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(平成27年6月3日)平成25年10月から平成27年3月までにおける中部地区の消費税転嫁対策の取組について

(平成27年6月3日)平成25年10月から平成27年3月までにおける中部地区の消費税転嫁対策の取組について

平成27年6月3日
公正取引委員会事務総局
中部事務所

はじめに

 公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げを踏まえ,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 中部事務所においても,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,平成25年10月1日に「消費税転嫁対策調査室」を設置し,中部事務所管内(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,平成25年10月から平成27年3月までの管内における取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 調査及び処理の概況

 管内において調査に着手した転嫁拒否行為に係る事案は330件であり,122件について立入検査を実施した。調査の結果,重大な転嫁拒否行為が認められた1件について勧告を行っているほか,147件について指導を行っている。勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2のとおりである。

表1:転嫁拒否行為に対する対応状況(注1)
  調査着手(注2) 立入検査 処 理
勧告 指導
全国 2,567 747 19 1,040
≪4≫ ≪80≫
中部地区 330 122 1 147
≪0≫ ≪7≫

(注1)平成27年3月までの累計(平成25年10月~平成27年3月)。以下表2,表3及び表4において同じ。≪ ≫内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数である。このほか,中部地区においては,平成27年4月2日に2件(アサヒグローバル株式会社に対する件及びアサヒグローバル三重株式会社に対する件)について勧告を行っている(概要は別紙1参照)。
(注2)調査着手件数には,中小企業庁長官からの措置請求に基づくものを含み,全国には3件,中部地区には1件が含まれている。

2 業種別の処理状況

 勧告及び指導の件数について業種別で分類すると,管内においては製造業が67件(45.3%)と最も多く,以下,建設業及び小売業が17件(11.5%),運輸業(道路貨物運送業等)が15件(10.1%)と続いている。

表2:勧告及び指導件数の内訳(業種別)(注1)
業種 全国 中部地区
勧告 指導 合計(割合) 勧告 指導 合計(割合)
建設業 0 73 73
(6.9%)
0 17 17
(11.5%)
製造業 0 337 337
(31.8%)
0 67 67
(45.3%)
情報通信業 1 72 73
(6.9%)
0 3 3
(2.0%)
運輸業(道路貨物運送業等) 0 89 89
(8.4%)
0 15 15
(10.1%)
卸売業 1 88 89
(8.4%)
0 4 4
(2.7%)
小売業 4 134 138
(13.0%)
0 17 17
(11.5%)
不動産業 2 24 26
(2.5%)
0 3 3
(2.0%)
技術サービス業(広告・建築設計業等) 0 64 64
(6.0%)
0 4 4
(2.7%)
医療福祉 1 7 8
(0.8%)
0 4 4
(2.7%)
事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等) 0 19 19
(1.8%)
0 2 2
(1.4%)
その他(注2) 10 133 143
(13.5%)
1 11 12
(8.1%)
合 計 19 1,040 1,059 1 147 148

(注1)複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主な業種を1件として計上している。
(注2)「その他」は,旅行業,自動車整備業・機械等修理業,労働者派遣業等である。

3 行為類型別の処理状況

 勧告及び指導について行為類型別で分類すると,管内においては買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が124件(82.1%)となっており,延べ合計151件のうち大半を占めている。

表3:勧告及び指導件数の内訳(行為類型別)
行為類型 全国 中部地区
勧告 指導 合計(割合) 勧告 指導 合計(割合)
減額 3 33 36
(3.3%)
1 2 3
(2.0%)
買いたたき 19 748 767
(70.5%)
1 123 124
(82.1%)
役務利用・利益提供の要請 0 46 46
(4.2%)
0 4 4
(2.6%)
本体価格での交渉の拒否 0 239 239
(22.0%)
0 20 20
(13.2%)
合 計(注) 22 1,066 1,088 2 149 151

(注)事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,表1及び表2に記載の件数とは一致しない。

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 管内においては,平成27年3月までに,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,特定事業者26名から,特定供給事業者299名に対し,総額890万円の原状回復が行われた。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を平成25年10月1日に中部事務所に設置し,当該相談窓口において165件の相談に対応した。

表4:転嫁拒否行為等に関する相談件数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 3,179 1,420 4,599
中部地区 87 78 165

(注)転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内において268名の事業者及び250の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した。

表5:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数
  事業者 事業者団体
全国 中部地区 全国 中部地区
平成25年度 1,326 142 401 4
平成26年度 8,744 126 1,263 246
合計 10,070 268 1,664 250

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内において移動相談会を6回実施した。

表6:移動相談会の実施回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 75 47 122
中部地区 3 3 6

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を管内の全県において実施した(6か所合計6回)。

表7:公正取引委員会主催説明会の実施回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 40 30 70
中部地区 4 2 6

2 講師派遣

 管内において,商工会議所,商工会及び事業者団体が開催する説明会等に,公正取引委員会事務総局の職員を講師として57回派遣した。

表8:講師の派遣回数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 384 59 443
中部地区 52 5 57

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 平成25年10月1日から消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出の受付を開始し,管内において,転嫁カルテル13件,表示カルテル9件の合計22件の届出を受け付けた。
 また,届出書の記載方法等に関して,管内において18件の相談に対応した。

