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平成31年1月30日付 事務総長定例会見記録

平成31年1月30日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(平成31年1月30日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

消費者向けeコマースの取引実態に関する調査について

 本日,私の方からは,消費者向けeコマースの取引実態に関する調査結果についてお話しいたします。
 近年,我が国における消費者向けeコマースの市場規模は急速に拡大しています。こうしたeコマースの拡大は,小売市場における競争を促進する一方で,事業者が他の事業者の行動・情報を把握しやすくなることにより,競争制限的な行為が行われやすくなることも懸念されます。
 このような問題意識を踏まえ,消費者向けeコマースの市場におけるメーカーと小売業者間の行為や,オンラインモール運営業者の行為等について幅広く調査を実施し,その結果を昨日公表いたしました。
 調査の結果,オンライン販売が事業者にとって重要な販売ツールとなっていることや,オンラインモールが特に中小の小売業者にとって重要な販売ツールになっていることなど,オンラインモールの市場における地位が明らかになりました。
 これを踏まえ,報告書では,メーカー・小売業者間の行為,オンラインモール運営業者による行為について,現状を明らかにした上で,独占禁止法上の考え方を整理しています。
 メーカー・小売業者間の行為としては,例えば,小売業者に対して,オンライン販売の全面禁止といったオンライン販売の制限を行うメーカーの存在が確認されました。また,オンラインモール運営業者による行為としては,例えば,オンラインモールへの出店者に対し,利用料や決済方法を一方的に変更すること,出店審査基準を開示しないこと,出店者が販売によって入手した顧客情報の利用を制限することといった行為が確認され,これらの行為に不満を持つ出店者が一定程度存在することも確認されました。これらの行為は,場合によっては,独占禁止法上問題となり得るものです。
 公正取引委員会としましては,メーカー・小売業者間の行為について,実店舗における取引と同様に,オンライン上の取引に関して,独占禁止法上問題となるような行為が行われていないか関心を持ち,また,オンラインモール運営業者による行為について,オンラインモール運営業者において,出店者が予期せぬような不利益を受けることがないよう,取引条件の透明化に取り組むことが公正な競争環境を確保する観点から望ましいと考えています。
 このように,公正取引委員会としましては,消費者が良質で安価な商品をより簡単に入手できるようになるよう,消費者向けeコマース市場において,メーカー,小売業者,オンライン運営業者などの事業者により,独占禁止法上問題となる行為が行われることがないことが重要であり,特にオンラインモール運営業者によって公正かつ自由な競争を阻害する行為が行われると,消費者向けeコマース市場全体の公正な競争環境が損なわれることにつながりかねないと考えています。
 このため,今後,消費者向けeコマース取引の動向について,特にオンラインモール運営業者による行為を中心に,情報収集に努めるとともに,独占禁止法に違反する行為があった場合には,厳正に対処してまいります。
 この報告書の担当は,取引部の取引企画課でございます。

質疑応答

(問) 取引条件の透明化ということなんですけれども,どういうふうにそれをまとめていくんですか。というのは,契約とかは一般には公開されていないと思いますし,もちろん,その事業者に対して,モールの出店者に対して,一方的に条件が変更されるというのは困ることだと思うんですけれども,そういったことというのは,あまり公開されている情報ではないと思うんですが,そういった事業者からの申出を待つということなんですか。どういうふうにモニターされるんですか。
(事務総長) 今のはショッピングモール運営業者との関係だと思いますけれども,運営業者とその出店者の間で解決していただく,特に運営業者側でそうした関心・意識を持っていただくということがまず重要だろうと思っています。その中で,先ほどの最後の方で申しましたけれども,個別の事案といいますか,問題となるような行為などにつきましては,情報収集窓口なども用意しておりますので,私どもとしても,そうした形での情報収集というのには努めてまいりたいと思いますし,その結果,問題性が大きいということであれば,具体的な対応というのを私どもが採るということもあり得ることだというふうに思います。
 いずれにしましても,まず,第一義的には,モールの運営業者と出店者の間で,真摯な議論といいますか,そうしたことを行っていく,その前にですね,そうしたことが独占禁止法上問題になることもあるんだという意識を持ってやっていただきたいと思います。

(問) では,このレポートを出すことによって,気をつけてください,という警告の意味もあるということですか。
(事務総長) そうですね。

(問) 今回の調査は,eコマースというところではあるんですけれども,いわゆるオンラインモール運営業者というのは,先般からずっとやっているプラットフォーマーというところとですね,かぶるところもあるのかなというところもあると思うんですけど,そちらの方とは別の観点でというふうな考え方として,公正取引委員会は考えているんでしょうか。
(事務総長) 今回の消費者向けeコマース取引実態調査は,昨年の初めぐらいから調査を開始したものでありまして,お尋ねの中にございましたプラットフォーマー全般に関する調査とは別のものと考えています。ただ,今の御質問の中にもありましたように,プラットフォーマーと呼ばれるものの中には当然,こうしたeコマースの運営業者というのも入ってまいりますので,現在,進めつつありますプラットフォーマーに対する実態調査において,今回の調査結果というのも1つのインプットになるというふうに考えてます。

以上

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