[配布資料]
独占禁止法の一部改正法案(概要) ~課徴金制度等の見直し方針~
[発言事項]
事務総長会見記録(平成31年3月13日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の閣議決定について
本日,私の方からは,独占禁止法改正案の国会提出についてお話しいたします。
昨12日,「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され,国会に提出されました。
この法案は,一律かつ画一的に算定・賦課されています課徴金制度について,事業者による調査協力を促進し,適切な課徴金を課すことができるものとすることなどにより,不当な取引制限等を一層抑止し,公正で自由な競争による我が国経済の活性化と消費者利益の増進を図るため,独占禁止法の一部を改正するものでございます。
具体的には,課徴金減免制度に関しまして,申請順位に応じた課徴金の減免に加えて,事業者の実態解明への協力度合いに応じて減算する仕組みの導入,談合金を受け取ることなどにより不当利得が生じている場合についても課徴金の算定基礎とするなどの規定の整備,調査開始日の10年前まで遡って参入できるようにする算定期間の延長,検査妨害罪の法人等に対する罰金額の上限の引上げなどの措置を講じるものです。
公正取引委員会としましては,本法案の早期成立に向けて関係者の御理解をいただけますよう,引き続き説明を尽くしてまいりたいと考えております。
本件の担当課は,経済取引局総務課企画室でございます。
質疑応答
(問) 今の改正の件で,割増算定率,いわゆる繰り返し違反の適用対象整理というのがあると思うんですけど,これを導入する意義と背景について教えていただけますか。
(事務総長) 現在,10年以内に繰り返し違反行為があった場合には,課徴金額が増額されるという規定がございます。その10年以内というところの規定の整備を今回行うものでございまして,新たな事件に関する調査を受ける前から,引き続いて行われていた行為であって,調査後は続いていないような行為につきましては,課徴金の算定対象になるわけですから,抑止効果という意味では既に機能しているのではないか,もちろん,公正取引委員会の調査開始後もほかの違反行為が継続して行われているということであれば話は別ですけれども,そうでないという場合にまで割増算定率を適用する必要はないのではないかという考え方に基づくものでございます。
(問)それと関係しているか,はっきり分からないんですけれども,割増算定のところに,主導的な役割を果たしたの関連で,調査に協力しないようにというふうなことを言った場合にも,「調査妨害行為の要求等についても適用」というふうに書かれているかと思うんですが,ちょっとよく分からないのは,それは,調査妨害を主導的にしたというふうに読めるんですけれども,何でストレートに調査妨害した場合に割増しになるということではないんですか。そこの御説明をお願いします。
(事務総長) もともと違反行為の中で主導的役割を果たした者に対する課徴金の増額という規定がございます。そこで今回,調査妨害行為を行わせるような行為,典型的には「行わせる」ですけれども,そうした行為を行うことも違反行為を助長するということから,今まではそういう行為はこの類型には入らないものですから割増しの対象になっていなかったわけです。そうした行為についても,特に抑止の観点から割増しの規定の中に追加した。明示的にないと,それは増額ができませんので,それを追加したということになります。
(問)でも,それは主導的な役割を果たしたときですよね。そこのところがちょっと分からないんですけど。
(事務総長) 主導的な役割の一つの形態として,そういうものも含めたということです。
(問)そうしたら,何故もっと直接的に調査妨害を割増対象にしないんですか。何でそういう回りくどいやり方にするんですか。
(事務総長) 調査妨害自体については刑事罰もありますので,自ら単独で行った調査妨害については刑事罰の対象になるということになります。一方,これはほかの関係者に対してそうした行為をさせるように慫慂する,そうした行為が主導的役割に含まれるというものになります。
(問)でも,刑事罰,今まで使われてないですよね。罰金が増額しても,何か直接的な検査妨害に対してそれほど使えるのかなという疑問があるんですけど。それよりか,割増しはこれまでも何度も使われていると思うし,調査妨害に対して主導的な役割を果たした人に対しての割増しは1.5倍ということで多分,使われるんだと思いますけれども,検査妨害って今まで使われてないものを,罰金を増やしたから使えるようになるんですか。どういう期待があるんですか。
(事務総長) 今回,それに対する手当てもしておりますけれども,やはり刑事罰については,個別抑止と一般抑止の効果がありますので,これまでも検査妨害と,そういった手続違反に対しても,必要に応じて刑事罰の対応というのも排除してきてはおりません。実際に適用された事例がないというのは御質問のとおりではありますけれども,ただ,適切な事例があれば,それについては今後とも対応していくという方針は変わっているわけではありません。そうした行為をやっていただきたいとは絶対思いませんし,そうした行為が行われないように気をつけていただきたいという点には変わりはございません。
以上