表9:転嫁カルテル及び表示カルテルの届出件数
  転嫁カルテル 表示カルテル 合計
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
平成25年度 152 7 136 8 288 15
平成26年度 13 6 3 1 16 7
合計 165 13 139 9 304 22
表10:届出に関する相談件数
  平成25年度 平成26年度 合計
全国 1,235 50 1,285
中部地区 12 6 18

別紙1

勧告事件(1件)

1 株式会社中日本吉野家に対する件(平成26年9月24日)

特定事業者

株式会社中日本吉野家(名古屋市)

事業内容

飲食店の運営

取引の内容

店舗等の賃貸借

違反行為の概要

【減額(第3条第1号前段)及び買いたたき(第3条第1号後段)】
 飲食店を営む株式会社中日本吉野家は,自社が運営する店舗の賃貸人の一部(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分以後の賃料について,賃料の消費税率の引上げ分を減額し,又は賃料の消費税率の引上げ分を上乗せせずに同年3月分と同額に据え置いた。

備考

中小企業庁長官からの措置請求案件
(参考)株式会社吉野家資産管理サービス(東京都北区)及び株式会社北日本吉野家(仙台市)についても同日勧告

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/sep/140924kankoku.html

参考 平成27年4月1日以降の勧告事件(2件)

1 アサヒグローバル株式会社に対する件(平成27年4月2日)

特定事業者

アサヒグローバル株式会社(三重県四日市市)

事業内容

注文住宅,建売住宅等の設計,施工及び販売

取引の内容

住宅の建築工事に伴う大工工事等

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
 アサヒグローバル株式会社は,平成25年10月1日から平成26年3月31日までの期間に請負契約を締結し,平成26年4月1日以後に引渡しを受けた大工工事等の代金について,平成26年4月1日に引き上げられた消費税率が適用されるところ,継続して大工工事等を請け負わせている事業者(特定供給事業者)に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに契約締結時に定めた額のままで支払った。

2 アサヒグローバル三重株式会社に対する件(平成27年4月2日)

特定事業者

アサヒグローバル三重株式会社(三重県四日市市)

事業内容

注文住宅の設計,施工及び販売

取引の内容

住宅の建築工事に伴う大工工事等

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
 アサヒグローバル三重株式会社は,平成25年10月1日から平成26年3月31日までの期間に請負契約を締結し,平成26年4月1日以後に引渡しを受けた大工工事等の代金について,平成26年4月1日に引き上げられた消費税率が適用されるところ,継続して大工工事等を請け負わせている事業者(特定供給事業者)に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに契約締結時に定めた額のままで支払った。

参考1及び2の事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h27/apr/150402.html

別紙2

主な指導事例

1 減額(第3条第1号前段)
業種
概 要

葬祭業

 A社は,葬儀参列者の送迎等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けた当該役務の委託代金について,消費税率の引上げ分相当額を差し引いて支払っていた。

2 買いたたき(第3条第1号後段)
業種
概 要

建設業

 B社は,手すり等の設置工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

製造業

 C社は,自動車用部品の加工を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

製造業

 D社は,ブリキ缶の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの納入代金を据え置いていた。

製造業

 E社は,消防設備機器の製造委託をしている事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に納品されるものについて,発注の際に消費税率5パーセントで計算した金額を記載した注文書を発行していた。

情報通信業

 F社は,顧客向けのシステム提案書の作成業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

運輸業

 G社は,商品の運送業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けるものについて,消費税率の引上げ分を上乗せした額よりも低い運送代金を定めていた。

小売業

 大規模小売事業者であるH社は,自社で販売する衣料品等のデザインの作成業務及びイベント実施に係る業務を委託する事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

小売業

 大規模小売事業者であるI社は,自社で販売する衣料品の裾直し等を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

不動産業

 J社は,自社が経営する有料駐車場施設の賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。

広告業

 K社は,求人誌に掲載する広告の原稿作成を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

医療業

 地方公共団体が設置するL病院は,注射針やガーゼなどの納入業者(特定供給事業者)に対し,消費税率の引上げに先行して対応するため,平成25年12月1日以後に供給を受ける商品について一律3パーセント以上の納入価格の引下げを要請していた。

学校教育業

 学校法人Mは,英会話指導等を委託している者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

3 利益提供の要請(第3条第2号)
業種
概 要

小売業

 大規模小売事業者であるN社は,自社で販売する衣料品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率の引上げに伴い,自社の費用負担を明確にすることなく,値札の様式を消費税率の引上げに対応したものに変更し,当該値札を貼付して納入すること及び特定供給事業者の値札印字用ソフトウェアを消費税率の引上げに伴う新値札の発行に対応したものに変更することを要請した。

4 本体価格での交渉の拒否(第3条第3号)
業種
概 要

建設業

 O社は,顧客から受注した建築工事の一部を特定供給事業者に発注するに当たり,当該事業者との価格交渉において,平成26年4月1日以後も税込価格のみを用いることとしていた。

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局中部事務所
 消費税転嫁対策調査室 電話052-961-9493(直通)(第1関係)
 経済取引指導官    電話052-961-9422(直通)(第2及び第3関係)
ホ-ムペ-ジ http://www.jftc.go.jp/regional_office/chubu/

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