[配布資料]
2019年9月19日 公正取引委員会・欧州委員会競争総局共催国際カンファレンスの開催について
2019年10月16日 CEATEC2019における国際シンポジウムの開催について
[発言事項]
事務総長会見記録(令和元年9月11日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
日EU競争週間及びCEATEC 2019における国際シンポジウム
本日,私の方からは,公正取引委員会が催します2つの国際的イベントについて御紹介いたします。
競争政策を取り巻く大きな関心の1つに,プラットフォーマーとデジタル分野の競争環境の整備をどのように進めていくのかといった課題がございます。この問題は,国際的に広く関心を持たれており,欧米でもプラットフォーマーの活動,特に情報の独占・寡占化傾向に対する考え方の整備や個別の事件に係る法執行が進められています。そこで,これらのイベントでは,日米欧の最新の事情,今後の展望を議論することとしております。
まず,「日EU競争週間」について御紹介いたします。EUと日本はこれまで独占禁止協力協定や経済連携協定に基づいて,競争法執行について連携するとともに,定期的に意見交換を実施してまいりました。今般,日EU間で知見や問題意識等を共有し,さらに連携を深めることを期して,初めての試みとしまして,「日EU競争週間」を欧州委員会競争総局と共催することになりました。
「日EU競争週間」は,9月19日,20日の2日間にわたり東京で開催いたします。そのうちの9月19日に,「デジタルエコノミー分野における競争法執行」をテーマとして,公開カンファレンスを開催する予定としております。このカンファレンスでは,欧州委員会及び公正取引委員会の両競争当局の幹部,担当者のほか,デジタルエコノミー分野に関する知見を有する学識経験者,業界関係者がパネリストとして参加し,同分野における競争政策,競争法執行のあり方や今後の課題について議論いたします。日英同時通訳が入ります。私もオープニングリマークスをすることになっております。また,終了後には懇親会を予定しております。
この公開カンファレンスにつきましては,当委員会のウェブサイトでも参加方法について御案内をしており,既に業界関係者,法曹関係者など様々な分野から多くの方々の参加登録をいただいております。9月16日まで参加登録を受け付けておりますので,皆様におかれましても奮って御参加いただければと存じます。
なお,翌20日は,EUや欧州連合加盟国の競争当局と公正取引委員会との間で,非公開の意見交換を実施する予定としております。
次に,国際シンポジウムの開催について御紹介いたします。「プラットフォームビジネスと競争政策」と題した国際シンポジウムを,10月16日に幕張メッセ国際展示場で開催いたします。
一般社団法人電子情報技術産業協会は,毎年10月,幕張メッセでアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会である「CEATEC」を開催しており,本シンポジウムは「CEATEC2019」の一環として,同協会と当委員会の主催,公益財団法人公正取引協会の共催で開催されるものです。
このシンポジウムの第1部では,杉本公正取引委員会委員長及び電子情報技術産業協会の遠藤会長による基調講演が行われます。
第2部では,大橋弘CPRC主任研究官・東京大学公共政策大学院副院長をモデレーターとして,巨大IT企業を取り巻く競争政策の役割等についてパネルディスカッションを行うこととしております。パネリストには,欧州委員会からクリス・デカイザー競争総局政策・戦略局局長,米国の連邦取引委員会からダニエル・フランシス競争局長補,マイクロソフトコーポレーションからディック・リンケマアジア地域競争法・政策担当部長,NERAエコノミックコンサルティングから石垣浩晶マネジングディレクター,そして当委員会から菅久経済取引局長を予定しております。
CEATECのウェブサイトにおきまして,参加者の1次募集を8月1日に開始しましたところ,既に満員に達しておりますけれども,9月24日に2次募集を開始する予定でございます。詳細につきましては当委員会のウェブサイトで随時発信してまいります。
本件の担当課は官房国際課でございます。
質疑応答
(問) 今,御説明いただいた件に関して2点あるんですが,公正取引委員会として,EU当局とデジタル・プラットフォーマーに関する協議の場というか,意見交換をするというのは初めてなのかという点について確認と,もう一つ,20日に非公開で意見交換を実施するということでしたが,どういったテーマについて議論をしていくのか,そのあたりを伺えればと思います。
