平成30年10月18日
公正取引委員会
公正取引委員会は,株式会社NTTドコモ(以下「NTTドコモ」という。)が行ったドコモショップユニフォーム(注1)の縫製会社(注2)を決定するための見積り合わせ及びドコモショップユニフォームのレンタル運用会社(注3)を決定するための見積り合わせの参加業者に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は,各見積り合わせの参加業者が,独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為(注4)を行っていたものである。
(注1)「ドコモショップユニフォーム」とは,ドコモショップ(NTTドコモの代理店が運営する携帯電話の販売店)の女性スタッフが平成28年10月から着用するユニフォームをいう(参考2参照)。
(注2)「縫製会社」とは,レンタル運用会社向けにドコモショップユニフォームを販売する者である。
(注3)「レンタル運用会社」とは,NTTドコモに対してドコモショップユニフォームをレンタルサービスにより貸与する者である。
(注4)以下では,本件違反行為に係る取引分野のうち,縫製会社を決定するための見積り合わせに係るものを「レンタル運用会社向けドコモショップユニフォーム」,レンタル運用会社を決定するための見積り合わせに係るものを「ドコモショップユニフォームのレンタル運用」という。
1 違反事業者数,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者数並びに課徴金額(違反事業者名(注5),各事業者の課徴金額等については別表のとおり。)
違反事業者数 | 排除措置命令 対象事業者数 |
課徴金納付命令 対象事業者数 |
課徴金額 | |
レンタル運用会社向けドコモショップユニフォーム | 7社 | 6社 | 3社 | 1025万円 |
ドコモショップユニフォームのレンタル運用 | 7社 | 6社 | - | - |
合 計 | 延べ14社 (実数9社) |
延べ12社 (実数7社) |
3社 | 1025万円 |
(注5)違反事業者名については,以下「株式会社」の記載を省略する。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
⑴ レンタル運用会社向けドコモショップユニフォームに係る違反行為
ア 伊藤忠商事,ツカモトユーエス及び丸紅の3社は,遅くとも平成26年12月10日までに,ドコモショップユニフォームについて,
(ア) カテゴリー(注6)ごとに受注予定者を決定し,受注予定者以外の者は受注予定者が受注できるようにすること
(イ) カテゴリー1は伊藤忠商事及びツカモトユーエス,カテゴリー2は髙島屋,カテゴリー3は丸紅をそれぞれ受注予定者とすること
を合意した。
イ 髙島屋は,遅くとも平成26年12月11日までに,ドコモショップユニフォームについて,ツカモトユーエス及び丸紅からカテゴリー2の受注予定者になることを伝えられ,連絡された見積価格を提示することに同意し,これにより前記ア(ア)の合意に加わった。
ウ サンペックスイスト,双日ジーエムシー及びそごう・西武は,遅くとも平成26年12月15日までに,ツカモトユーエス又は丸紅から連絡された見積価格を提示することに同意し,これにより前記ア(ア)の合意に加わった。
これら7社は,前記のとおり,縫製会社を決定するための見積り合わせについて,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする旨を合意することにより,公共の利益に反して,レンタル運用会社向けドコモショップユニフォームの取引分野における競争を実質的に制限していた。
(注6)NTTドコモは,ジャケット,ベスト,スカート,パンツ及びベルトをカテゴリー1に,長袖ブラウス(白),半袖ブラウス(白)及びカットソーをカテゴリー2に,長袖ブラウス(紺)及び半袖ブラウス(紺)をカテゴリー3に,それぞれ分類し,カテゴリーごとに受注者を選定した。また,NTTドコモは,カテゴリーによっては複数社を受注者とすることもあるとしていた。
⑵ ドコモショップユニフォームのレンタル運用に係る違反行為
7社(別表の番号6及び8以外の事業者)は,遅くとも平成27年6月22日までに,レンタル運用会社を決定するための見積り合わせについて,丸紅メイトを受注予定者とし,受注予定者以外の者は丸紅メイトが受注できるようにする旨を合意することにより,公共の利益に反して,ドコモショップユニフォームのレンタル運用に係る取引分野における競争を実質的に制限していた。
3 排除措置命令の概要
前記2の違反行為ごとに,次のとおり排除措置命令を行った。
⑴ 各取引分野における排除措置命令の対象事業者(以下「名宛人」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,ドコモショップの女性スタッフが着用するユニフォームについて,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
⑵ 名宛人は,それぞれ,前記⑴に基づいて採った措置を,自社を除く名宛人,株式会社ユニメイト(注7)及びNTTドコモに通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
⑶ 名宛人は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,ドコモショップの女性スタッフが着用するユニフォームについて,受注予定者を決定してはならない。
(注7)平成30年3月30日付けで丸紅メイトからレンタル運用事業を承継。株式会社ユニメイトへの通知に関する命令は,レンタル運用会社向けドコモショップユニフォームの取引分野に係る名宛人のみが対象。
4 課徴金納付命令の概要
課徴金納付命令の対象事業者は,平成31年5月20日までに,それぞれ別表の「課徴金額」欄記載の額(総額1025万円)を支払わなければならない。
関連ファイル
(印刷用)(平成30年10月18日)ドコモショップユニフォームの見積り合わせの参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について(PDF:86KB)
(平成30年10月18日)別表(違反事業者及び課徴金額一覧)(PDF:47KB)
(平成30年10月18日)参考1(本件違反行為の概要)(PDF:320KB)
(平成30年10月18日)参考2(本件対象商品)(PDF:1,819KB)
(平成30年10月18日)別添(排除措置命令書)(PDF:180KB)
問い合わせ先
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