[配布資料]
[発言事項]
事務総長会見記録(令和元年5月15日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
ICN年次総会について
本日,私の方からは,国際競争ネットワーク,ICNの年次総会について御紹介いたします。本日,5月15日から5月17日にかけまして,第18回ICN年次総会がコロンビアのカルタヘナで開催されます。公正取引委員会からは青木委員ほかが出席しており,このほか,同年次総会には,各国の競争当局関係者,民間の弁護士など,多くの参加者が見込まれております。
ICNは,競争法執行の手続面及び実体面の収れんを促進することを目的として,2001年に日本を含む14か国・地域の16当局によって設立され,2019年4月末現在で126の国と地域から139の当局が加盟する競争法分野における最大の国際組織となっております。また,ICNでは,年次総会を起点としまして次の年次総会までの約1年間を,いわゆるICNイヤーと捉え,この間を1つの区切りとしまして,カルテル,単独行為,企業結合等の分野ごとに置かれた各作業部会において様々なプロジェクトに取り組んでおります。
年次総会は,主に加盟当局のトップなどが参加して,最近の競争法,競争政策上の課題について,国際的な共通認識を醸成していくことが期待されている会合でございます。
今回の年次総会におきまして,世界銀行及びICNが共催しました競争当局などによる競争唱導活動を競うコンテスト,アドボカシーコンテストと呼ばれておりますが,そのコンテストにおいて,公正取引委員会が入賞したことから,青木委員が表彰式において受賞するとともに,当委員会の職員が同コンテストに関連する分科会に参加する予定となっています。これは,公正取引委員会が平成30年2月15日に公表しました,「『人材と競争政策に関する検討会』報告書」について,その公表に伴う一連の唱導活動が,事業者団体による競争制限的な雇用慣行の自発的な改善,ひいては労働環境の改善及び役務提供者間の公平性の促進に寄与するものとして,主催者側に評価いただいたものでございます。
このほか,青木委員が単独行為作業部会の全体会合においてスピーカーを務めます。この単独行為作業部会の全体会合では,経済のデジタル化が進展する状況において,事業者による市場支配力をどのように評価するのかをテーマとして議論が行われる予定になっています。また,カルテル作業部会,企業結合作業部会,単独行為作業部会,当局有効性作業部会の各分科会において,公正取引委員会の職員がモデレーター又はスピーカーとして参加する予定になっております。
公正取引委員会としましては,執行活動における国際標準の形成,競争当局間の協力関係の強化,国際的プレゼンスの向上等の観点から,引き続き,ICNの活動に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
本件の担当課は官房国際課でございます。
質疑応答
(問) 今お話があった日本の公正取引委員会が人材報告書に関連して入賞したということなんですけども,これは,具体的にどんな賞だったか,どのような評価がされたかということをちょっと教えてください。
(事務総長) 評価の内容は先ほど申し上げましたように,人材検討会の報告書によって,関連する新たな分野ではありますけれども,先ほど申し上げた分野において,特に競争唱導活動でありますので,競争が重要である,競争促進的な活動を行ってくださいという知見といいますか,考え方を広めていく上で貢献があったということを評価されたというふうに理解しております。
そして,表彰式においては,実際にどのような形で表彰が行われるかは,細かくは承知しておりませんけれども,表彰状なり,何らかの顕彰するものがいただけるのではないかと思っています。
(問) ICNに中国の当局が参加するかもしれないというようなことをちょっと耳にしているんですけれども,そのような動きがあるかどうかということと,あと,中国の当局が入っていないという中で,加盟をエンカレッジするようなことを考えていらっしゃるか,ちょっと教えてください。
(事務方) 担当からお答えさせていただきます。
御質問のありました中国当局が参加するという話ですけれども,我々としてはそのような話は聞いておりません。中国に対しては,ICNに加盟すべきであるということは日本だけでなくて,いろいろな世界の,アメリカ始め当局から常に働き掛けを行っている状況ですけど,まだICNには加盟できていない状況でございます。
(事務総長) 中国に関しましては,現代的な競争法が導入されて10年経ったところでありますし,私ども公正取引委員会としても,意見交換を何回か行ってきております。また,欧米の当局との間でも,中国の当局がいろいろな形で意見交換等を行ってきていると承知しております。
中国は,やはり国際経済における重要なプレーヤーでありますので,その国内において,競争法が既にあるということでありますので,それがきちんと執行されるというのは極めて重要なことだと思っております。
今,担当の方から申し上げましたように,まだICNには参加しておりませんけれども,先ほど申し上げたバイのチャネルであるとか,あるいはアジアにおける他の国際会議等々の場において,中国当局に対しては,先ほど申し上げたような意味できちんとした法執行を続けていくように,我々としても働き掛けをしていくことが重要というふうに考えています。
以上