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令和元年5月22日付 事務総長定例会見記録

令和元年5月22日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和元年5月22日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成30年度下半期)について

 本日,私の方からは,独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見について,お話しいたします。
 独占禁止政策協力委員制度は,平成11年度から行っておりまして,公正取引委員会が委嘱をいたしまして,競争政策や公正取引委員会の活動等に関する御意見を伺っております。現在,全国各地域の経済界,報道機関,学識経験者,消費者団体といった有識者150名の方々に委員をお願いしております。
 平成30年度下半期に行いました独占禁止政策協力委員からの意見聴取においていただいた主な意見を本日公表いたしました。お手元にその資料があるかと思いますけれども,その概要を簡単に御説明したいと思います。
 1つ目の項目として,「公正取引委員会に対する期待」についてお聞きしております。そこでは,例えば,1つ目の項目にありますように,「デジタル・プラットフォーマーは強い地位を持つ巨大企業が多いため,しっかり監視して,違反があれば摘発してほしい。」,あるいは4つ目の項目にありますように,「今日の経済では,商品やサービスを巡る競争にとどまらず,その基盤となるデータを巡る競争が極めて重要な意味を持ってきている。公正取引委員会には,データエコノミー時代の実情に即応した競争政策を積極的に打ち出してもらいたい。」といった御意見をいただいております。
 次に,資料では次の頁になりますが,「公正取引委員会の施策の効果」についてお聞きしました。例えば,2つ目の項目にありますように,「最近の公正取引委員会は,談合案件だけでなく,一般消費者が日常生活でおかしいと思っている分野や,一般消費者の生活に身近な分野に取り組んでいるように感じる。このような分野に公正取引委員会が取り組んでいることを評価したい。」といった御意見をいただきました。
 3つ目に,「地域経済の実情と競争政策上の課題」についての御意見がございました。例えば,2つ目の項目にありますように,「未来投資会議において,人口減少問題に直面する地方銀行や路線バス会社の経営統合の在り方などが議論されていた。競争を維持することと,事業者の経営を維持することは,どちらも重要な問題であると思うので,公正取引委員会にはユーザーが不利益を被らないように対応をお願いしたい。」といった御意見がございました。
 4つ目に,「優越的地位の濫用規制・下請法の規制」について御意見を伺っています。例えば,2つ目の項目にありますように,「働き方改革によって,発注元が残業を減らしたり,従業員に休暇を義務付けることによって,下請事業者へのしわ寄せがくると思われることから,そのようなことがないように監視してもらいたい。」といった御意見がございました。
 5つ目に,「消費税転嫁対策」についての御意見でございます。「本年10月から消費税が10%に上がる予定なので,公正取引委員会には,消費税の転嫁拒否行為の調査に一層力を入れてほしい。」といった御意見がございました。
 今,御紹介申し上げましたのは,複数の地域で比較的多く取り上げられた話題を挙げたものでございます。そのほかにも,各地域の実情等に即した様々な御意見あるいは御叱責をいただいたところでございます。
 公正取引委員会としましては,引き続き,こうした御意見,御要望を踏まえた競争政策の適切な運営を進めてまいりたいと考えております。
 このような制度といいますのは,やはり,いろいろな地域の実情をよく御承知の方々の御意見を我々の政策に反映できるよすがになるものと思いますので,これからも積極的に進めてまいりたいと思います。

質疑応答

(問) 昨日,「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備に関するオプションの公表について」というのが出ました。改めて,これが出たことについて,どういった点を重視されたかというところと,今後,これをどういうふうに進めていくのかというところをお願いいたします。
(事務総長) これまで,公正取引委員会,経済産業省,総務省で,「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を運営してまいりました。昨年の7月に立ち上げた後,一旦,中間整理をしていただいて,また,確か今年に入ってからだと思いますけれども,2つのワーキング・グループを設けて精力的な議論をしていただきました。そこで,それぞれの議論をまとめていただいて,昨日,「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備に関するオプション」を作成・公表いただいたところであります。
 その中では,公正取引委員会,あるいは独占禁止法で,こうしたプラットフォーマー型ビジネスに対して,どのような対応をしていくべきなのか,そのためのオプションとして,どういうものがあるのかということも種々,指摘をいただいております。
 その中には,比較的検討の容易なものもあれば,十分な検討をしなければいけないようなものもあるかというふうに思っております。また,制度的な面に関する指摘,例えば,独占禁止法を補完するような新たな仕組みも必要なのではないかといったようなオプションも提示されているなど,必ずしも公正取引委員会単独で何かできるようなものでないものも含まれております。今後,こうしたオプションの提示をいただいておりますので,政府全体として検討をしていく中で,私どもとしても,それには積極的に貢献していかなければならないと思っております。
 現在,内閣官房の方に,デジタル市場に関する競争政策の在り方について議論を行う準備室が設置されております。今後,夏に向けて,成長戦略の取りまとめ等が行われるかと思います。さらに,その先,その成長戦略を踏まえて,それをさらに具体化していく検討という場が設けられることになろうと思いますので,私ども自らも検討しなければいけない点がございますし,また,そうした検討の場で引き続き具体的な検討を進めていく上で貢献していきたいというふうに思っております。

(問) 今の御説明にも関連しますが,このオプションの中で,いろいろなところで注目されている規制について,自主規制,法規制,共同規制の中から,トレードオフの関係に留意して検討していくことが必要というのが出ていますが,この規制という部分については,どの程度まで実施していく必要があるか,どの程度まで検討していくのか,この規制という部分についてどう考えるか,改めて御見解をお願いします。
(事務総長) 今,御指摘もございましたように,それぞれオプションが示されていて,また,そのオプションには,様々留意事項というのもあるかと思います。独占禁止法あるいはその他の法律によって規制をかけるというのも1つのオプションでありましょうけれども,それは,また,規制のかけ方によってはイノベーションをかえって抑え込んでしまうといったことも起こり得るかと思いますので,そうしたメリット,デメリットといいますか,良い点,悪い点も含めた影響を今後検討していく必要があるんだと思います。ですので,むしろ,それは,これからの議論の中で検討してまいる課題だというふうに思います。

(問) 関連してというわけではないですけど,先ほど御説明のあった寄せられた意見の中に,「デジタル・プラットフォーマーを単純に規制することには問題がある。技術革新を阻害するような規制になってはいけない。」,まさしく,今御説明があったような指摘があるんですが,これは,数とかでいったら,どれぐらい寄せられたものなんですか。大きな意見だということで,ここに載っているんでしょうか。それとも単純な羅列なのか。
(事務総長) この協力委員は,各地区ごとに数名ずつお願いしているところでございます。それで,その場での意見というのをできるだけ忠実に,このペーパーでお示ししております。
 今の点は,2つ目の項目だと思います。ここに記載しておりますように,北海道,東北,四国における意見聴取の中で,そうした発言が出ていたということでございます。

以上

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