平成28年9月5日
公正取引委員会
第1 調査・検討の趣旨
1 経緯
現在,我が国では,少子高齢化が進行し,社会保障制度の改革が最重要課題となっている。とりわけ,介護については,高齢化が進む中で,仕事との両立をいかに図っていくかが喫緊の課題となっている。
介護分野については,平成26年に介護保険法が改正され,「地域包括ケアシステムの構築」に向けた改革が行われたほか,平成27年度にスタートした第6期介護保険事業計画では,平成37(2025)年を見据えた内容の計画が策定されるなど,平成37年を当面の目標に,地域医療介護提供体制の整備に関する種々の取組が行われてきている。
また,介護分野については,「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)において,「介護サービスが利用できずやむを得ず離職する者をなくすとともに、特別養護老人ホームに入所が必要であるにもかかわらず自宅で待機している高齢者を解消することを目指し、介護ニーズに応じた機動的な介護サービス基盤を整備し、地域包括ケアを推進する」とされるなど,高齢者の利用ニーズに対応した介護サービス基盤確保への取組がなされている。加えて,「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)において,介護分野について生産性向上が求められているほか,公的保険外の介護予防や生活支援等のサービス市場を創出・育成し,高齢者の選択肢を充実させていくことが求められている。
これらを踏まえ,公正取引委員会では,事業者の公正かつ自由な競争を促進し,もって消費者の利益を確保することを目的とする競争政策の観点から,介護分野の現状について調査・検討を行い,競争政策上の考え方を整理することとした。
競争政策は,事業者の新規参入や創意工夫の発揮のための環境を整備することにより,事業者間の競争を促進し,これによって,消費者に良質な商品・サービスが提供されることを確保するとともに,消費者がそれを比較・選択することを通して,事業者に商品・サービスの質の更なる改善を促すことを目指すものである。
このような競争政策の観点から介護分野の考え方を整理することは,介護サービスの供給量の増加や質の向上が図られることにつながると考えられる。
公正取引委員会としては,前記のような競争政策の観点から介護分野について検討を行うに当たっては,[1]多様な事業者の新規参入が可能となる環境,[2]事業者が公平な条件の下で競争できる環境,[3]事業者の創意工夫が発揮され得る環境,[4]利用者の選択が適切に行われ得る環境が整っているかといった点が重要であると考えられることから,主にこれらの点について検討を行った。
2 調査・検討の対象
介護サービス事業者が提供する介護保険の給付の対象となる介護サービス(予防給付を除く。)を対象として調査・検討を行った。
なお,保険外サービスとして提供される生活支援サービスについては,いわゆる家事代行業者も同様のサービスを提供しているが,ここでは介護サービス事業者が主に利用者及びその家族に対して提供する保険外サービスを対象として調査・検討を行った。
3 調査方法
[1] 介護サービスの提供の実態等を把握するため,株式会社等,社会福祉法人,自治体に対する書面アンケート調査を実施した。
(有効回答数:株式会社等483社,社会福祉法人469法人,自治体420団体)
[2] 介護サービスに関する意識等を把握するため,利用者等に対してウェブアンケート調査を実施した。
(回答者数:居宅サービス利用者等304名,居宅扱い施設介護サービス利用者等306名,施設サービス利用者等321名)
[3] 株式会社等,社会福祉法人,自治体,学識経験者等の計42者に対して,ヒアリング調査を実施した。
[4] 有識者から介護分野の実態等に関する意見を聴取するため,全2回の意見交換会を開催した。
第2 調査報告書の概要
別紙「介護分野に関する調査報告書(概要)」参照。
関連ファイル
(印刷用)(平成28年9月5日)介護分野に関する調査報告書について(PDF:71KB)
(別紙)介護分野に関する調査報告書(概要)(PDF:371KB)
介護分野に関する調査報告書(本体)(PDF:7,629KB)
(別添1)介護分野に関する意見交換会の概要(PDF:130KB)
(別添2)アンケート調査の集計結果(PDF:3,995KB)
(参考)介護分野に関する調査報告書(調査結果等抜粋)(PDF:786KB)
問い合わせ先
問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局調整課
電話 03-3581-5483(直通)
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