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(平成30年1月12日)東日本旅客鉄道株式会社又は西日本旅客鉄道株式会社が発注する制服の販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

(平成30年1月12日)東日本旅客鉄道株式会社又は西日本旅客鉄道株式会社が発注する制服の販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について

平成30年1月12日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)又は西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR西日本」という。)(注1)が見積り合わせの方法により発注する制服の販売業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。本件は,[1]JR東日本向け接客型制服(注2),[2]JR東日本向け技術型制服及び検修型制服(注3),[3]JR東日本向け盛夏シャツ・ズボン(注4)並びに[4]JR西日本向け制服(注5)の販売業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。

(注1)平成26年3月31日以前にあってはジェイアール西日本商事株式会社(以下「ジェイアール西日本商事」という。)が発注しており,平成26年4月1日以降にあってはJR西日本の委託を受けたジェイアール西日本商事が発注している。
(注2)「JR東日本向け接客型制服」とは,JR東日本の運転士,駅員等の接客業務に従事する者が着用する制服のうち,JR東日本向け盛夏シャツ・ズボンを除くものをいう。
(注3)「JR東日本向け技術型制服」とは,JR東日本の線路上の保守点検,工事等の技術業務に従事する者が着用する制服をいう。また,「JR東日本向け検修型制服」とは,JR東日本の車両の点検修理業務に従事する者が着用する制服をいう。
(注4)「JR東日本向け盛夏シャツ・ズボン」とは,JR東日本の運転士,駅員等の接客業務に従事する者が着用する制服のうち,盛夏時に着用する男性用のシャツ及びズボンをいう。
(注5)「JR西日本向け制服」とは,JR西日本の業務に従事する者が着用する制服をいう。

1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名,各事業者の課徴金額等については別表のとおり。)

違反事業者及び排除措置命令の対象事業者

2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

(1) JR東日本発注の制服
ア JR東日本向け接客型制服
 5社(別表の番号1から5までの事業者)は,遅くとも平成24年9月5日以降,JR東日本向け接客型制服について,発注単価の低落防止等を図るため,供給すべき者(以下「供給予定者」という。)を決定し,供給予定者が供給できるように協力する旨の合意の下に
 (ア) 既存業者(見積り合わせが行われる時点で当該制服の品目をJR東日本に供給している者をいう。下記イにおいて同じ。)を供給予定者とする
 (イ)a 過去の発注実績から供給者が1者となることが見込まれる品目については,供給予定者が提示する見積価格は自ら定め,供給予定者以外の者は,供給予定者が提示する見積価格よりも高い見積価格を提示する
   b 過去の発注実績から供給者が2者となることが見込まれる品目については,供給予定者が提示する見積価格は自ら又は供給予定者間で定め,供給予定者以外の者は,供給予定者が提示する見積価格よりも高い見積価格を提示し,最も低い見積価格を提示する供給予定者が株式会社ジェイアール東日本商事(注6)(以下「ジェイアール東日本商事」という。)との価格交渉において最初に応諾する
   c 過去の発注実績から供給者が4者となることが見込まれる品目については,供給予定者間で最も低い見積価格を提示する者を定め,最も低い見積価格を提示する者以外の供給予定者は,最も低い見積価格よりも高い見積価格を提示し,最も低い見積価格を提示する供給予定者がジェイアール東日本商事との価格交渉において最初に応諾する
などにより,供給予定者を決定し,供給予定者が供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,JR東日本向け接客型制服の取引分野における競争を実質的に制限していた。

(注6)JR東日本が,制服の調達事務を委託している者。

イ JR東日本向け技術型制服及び検修型制服
 3社(別表の番号3,5及び6の事業者)は,遅くとも平成24年9月5日以降,JR東日本向け技術型制服及び検修型制服について,発注単価の低落防止等を図るため,供給予定者を決定し,供給予定者以外の者は,供給予定者が供給できるように協力する旨の合意の下に
 (ア) 既存業者を供給予定者とする
 (イ)a 過去の発注実績から供給者が1者となることが見込まれる品目については,供給予定者が提示する見積価格は自ら定め,供給予定者以外の者は,供給予定者が提示する見積価格よりも高い見積価格を提示する
   b 過去の発注実績から供給者が2者となることが見込まれる品目については,供給予定者が提示する見積価格は自ら又は供給予定者間で定め,供給予定者以外の者は,供給予定者が提示する見積価格よりも高い見積価格を提示し,最も低い見積価格を提示する供給予定者がジェイアール東日本商事との価格交渉において最初に応諾する
などにより,供給予定者を決定し,供給予定者が供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,JR東日本向け技術型制服及び検修型制服の取引分野における競争を実質的に制限していた。

