ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >平成30年 >7月 >

(平成30年7月26日)宮城県大崎市及び大崎市土地開発公社又は宮城県が発注する建設関連業務の入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

(平成30年7月26日)宮城県大崎市及び大崎市土地開発公社又は宮城県が発注する建設関連業務の入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について

平成30年7月26日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,大崎市等発注の特定建設関連業務(注1),北部土木事務所発注の特定建設関連業務(注2)又は栗原地域事務所発注の特定建設関連業務(注3)の入札等の参加業者に対し,本日,後記第1のとおり,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
 本件は,各特定建設関連業務の入札等の参加業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
 また,公正取引委員会は,宮城県に対し,本日,後記第2のとおり,要請を行った。

(注1)「大崎市等発注の特定建設関連業務」とは,宮城県大崎市又は大崎市土地開発公社が,指名競争入札の方法により測量業務又は土木関係建設コンサルタント業務として発注する業務(宮城県大崎市の区域に本店を置く複数の事業者が入札の参加者に含まれるものに限る。)をいう。
(注2)「北部土木事務所発注の特定建設関連業務」とは,宮城県が,北部土木事務所において,入札等(指名競争入札及び見積り合わせをいう。以下同じ。)の方法により測量業務又は建設コンサルタント業務として発注する業務(建設コンサルタント業務として発注されるもののうち,地質調査業務を含むものは除く。)のうち,大崎地域(宮城県大崎市,加美郡及び遠田郡の区域をいう。以下同じ。)を業務場所とし,測量業務又は建設コンサルタント業務のA等級業者のみを入札等の参加者とするもの(大崎地域に本店を置く複数の事業者が入札等の参加者に含まれるものに限る。)をいう。
(注3)「栗原地域事務所発注の特定建設関連業務」とは,宮城県が,北部土木事務所栗原地域事務所において,指名競争入札の方法により測量業務又は建設コンサルタント業務として発注する業務のうち,測量業務又は建設コンサルタント業務のA等級業者のみを入札の参加者とするもの(宮城県栗原市の区域に本店を置く複数の事業者が入札の参加者に含まれるものに限る。)をいう。

第1 排除措置命令及び課徴金納付命令について

1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名,各事業者の課徴金額等については各別表のとおり。)

 

違反事業者数

排除措置命令
対象事業者数

課徴金納付命令
対象事業者数

課徴金額

大崎市等発注の特定建設関連業務

13社

11社

5社

2035万円

北部土木事務所発注の特定建設関連業務

8社

7社

1社

151万円

栗原地域事務所発注の特定建設関連業務

5社

5社

1社

317万円

合計

延べ26社
(実数19社)

延べ23社
(実数17社)

延べ7社
(実数6社)

2503万円

2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)

⑴ 大崎市等発注の特定建設関連業務
 別表1記載の13社は,遅くとも平成25年7月3日以降(別表1記載の番号13の事業者にあっては,平成28年7月6日以降),大崎市等発注の特定建設関連業務について,受注価格の低落防止等を図るため
 ア(ア) 原則として,業務の内容等に応じてあらかじめ定めた区分に含めた者の中から受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
  (イ) 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
 イ 各社の役員級の者らによる会合を開催するなどして
  (ア) 業務の内容等に応じてあらかじめ定めた区分に含めた者について,区分ごとに受注予定者となる順番をあらかじめ定め,原則として当該順番に該当する者を受注予定者とする
  (イ) 前記(ア)の順番に該当する者以外の者が受注を希望する場合等においては,自社の本店等と業務場所との距離,過去に受注した業務との継続性等を勘案して,順番に該当する者と受注を希望する者らの話合いにより受注予定者を決定する
  (ウ) 受注予定者が提示する入札価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が示した入札価格以上の入札価格を提示する又は入札を辞退する
ことにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
 これにより,別表1記載の13社は,公共の利益に反して,大崎市等発注の特定建設関連業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。

