していることを条件とするものをいう。
(注13)「個人指名」とは,水先に係る指名のうち,特定の水先人を指定するものをいう。
(注14)「輪番制」とは,東京湾水先人会が,当直表を作成し,水先の利用者から求めがあった水先に対し,当該当直表に基づき,当該水先が行われる時間帯及び場所で就業する会員を当該水先を行う水先人として選任する方法をいう。
(注15)「水先料」とは,水先人が水先の対価として,水先法第46条第1項において,船舶所有者又は船長に対して請求することができることとされているものをいう。

3 排除措置命令の概要

(1) 東京湾水先人会は,各会員が自らの判断により水先の利用者と契約して水先を引き受けることを制限している行為及び水先料の調整配分を取りやめなければならない。
(2) 東京湾水先人会は,前記(1)の行為を取りやめる旨及び今後,前記(1)の行為と同様の行為を行わない旨を,理事会において決議しなければならない。
(3) 東京湾水先人会は,前記(1)の行為を取りやめるに当たり設定する水先に係る指名を受け付ける条件について,あらかじめ,公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(4) 東京湾水先人会は,前記(1)及び(2)に基づいて採った措置を会員に通知し,かつ,水先の利用者に周知しなければならない。
(5) 東京湾水先人会は,今後,前記(1)の行為と同様の行為を行ってはならない。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第一審査
電話 03-3581-4960(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp

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