(事務総長) 正確を期すために申し上げますけれども,公開カンファレンスのほうは,IT・デジタル分野についての内容になりますけれども,EU当局,それからEU加盟国の当局者と公正取引委員会との間の意見交換については,それに限られたものではございませんで,企業結合ですとか,事件審査の手法等々について,意見交換をすることにしております。ただ,先ほど申しましたように,非公開でやることになっておりますので,ちょっと詳細は差し控えさせていただきたいと思います。
日EU当局間での意見交換はほぼ毎年やっておりますので,これまでもやってきた中には時宜,それから必要性に応じてではありますけれども,IT・デジタル分野について議題になったものもございます。
(問) 今日の御発言の件と関係のない話で恐縮なんですけれども,今日,コンビニのオーナーの組合の皆さんが公正取引委員会に,意見を申し述べに来るというような話を聞いておりまして,要は,コンビニの本部がオーナーに対して,人手不足の中で,深夜営業をさせるというのは優越的な地位の濫用だというようなことを言いたいということらしいんですけれども,このことについての御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
(事務総長) コンビニの加盟店と本部との関係につきましては,以前からこの場でも申し上げてきたと思いますけれども,経済情勢の変化等に応じて,従来は問題なかったようなことについても,場合によっては,加盟店側に対して不当に不利益というふうに評価されるようなことが発生することもございます。公正取引委員会に来られるということが質問の中にもございましたけれども,仮にそれが,要するに独占禁止法違反ではないかということであれば,それはいわゆる申告ということになるかと思いますので,私どもの立場としましては,どなたが申告に来られるのか,それからその内容はどうなんだというのを,お答えするのは適当ではないというふうに思います。
(問) 個別の事案の回答はそうだと思うんですけれども,現状,優越的な地位の濫用に当たるかどうかをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
(事務総長) それは今のお答えの前半でも申し上げましたけれども,一般論として,若干繰り返しになりますけれども,経済情勢の変化に応じて,コンビニの加盟店側の不利益になる状況というのは発生し得ることだというふうに思っています。ただ,実際それが優越的な地位の濫用に該当するのかどうかというのは,まず優越性があるかどうか,それから,それが不当に不利益になっているのかどうか,それから,正常な商慣習に反しているかどうかなどを総合的に検討する必要がございますので,24時間営業だからとかいったような点で一概に優越的地位の濫用に当たるかどうか申し上げることはできないと思います。
(問) お話に出なかった点についてなんですけれども,携帯電話についてなんですが,ある携帯のキャリアが,キャリアはどこか問わずに,端末だけ4年契約で,2年間払って,端末を下取りすれば,半額近く値引きしますよというサービスを始めるという発表があったんですが,携帯については既に公正取引委員会は競争上の懸念を示していて,その中で,4年縛り,しかも下取りのキャリアが縛られていたことについて懸念を表明されていたわけですが,一般論として,今回,キャリアはどこでも自由というふうに緩和されたわけですが,どういうふうに考えられますか。
(事務総長) 御質問の最後に「一般論として」と仰いましたけれども,お聞きになっているのが,どこの会社のことか分かると思いますので,やはり個別の企業についての質問だろうというふうに受け止めます。
いつも申し上げているようなことで恐縮ですけれども,個別の企業の具体的な行動について,それが独占禁止法上の問題になるのかどうかということをこういう場で申し上げるのは適当でないというふうに思っています。
ただ,今,御質問の中にもございましたように,携帯電話の取引を巡る問題については私どもも従来から関心を持って何度も調査も行っております。4年縛り,2年縛りの問題については,利用者のスイッチングコストが高くならないかどうか,それから,利用者による合理的な選択ができるのかどうかということが問題になってくると思いますので,競争を促進するという観点からは,そうした問題はより緩和的なものになることが望ましいというふうには思います。
以上