⑵ 北部土木事務所発注の特定建設関連業務
 別表2記載の8社は,遅くとも平成25年7月24日以降(別表2記載の番号7の事業者にあっては,平成26年7月9日以降),北部土木事務所発注の特定建設関連業務について,受注価格の低落防止等を図るため
 ア(ア) 原則としてあらかじめ定めた順番により受注予定者を決定する
  (イ) 前記(ア)の順番に該当する者以外の者が受注を希望する場合等においては,話合いにより受注予定者を決定する
  (ウ) 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
 イ 各社の役員級の者らによる会合を開催するなどして
  (ア) 受注予定者となる順番をあらかじめ定め,原則として当該順番に該当する者を受注予定者とする
  (イ) 前記(ア)の順番に該当する者以外の者が受注を希望する場合等においては,自社の本店等と業務場所との距離,過去に受注した業務との継続性等を勘案して,順番に該当する者と受注を希望する者らの話合いにより受注予定者を決定する
  (ウ) 受注予定者が提示する入札価格又は見積価格(以下「入札価格等」という。)は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者等が示した入札価格等以上の入札価格等を提示する又は入札等を辞退する
ことにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
 これにより,別表2記載の8社は,公共の利益に反して,北部土木事務所発注の特定建設関連業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。

⑶ 栗原地域事務所発注の特定建設関連業務
 別表3記載の5社は,遅くとも平成25年7月10日以降(別表3記載の番号4の事業者にあっては,平成26年5月28日以降),栗原地域事務所発注の特定建設関連業務について,受注価格の低落防止を図るため
 ア(ア) 自社の本店等と業務場所との距離,過去に受注した業務との継続性等により受注予定者を決定する
  (イ) 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
 イ(ア) 自社の本店等と業務場所との距離,過去に受注した業務との継続性等を理由に受注を希望する者がその旨を表明して受注を希望する者以外の者から了承を得ることにより,受注予定者を決定する
  (イ) 受注予定者が提示する入札価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が連絡した入札価格以上の入札価格を提示する
ことにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
 これにより,別表3記載の5社は,公共の利益に反して,栗原地域事務所発注の特定建設関連業務の取引分野における競争を実質的に制限していた。

3 排除措置命令の概要

 前記2の違反行為ごとに,次のとおり排除措置命令を行った。
⑴ 各取引分野における排除措置命令の対象事業者(以下「名宛人」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会等において決議しなければならない。
 ア 前記2の行為を取りやめていることを確認すること。
 イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して
  (ア) 大崎市が測量業務又は土木関係建設コンサルタント業務として発注する業務
  (イ) 宮城県が北部土木事務所において測量業務又は建設コンサルタント業務として発注する業務
  (ウ) 宮城県が北部土木事務所栗原地域事務所において測量業務又は建設コンサルタント業務として発注する業務
について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
⑵ 名宛人は,それぞれ,前記⑴に基づいて採った措置を,自社を除く名宛人及び発注者に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
⑶ 名宛人は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,前記⑴イの業務について,受注予定者を決定してはならない。

4 課徴金納付命令の概要

 課徴金納付命令の対象事業者は,平成31年2月27日までに,それぞれ各別表の「課徴金額」欄記載の額(総額2503万円)を支払わなければならない。

第2 宮城県に対する要請について

1 宮城県は,本件審査開始前に,北部土木事務所発注の特定建設関連業務のうち特定の入札に関し,同県が定める談合情報対応マニュアルに基づき入札参加業者に対する事情聴取等の調査を行ったところ,入札参加業者のうち1社から,受注予定者を決定する会合に出席したことなど,自ら談合を行っていた旨の説明を受けた。
 しかし,宮城県は,前記入札に関し,他の入札参加業者に対する事情聴取結果等から,前記マニュアルの「談合の事実があったと認められない場合」に該当すると判断して,自ら談合を行っていた旨を認めた1社を含め,全ての入札参加業者から談合を行っていない旨の誓約書の提出を求めた。

2 本件審査の過程において,前記1の事実が明らかになったことから,本日,公正取引委員会は,宮城県に対し,今後,入札等の参加業者自らが入札等に関し談合を行っていた旨を認めた場合等を含め談合の疑いが払拭できない事例についても対応し得るよう,前記1のマニュアルの改定など,所要の改善を図ることを要請した。
 

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第一審査
電話 03-3581-5493(直通)
公正取引委員会事務総局東北事務所第一審査課・第二審査課
電話 022-225-8421(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

ページトップへ