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(平成27年12月9日)独占禁止懇話会第202回会合議事概要

(平成27年12月9日)独占禁止懇話会第202回会合議事概要

平成27年12月9日
公正取引委員会

1 日時

 平成27年12月1日(火曜)10時00分から11時55分

2 場所

 公正取引委員会大会議室

3 議題

  • 東アジアにおける競争政策の進展と公正取引委員会の役割について
  • 「テレビ番組制作の取引に関する実態調査報告書」について
  • 競争政策研究センター(CPRC)の活動状況について

4 議事概要

 各議題について,事務総局から説明を行い,会員から大要以下のような意見・質問が出された。

(1)東アジアにおける競争政策の進展と公正取引委員会の役割について

 会員 政府のTPP関連政策大綱には,TPPを契機に海外展開しようとする中小企業を支援することなどが示されている。競争政策上のルールが国際的に整備されることは中小企業にとってもメリットになると考えているが,中小企業がTPP域内で事業活動を展開する上で,競争政策の観点から留意すべき点があればお聞きしたい。
 事務総局 TPP協定の規定上競争政策に関係する部分は主に競争政策章と国有企業及び指定独占企業章であろう。競争政策章については,日本国内で独占禁止法が公正かつ適正に執行されているのと同じような条件で東アジア諸国やTPP域内においても競争法が公正かつ適正に執行される環境が整備されること,また,国有企業及び指定独占企業章については,発展途上国などで国有企業の一定の行為が日本企業の進出にとって何らかの悪影響を与えることがないような環境が整備されることがそれぞれ期待され,日本の中小企業を含む事業者が日本国外で事業展開しやすくなると考えている。

 会員 TPP協定が大筋合意されたことに伴い,競争政策章の条項に対応するため,今後,新しい仕組みを導入していく場合に検討すべき課題等は何か。
 事務総局 TPP協定の競争政策章には,競争法の違反の疑いについて競争当局と事業者との合意により自主的に解決する制度の導入に関する規定が含まれている。当該規定については,独占禁止法上担保されていないと考えているところ,現在,当該内容の規定を担保するためにいかなる制度的対応が必要であるか検討している。
 新しい仕組みのイメージとしては,公正取引委員会が調査開始後,違反被疑事業者に対し,違反する疑いのある旨を伝達し,これに対して,当該疑いを解消するために違反被疑事業者が自ら採るべき措置を自主的に申し出,違反被疑事業者が申し出た措置の内容が適切なものであると公正取引委員会が認定し,当該措置が実施された場合,公正取引委員会は排除措置命令又は課徴金納付命令を行わない,といったプロセスが考えられる。引き続き検討を進めていきたい。

 会員 最近の企業結合は複数の国にまたがることが多く,複数の国の市場に影響を及ぼすこととなる事例が多いが,企業結合の審査基準を国際的に統一していくような動きはあるのか。また,届出要件についてはどうか。
 事務総局 東アジア競争政策トップ会合・カンファレンスにおいても企業結合に関する議論が行われているが,それ以外にも例えば,約120の国・地域から約130の競争当局が参加しているICN(国際競争ネットワーク)の作業部会の1つである企業結合ワークショップにおいては,どの国・地域においても適用し得るベストプラクティスを作成している。また,このベストプラクティスを踏まえ,発展途上国に技術支援を行っている。

(2)「テレビ番組制作の取引に関する実態調査報告書」について

 会員 一般的には,テレビ番組制作後に二次利用などコンテンツのマルチユースが行われ,コンテンツ業界全体が活性化することが期待されるが,今回の実態調査報告書から,テレビ番組制作においては著作権に関する取引条件について事前に契約内容が明確に定められていないことが多いことが判明し,マルチユースが進まない一因ではないかと興味深く拝聴した。