ウ JR東日本向け盛夏シャツ・ズボン
 3社(別表の番号2,3及び7の事業者)は,遅くとも平成24年9月5日以降,JR東日本向け盛夏シャツ・ズボンについて,発注単価が既存の発注単価と同額又はそれ以上の額となるようにし,3社が継続して供給できるようにする旨の合意の下に
 (ア) 帝國纎維株式会社(注7)(以下「帝国繊維」という。),丸紅メイト株式会社及び東洋物産株式会社がジェイアール東日本商事に提示する見積価格等について情報交換する
 (イ) ジェイアール東日本商事とのそれぞれの価格交渉の状況を踏まえつつ,帝国繊維の価格交渉に新陽が同席して対応し,3社が供給できる額で帝国繊維が最初に応諾する
などにより,発注単価が既存の発注単価と同額又はそれ以上の額となるようにし,3社が継続して供給できるようにすることにより,公共の利益に反して,JR東日本向け盛夏シャツ・ズボンの取引分野における競争を実質的に制限していた。

(注7)帝国繊維がジェイアール東日本商事に提示する見積価格は,新陽株式会社(以下「新陽」という。)が実質的に策定し,さらに,新陽は,ジェイアール東日本商事と帝国繊維の価格交渉に同席して自らが対応することにより,発注単価の応諾に実質的に関与していた。

(2) JR西日本発注の制服
 9社(別表の番号3,5,6及び8から13までの事業者)は,遅くとも平成23年6月13日以降(伊藤忠商事株式会社にあっては平成26年4月11日以降),JR西日本向け制服について,受注価格の低落防止等を図るため,受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し,受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるよう協力する旨の合意の下に
ア(ア) 既存業者(見積り合わせが行われる時点で当該制服の品目を受注している者をいう。)を受注予定者とする
 (イ) 受注予定者が提示する見積価格(再提示する見積価格を含む。)は受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者から直接又は見積り合わせ参加者の見積価格を取りまとめていた者を通じて連絡を受けた見積価格よりも高い見積価格を提示する
イ 株式会社チクマは,株式会社ジェイアール西日本伊勢丹(以下「ジェイアール西日本伊勢丹」という。)と共に前記アの行為を実施し,かつ,ジェイアール西日本伊勢丹が提示する見積価格を調整する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,JR西日本向け制服の取引分野における競争を実質的に制限していた。

3 排除措置命令の概要

前記2の違反行為ごとに,次のとおり排除措置命令を行った。
(1) JR東日本発注の制服
ア 各取引分野における排除措置命令の対象事業者(以下「名宛人」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
 (ア) 前記2(1)ア,イ又はウの行為を取りやめていることを確認すること。
 (イ) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,JR東日本向け接客型制服若しくはJR東日本向け技術型制服及び検修型制服について,供給予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に販売活動を行うこと,若しくはJR東日本向け盛夏シャツ・ズボンについて,発注単価が既存の発注単価と同額若しくはそれ以上の額となるようにし,継続して供給できるようにする行為をせず,各社がそれぞれ自主的に販売活動を行うこと。
イ 名宛人は,それぞれ,前記アに基づいて採った措置を,自社を除く名宛人並びにJR東日本及びジェイアール東日本商事に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,JR東日本向け接客型制服若しくはJR東日本向け技術型制服及び検修型制服について,供給予定者を決定し,若しくはJR東日本向け盛夏シャツ・ズボンについて,発注単価が既存の発注単価と同額若しくはそれ以上の額となるようにし,名宛人が継続して供給できるようにする行為をしてはならない。

(2) JR西日本発注の制服
ア 名宛人は,それぞれ,次の事項を,取締役会(株式会社岩本商会にあっては株主総会)において決議しなければならない。
 (ア) 前記2(2)の行為を取りやめていることを確認すること。
 (イ) 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,JR西日本向け制服について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
イ 名宛人は,それぞれ,前記アに基づいて採った措置を,自社を除く名宛人並びにJR西日本及びジェイアール西日本商事に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
ウ 名宛人は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,JR西日本向け制服について,受注予定者を決定してはならない。

4 課徴金納付命令の概要

 課徴金納付命令の対象事業者は,平成30年8月13日までに,それぞれ別表の「課徴金額」欄記載の額(JR東日本発注の制服について総額2614万円。JR西日本発注の制服について総額1915万円。)を支払わなければならない。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第三審査
電話 03-3581-3383(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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