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平成31年4月17日付 事務総長定例会見記録

平成31年4月17日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(平成31年4月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

企業結合の届出状況について

 本日,私の方からは,平成30年度における企業結合の届出状況について御紹介をいたします。
 お手元の資料を御覧ください。公正取引委員会は,平成30年度には,321件の届出を受理いたしました。平成29年度における届出の受理件数は306件ですので,前年度と比較して15件の増加となっております。
 平成30年度に届出を受理しました321件のうち,より詳細な審査が必要であるとして,2次審査に移行した案件が2件ございました。この2件は「王子ホールディングス株式会社による三菱製紙株式会社の株式取得」,そして「新日鐵住金株式会社による山陽特殊製鋼株式会社の株式取得」で,いずれも平成30年度中に審査が終了しております。また,このほか,平成30年度中に審査を終了しました案件として,「株式会社ふくおかフィナンシャルグループによる株式会社十八銀行の株式取得」の件がございました。
 平成30年度に審査が終了した案件のうち,当事会社が申し出た問題解消措置を前提として独占禁止法上の問題はないと判断した案件は,先ほど述べましたFFG(ふくおかフィナンシャルグループ)と十八銀行の件,新日鐵住金と山陽特殊製鋼の件の2件の2次審査案件を含めて8件ございました。
 独占禁止法上,一定の要件に該当する企業結合は届出が義務付けられています。届出は,一定の形式を整えていれば受理されますが,届出会社は,公正取引委員会が届出を受理した日から30日間は,企業結合を実行することが禁止されています。公正取引委員会としましては,届出会社から,この30日間の禁止期間の短縮の申出があった場合,できる限り迅速に審査を行い,禁止期間の短縮を行うよう努めております。その表にもございますように,近年,届出会社からの禁止期間の短縮の申出の増加に伴いまして,期間短縮を認める案件が増加しております。平成29年度に届出を受理した案件につきましては193件において禁止期間の短縮を行いましたが,平成30年度に届出を受理した案件につきましては,1件まだ1次審査中で,数字としては未確定ではございますけれども,239件に増加して,これは過去最高の数字になっております。このように,公正取引委員会は企業の希望を踏まえ,迅速な案件の処理に努めております。
 また,企業結合審査の透明性を確保し,企業の予見可能性を高める観点から,平成29年10月以降,四半期に一度,届出案件の一覧をウェブサイトで公表しております。直近の四半期分につきまして,本日公表いたしました。
 このほか,毎年6月頃,前年度における主要な企業結合事例,そして届出状況の詳細を公表しております。今年も,その頃に公表を予定しております。
 公正取引委員会としましては,引き続き,迅速かつ的確な企業結合審査を実施するとともに,審査の透明性を確保し,企業の予見可能性を高める努力を続けてまいります。
 本件の担当課は,経済取引局企業結合課でございます。

質疑応答

(問) 先ほど,透明化を図るために,1年に1回から四半期に一度の発表という制度に変わったということなんですけども,それでも他国と比べるとまだまだ頻度が少ないですし,実際にレメディがあるのかないのかというようなことも発表はなさっていないし,事例案が1年に1回出るだけということで,日本の公正取引委員会のいろいろな考え方が,この事例案を見るしかないというような状況は変わらないかと思うんですけども,そちらに関して,結構,ほかの国からは,もうちょっと透明度を高めたほうがいいのではないかということを法律家の方から伺うんですけれども,そこら辺を,また制度を何か変えるような予定はありますでしょうか。
(事務総長) 届出の個別案件の状況につきましては,従来は,毎年,国会に提出しております年次報告に記載しておりましたが,それを四半期ごとということで,その内容を拡充してきたところでございます。
 ただ,企業結合案件は,特に問題のなかった案件については,あまり詳細を語ることが必ずしも企業の利益にかなうというわけでもありませんので,やはり独占禁止法上の観点から,今後の他の案件について参考となるようなものについては,引き続き事例集という形で公表してまいりたいと思います。その中には,2次審査に移行した案件だけではなくて,1次審査で終了した案件でも,他の参考になりそうなものについては,これまでも掲載してきておりまして,大体,年に10件前後のものが出されてきております。その集積はかなりの数に上っていると思いますので,毎年のものだけではなく過去のものも含めて御参照いただけるのではないかと思います。業界によって,取引分野のとり方であるとか,あるいは競争に及ぼす影響の考え方というのは区々であろうかと思いますけれども,それでもほかの業界,若しくは似たような構造にある業界の事例というのは参考になるのではないかと思っています。
 日本の場合,御案内のように,差止めの勧告・審決を行ったのは大分前になりまして,ここかなり長い期間,排除措置命令という形で行為を差し止めたことはございませんので,諸外国のように,訴訟において,その差止めの内容が明確になるというような形での執行とは異なりますので,一部の人の中には,透明性についてどうなのかという御疑念を持たれる方があるかもしれませんけれども,先ほど申しましたように,私どもとしては,できる限りその内容の透明性というのは図っていきたいと思いますし,併せて,先ほど申し上げました意味で事例集としては公表しておりますので,その内容の充実を図るという形で進めていきたいと思います。

(問) 本日,デジタル・プラットフォーマーの実態調査に関する中間報告を公表すると思うんですけれども,その中身について,事務総長の受け止めと,あと,今後のですね,デジタル・プラットフォーマーの規制強化に向けた,これは今回の調査結果を踏まえて検討していくと思うんですけれども,今後のスケジュール感などについてコメントをお願いします。
(事務総長) 本日3時から,デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査の中間報告を公表することとしております。今回の公表は飽くまで中間ということでございます。ですので,これまで行っておりました幾つかのアンケート調査の内容,そして,それを踏まえて,今後の調査の視点といいますか,そうしたものについて記載することになろうかと思います。
 詳細は記者発表を行いますので,またその際,お聞きいただければと思いますけれども,今回のデジタル・プラットフォーマーに対する調査は大規模な調査ということでございまして,今回の中間報告も言わばその途中の段階でございますので,全体の調査の取りまとめというのは,もう少し時間がかかるというふうに考えています。
 ただ,いろいろな場で,デジタル・プラットフォーマーに関する議論はされておりますので,今回の中間報告も含めてですね,そうしたものは議論を促進する材料としてお使いいただけるのではないかと思っております。
 御質問の中に,規制の強化というようなおっしゃり方があったと思いますけれども,どのような規制をするかということも含めて検討しているという形で御理解いただきたいというふうに思います。

(問) これは調査の目的として,不公正な取引実態があるのかであったりとか,独占禁止法に問題がある事案が,事例ですかね,といったものがあるのかというような点が注目されていると思うんですけれども,今回の調査で,そういった懸念に対応するような事案であったりとか,懸念,何ですかね,不公正な取引実態となるようなものが浮き彫りになった,そういった点はどうでしょうか。
(事務総長) 先ほど申しましたように,この後,3時から公表いたしますので,公表内容については,その際,改めてお聞きいただければと思います。
 今回,飽くまで中間ということでございますので,全体としての調査の目標といいますのは,デジタル・プラットフォーマーがどういう取引実態にあって,それについて,プラットフォーマーと取引先との関係はどういうふうになっているのかというのを包括的に調査しているところでございますので,最終的にどういう分析を行うのかということはございますけれども,今回の中間報告として公表するものにおきましても,今後の調査に当たっての視点等についても記載しておりますので,その点も後で御覧いただければと思います。

 

以上

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