 会員 テレビ局等を対象に講習会を実施しているとのことだが,テレビ局等のみならず,その委託先であるテレビ番組制作会社に対しても下請法の内容を知ってもらう取組を行うことが必要ではないか。また,放送事業者に対する下請法の指導・勧告状況について教えてほしい。
 事務総局 今回は,テレビ局等の関係事業者団体の協力を得て,テレビ局等に対象を絞って講習会を実施した。他方,数年前から業種別講習会の一環としてテレビ番組制作会社を対象とした講習を行っており,今後も同様の講習会を実施する際にはテレビ番組制作会社に広く参加を募っていきたい。また,放送事業者に対する下請法の指導・勧告等については,発注書面に係る軽微な違反に対するものも含め年間30件~40件程度の指導を行っている。

 会員 実態調査報告書6頁に,テレビ番組制作に関する取引形態が4つ(完パケ,一部完パケ,制作協力及び人材派遣)記載されているが,最近の傾向を教えてほしい。また,テレビ番組制作に関しては,最近,下請法の勧告や独占禁止法の排除措置命令が行われていないが,もっと法的措置を行うべきではないか。
 事務総局 調査におけるヒアリングの過程で,最近の取引形態としては,番組全体の制作を委託する完パケから,制作協力や人材派遣にシフトする傾向がみられることは聞いている。法的措置については,どこまで事実関係を把握できるか次第ともいえるが,今回の実態調査は違反行為の発見を目的としていないものの,テレビ番組制作会社から調査の要望があったもの等については,審査局に情報を提供している。

 会員 今回の調査は,声優といった個人事業者などの下請事業者の下請事業者を対象としていないとのことだが,今後,そのような事業者も調査対象としていただきたい。
 事務総局 下請取引に該当するものについては,公正取引委員会は毎年,書面調査を行っており,今年度も約25万通の調査票を発送した。問題のある取引については,厳正に対処してまいりたい。

(3)競争政策研究センター(CPRC)の活動状況について

 会員 共同研究の成果(分析結果等)が公正取引委員会の実務で活用された事例はあるのか。
 事務総局 全ての共同研究の成果が実務で活用されているわけではないが,例えば,「EUのリニエンシー制度の研究」や「EU国家補助規制の考え方の我が国への応用について」などは,公正取引委員会の実務に活かされていると考えられる。今後も公正取引委員会の実務で活用されるよう,共同研究のテーマの選定などを工夫していきたい。

 会員 法学者と経済学者が共同で研究を行う取組は少なく,CPRCの今後の活動に期待している。

 会員 先ほど,東アジア地域における国際協力の説明もあったが,CPRCと他のアジアの国の競争当局の研究機関との間の協力関係はあるのか。
 事務総局 現時点で,他のアジアの国の競争当局にCPRCのような研究機関があることは把握していないが,可能ならば積極的に交流を図っていきたい。
  なお,海外の競争当局との交流という点では,二国間意見交換の場で,あるいは,OECDの会合の場などで経済分析について議論するなど,アドホックな形で意見交換を行っている。

 会員 共同研究報告書については,個々の執筆者の貢献度や関与の度合いが分かるような形で公表すると良いのではないか。
 事務総局 御指摘のとおり,現状の共同研究報告書では,どの執筆者がどのような役割を担ったのか外部から把握することができない。今後,工夫していきたい。

 会員 学術的な研究は国際性が高く,相互に評価することが特徴であり,研究者に対して幅広く発信していくことが大事である。他方,公正取引委員会の職員のスキルアップにもつながるだろうから,今後も研究活動を続けてほしい。

 会員 遠方からでも都心で開催される公開セミナーや国際シンポジウムにアクセスできるよう,テレビ電話システムなどを活用することは可能か。
 事務総局 現時点でそのような取組は行われていないが,今後,予算制約等を考慮しつつ,どのようなことができるのか検討していきたい。

 以上

 (文責:公正取引委員会事務総局 速報のため事後修正の可能性あり。)

関連ファイル

参考

 独占禁止懇話会の最近の開催状況・配布資料等については下記から御覧ください。

独占禁止懇話会の最近の開催状況

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局総務課
電話 03-3581-5476(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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